BBA達はいかにセックスアンドザシティを楽しみ炎上を解釈したのか -メディア評- 映画「ハンナ・アーレント」

 年末に岩波ホールで鑑賞。チケット入手に40分強並び、これで内容が酷かったらおこだよ!と思ってたけれど、案外よかった。
http://www.cetera.co.jp/h_arendt/images/intro/text01.jpg

 本作は、哲学者であり活動家であった50歳のハンナ・アーレントの執筆と反響と過去を描いた作品。開始15分はひたすらジジババが知識層とホームパーティを繰り広げ、ハンナも旦那も別の男だの女だのとキャッキャウフフするリア充な描写が続く。けだるそうにひたすらタバコを吸い続けながら執筆と哲学に明け暮れた荒んだ(それでいて輝かしい)描写が連続する。風立ちぬの6倍くらい吸ってたのでマジで規制が必要なレベル。
 本作のストーリーの核となるのが、ヒトラー政権下で大虐殺を指揮したアイヒマンの裁判を大学教授であるハンナが傍聴し、その記録と考察をニューヨークタイムスに載せ、世間から批難を浴びると言うところ。ハンナは、この虐殺は彼が極悪な思想を持っていたから起きたんじゃなくて、彼は凡庸であろうとした末、全体主義が作り出したのだと執筆し、それが世間にはアイヒマンを擁護したものだと受け取られた。これにどう反論するかは作品を見てのお楽しみなのだけれど、その反論が行われる最後の15分の講義は非常にしびれる見せ場となっている。背景を補足をしておくが、ヒトラーの右上にヒムラーという参謀がいて、ヒムラーが虐殺を禁止しても高官であるアイヒマンはやめなかったそうだ。
 我々ブロガーなら共感するかもしれないが、彼女は最後の15分にこんな台詞を言う。「『理解』と『赦し』は違う。」。赦せないし繰り返しては行けないからこそ、なぜこの歴史に残る犯罪が起きてしまったかを理解し考察しなければいけない、と、彼女は自身が迫害にあったユダヤ人であったにもかかわらず、ストイックにその解釈を追求をした。所々悲しんだりハイデッガー(本作ではポエトでロリコンの変態だとしか思えない)との過去を思い出したり、人間的な描写を幾重にも織り込むことで、彼女が冷徹な人間ではないことを強調していた。
 気になったのは、翻訳の上で、彼女やハイデッガーの台詞には<>がついていなかった。<存在>すらもただの「存在」として表記されており、これは多分翻訳家の教養の問題に落ち着くのだろうか。
 少なからず頻繁に社会的ステータスが高い人達とホームパーティしたり「キスは私だけにしてね」などラブラブで尊敬しあえる夫婦関係を維持していたり、50代の夫婦のかっこいい生き方を描き出した部分が訴求力として、ニュースになり列をなすまで話題になったのかもしれない。しかし2人で見に来て夫の方が寝ている夫婦を僕の周りだけで2組は見た。
岩波に並ばずとも現在も東京、関東と地方でも放映はされているそうだ。公式webページにはその情報が掲載されておらずチケットを買う5分前にそれを知り激しく萎えたのだが、そんな萎えも吹き飛ばす、思考と人間関係描写が程よいバランスの映画であった。
なお、帰りに神保町の古本屋にいくつか寄ってみたら、ハンナアーレントの本が品薄だった。

服従の心理 (河出文庫)
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河出書房新社
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オタマトーン カラーズ (ピンク)
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ついにLINEでも出会い系スパムが飛んでくるようになった

長く使ってる人には周知の話なのかもしれないけれどはじめてLINEスパムが飛んで来てそんな時代なのかって少し嬉しくなってしまった。

初めまして♪
突然のメッセごめんねm(-_-)m

暇だからLINEで
ID検索してたら
出てきたんで
飛ばしてみました☆

って ゆーのも
彼氏にフラれて
寂しいってゆってる
友達がいるんだ(*>ω<)

さおりってゆうんだけど
このコが気になったみたいで...
紹介していいかな??

天然で顔も可愛いし
仲良くしてあげてほしいな☆

さおりLINEのアカウント
BANされてるから。。。

別のチャットやってる
みたいだからぁ そっち教えるね!

http://wk.tk/xc80db

↑写メもあるからいってみて♪
相当寂しぃんだって。
HネタもOKな子だから 笑っ

私は彼氏いるから
あんまり絡めないけど
仲良くしてあげてねっ♪

さおりのこと
よろしくです(`・ω・´)

僕アイコン設定してないのだけれど、LINEメッセージ送ってくる割に垢BANされてたり知らない人を別のチャットに誘ったり仲良くしてあげてって、異常に自分のことメタに見てたりなかなかじわじわくる出来であります。
これから増えるんだろうなー。

オタクになろうとするヤンキーと、ヤンキー化する秋葉原-いまさらC84レポート-

 今更で申し訳ないが、気鋭の新人アーティスト、水曜日のカンパネラのボーカルを案内するためにC84 3日目に参加して来た。
 今回は3日間で59万人と過去最高の来場者数を達成し、また別の層を取り込みつつ市場は大きくなりつつあるのではないかと感じさせる。
 前回から変わったところと言えば、子連れや中学生や女子小学生だけの来場者が散見されたこと。もちろんアダルトじゃないブースもあるので特に批判するつもりも無い。
 それから気づいたこととしては、コスプレイヤーにちゃんと付き人がついていること、マネージャーか,専属カメラマンなのか、きわどいコスプレのお姉さんと一緒に行動しているのを記憶に残るほど見かけたのははじめてだった。
 オタクマーケットが徐々に参加型にシフトしてかなりの時間が経ち、マーケットは成熟し、オタク(コミュニティ)はヤンキーを越えた。もはやココにいるのはリア充よりリア充なオタク達だ。

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これから来る新しい暮らし方はブロイラー!!ノマドとかもう古い!!

 いろいろ調べてて話を聞いて思ったんだけれど、シェアハウスもノマドももう古いですね。次に流行るのはブロイラー、これ。
「貴重なお話感謝します、お名刺交換してもよろしいですか?」
「あ、はい」
「ちなみにいま、何やってる方なんですか?」
「うーん、ブロイラーかなー」
「ステキ!!(ガタッ 結婚して!!一緒に住みたい!!」
みたいな世の中になるのも近いので紹介しておこうと思う。

 ブロイラーとは、その語源のごとく養鶏場のように家からはなれず通販や定期購読でものを補充し新しい価値を産みつつける住み方。数名の先見の明がある識者たちが、これから家が無くなる等と言っていても、それは日本人や日本の制度的にはまだ早すぎた。最低限の拠点やセキュリティはやはり必要だ。次にステップとしてくるのはとにかくギークハウスのようにクリエイティブな人達と引きこもること。引きこもってひたすらPCやテレビと対話し、人に会いたいときは人を呼んで遊ぶ、一部の怠け者にだけ許された特別な甘い時間なのである。
 東京を中心におこったシェアハウスブームは一段落し、シェアハウスで頻繁に行われていたイベントも一部のコミュニティだけで収束してしまった。シェアハウスを不動産が管理するシェアハウスが主流となりつつある。同時にシェアハウスないでの需要を見込み、家を使いそのままプロモーションをする試みも行われていると最近知った。
参考:d プログラム(d program)|資生堂
 こうした住処にいてそれでいて商品が届くサービスは、徐々に増えている。
http://nikutatsu.jp/
【Oisix公式】初めての方限定「おためしセット」はこちら
sakelife.jp - このウェブサイトは販売用です! - 日本 日本酒 定期購入 毎月 お酒 コース オススメ 花見 リソースおよび情報
http://www.sweets-life.com/
http://www.vegeovegeco.com/
http://magico.me/
https://www.box2you.com/
 それから近所のスーパーも最近は配達サービス等を行っている。後はネットワークさえあれば人に会う、場所に行く以外で家を出る必要は無くなってくる。家に人を招いたりイベントする用のパーティルームスペースでもできればブロイラーの完成である。
 甲斐性のある友達でも呼べば、ちょっとした差し入れや生活に必要なものを買って来てくれたりするのでなかなかありがたい。運動不足だけは怖いので、広いスペースで日常的にwii fitとかをするのも忘れないようにしたい。
 従来の引きこもりと違い、ブロイラーではフォアグラでなく金の卵が産まれます。エンジョイ!
 シェアハウスがやりたい方はこちらから →Colish(コリッシュ) - コンセプトのあるシェアハウス生活はじめよう

やる気のなさって、その国の経済的成熟の指標じゃないの??

 こそっと水面下で日本のやる気が問題になっていた。

 日本企業の社員の「やる気」は世界最低だという。これは、アメリカの人事コンサルティング会社KeneXa High Performance Institute(以下、ケネクサ)の調査による「事実」である。

 正確に言えば、ケネクサの調査は「従業員エンゲージメント」についての調査で、28ヵ国の社員100名以上の企業・団体に所属する社員(フルタイムの従業員)を対象に行なわれた。サンプル数は約3万3000名。ケネクサが定義する「従業員エンゲージメント」とは「組織の成功に貢献しようとするモチベーションの高さ、そして組織の目標を達成するための重要なタスク遂行のために自分で努力しようとする意思の大きさ」ということで、要するに「仕事に対するやる気」である。

 この「従業員エンゲージメント指数」、世界最高はインドで77%。以下、デンマーク67%、メキシコ63%と続く。他の主要国では、アメリカが59%で5位。中国57%、ブラジル55%、ロシア48%など。イギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ先進国も40%台後半で弱い。韓国は40%でブービー賞。日本が31%でダントツの最下位である。というわけで、日本の社員のやる気は世界最低という次第である。

 実は僕自身も90年代後半くらいから、日本企業の社員のやる気、仕事へのモチベーションがどんどん下がってきたと実感していた。

世界でダントツ最下位!日本企業の社員のやる気はなぜこんなに低いのか? | 社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭 | ダイヤモンド・オンライン

ワシントンDCに拠点をおく世論調査会社、ギャラップ社が10月8日に発表した大規模な調査結果(“State of the Global Workplace”)によると、世界中で、意欲も積極性も持たず、他人の足を引っ張る従業員は、仕事に愛着があり、意欲を持っている従業員の倍も存在すると分かった。
(中略)
「意欲がない」「意欲を持とうとしない」を合わせると、世界の労働者の87%に達する。ギャラップ社の調査はこうした人々を「気持ちが職場から離れていて、生産的であろうとしない」とみる。言い換えると、世界の労働者の9割近くにとって、仕事は達成感ではなくフラストレーションの源になっている。これは、ほとんどの職場は本来もっている能力よりも生産性が高くなく、安全でもなく、雇用者は新しい仕事を作り出せずにいることを意味する。
(中略)
仕事をするうえで幸せを感じる意欲ある従業員の割合が最低だったのは東アジア地域で、全体でわずか6%となった。この数字は中国の結果でもあり、中国では、仕事で幸せだと感じる従業員がわずか6%だった。約68%は仕事から気持ちが離れていて、26%はひどく不幸だとしている。

 日本の結果にも筆者は驚いた。日本にはもっと幸せを感じている従業員が多いのではないかと考えていたが、結果は7%。中国をわずか1ポイント上回っただけとなった。69%は意欲がなく、24%は仕事が嫌いだった。
(中略)
 中南米では、経済規模が最大のブラジルが最も幸せで意欲的な従業員が多かった。驚くことに、27%が意欲があり積極的に取り組んでいる。しかし、62%は意欲がなく、12%は仕事が嫌いという結果だった。
(中略)
 この結果をどう考えるべきだろうか。ギャラップ社は120ページにわたり、多くのアイデアを紹介している。多様な手法でデータ分析しているが、多くは驚くものではない。教育水準の高い従業員は、教育水準の低い従業員より幸せだとする割合が高い、といった具合だ。

意欲なく仕事嫌いな従業員9割も 世界23万人調査 :日本経済新聞

 経営者系の人達が何かいいたそうにごにょごにょしていた。日本の特徴として、平均的な学力が世界一である一方で、人を評価する能力と言うものがメディアによりすごく偏った形になっている。心理学的には自己奉仕バイアスといって、うまく行ったのは自分のおかげ、失敗したのは他人のせい、といった、環境要因と心理要因を使い分ける傾向を見て取ることができる。日本の場合、契機の気は気分の気、などとワイドショーで文化人が連呼し、経済がうまく回らないのは気の持ちようの問題だ、と問題を矮小化する傾向が見て取れる。疲れやすさが勤勉性を示すように、やる気の無さも、報われない社会=経済的発展の停滞≒もう十分成熟しているというのを指摘しているのではないか。
元の調査はこちら
http://www.gallup.com/strategicconsulting/164735/state-global-workplace.aspx
Q12と呼ばれる12個の質問項目を聞くもので、

①自分が何を期待されているかを知っている
②必要な材料(情報)や道具を与えられている
③もっとも得意なことをする機会を与えられている
④良い仕事を認められ,褒められている
⑤誰かが気にかけてくれている
⑥誰かが成長を促してくれる
⑦自分の意見が尊重されている
⑧会社・仕事の使命・目的が重要だ
⑨同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
⑩職場に親友がいる
⑪誰かが私は進歩したと言ってくれた
⑫仕事について学び、成長する機会がある

◆ギャラップQ12・・・これが答えだ! : クオリアの風景

 ほら、これって仕事へのやる気ではなく、職場のコミュニケーションや自由度を測る質問じゃないの??

報われない社会ならではの、心理主義への傾倒

 意識調査は意識調査で重要なのであるが、それが全てを物語ると解釈してはいけない。
 人間が一番測り間違いやすいものは、「感情」と「性格」だと考える。我々はこれらを当然のように語り、占い、共感するのだけれど、この当然さほど胡散臭いものはない。感情や価値判断に基づいた共感は人を操るために使われると、このブログではさんざん唱えて来た。
 まず、「感情」は物語の中でしか語り得ない。代表的な感情として、<喜怒哀楽>とあるけれど、それは物語の中で行動の理由として使われる道具でしかない。「殴ったのは怒ったからだ」、「泣いたのは嬉しかったからだ。」と。感情や性格という心理とよばれる言葉を使うことで、人間の行動に対していくらでも理由付けが可能だ。人々はこれに納得するように訓練を積んで来た。
 だけれど現実ではうまく言葉にできない感情がいろんな場面で噴出する。プレッシャーの中気合いを入れて準備していた発表会が延期になったときのあの開放感と喪失感。好きな子とデートをして見送った後の嬉しいような寂しいようなアンニュイな感情。
 そして最も自覚すべきは<感情>と行動や結果は、一致しないことの方が多いことである。
 顔で笑って心で泣くこともあるし、無表情で喜ぶこともある。新しい仕事に対して気合いを入れ直そうが普段通りこなそうが、やる仕事の内容は変わらない。高校野球をテレビ越しに応援しようがしまいがそれが物理的にリアルタイムに彼らに伝わることは無いし、活躍っぷりは変わらないだろう。だけれど人はなぜか失敗したら心理状態のせい、成功したら環境のせいにしようとしたがる。人の形をしているものは気持ちが伝わると考え、気持ちが伝われば全てはうまく流れ出すと思っている。

 性格となんだろうか?性格と言うのは、その人の心理と行動のパターンの傾向のことである。怒るとこうする、悲しいとこうする、嬉しいとこうする、といった一連の感情ー反応を物語としてヒモづけたものの総体である。笑いやすい人、泣きやすい人、マメな人、厳しい人。それらは外部の環境:刺激とヒモづけられるものである。泣きやすい人には、泣ける音楽、泣ける場面、泣けるパターンがなんとなく存在するんだろうな、というのは誰しも想像がつくだろう。
 けれど、<客観的>な「性格」等と言うものは存在するのだろうか。全く同じ言葉を投げかけても、時と場合によって反応は変わる。どんなに暑がりな人間でも、冬の北海道でかき氷を食べたいとは言わない。いろんな場面で何度同じ言葉をかけても毎回泣く人間はロボットか病気なんじゃないかと思ってしまう。こうした例外がほとんどない性質、というのが「客観性」である。
 人の性格として代表的な、面白い人、優しい人、のような基準はどこから来るのか。これも相対的なもので、自分の想定する平均的な人間A君と比べて優しい、面白い、と言ったものでしかない。ある小学生が、1週間練習しても覚えられない九九を、がんばったからといって許す先生と、ちゃんと全部言えないとダメ、と繰り返し課題を出す先生と、どちらが優しいのだろうか。その日単位で見ると出来なかったことを許す先生の方が優しいが、2~30年単位で見れば明らかに厳しい先生の方が子どものことを考えている。想定している期間によっても、その判断は揺らぐ。優しさの基準なんてそう言う意味で曖昧だ。短期的に見れば大人はうるさい、うざい存在だけれど、長期的にみてそれを優しさだ、と思えるかどうか、これは反抗期の経験に左右されるし、反抗期を得ない若者は教条的、刹那的な思考・結論に埋まって行く。

 こうした<性格>はその人を分析した人の<なか>に存在する。追求すればするほど、「性格」の意味は「俺からみたお前の感情の傾向」に収束する。つまり、おまえはこういう行動をしがちだからこういう性格だ、は成り立つが、お前はこういう性格だから、こういう行動をする、は成り立たないし、天気予報ぐらいの意味しか持たない。
 確証バイアスと言って、あなたはこういう性格だと言われたとき、「言われてみればそうかも!!」と当てはまる事例を脳みそがかってにサーチしてくれる機能がある。実際は当てはまらない事例も同等かそれ以上に存在する。最近ちょっとショックなことあったでしょ?とか最近嬉しいことあったでしょ?と言われればたいてい思いつくのと同じである。
 感情は、考えてみればわかるが、正反対に思える「嬉しい」と「悲しい」が同時に発生することもあるし、性格も、強い人でも弱気になることも、その逆もある。つねに起伏があり、同時に存在し、基準も人それぞれ、非常に不安定で瞬間的なものである。しかしそれがあたかも常に存在し、誰しもが同じ刺激を与えれば同じ反応(感情)が帰ってくるかのように語られることがある。例えば「幸福度」だったり、「泣ける映画」だったり、「自分が変われば世界が変わる」みたいな標語だったり。
 人は心理によって簡単に判断を誤るし、それを人間性だ、みたいな詩的な言葉につつんで正当化しようとしたがる。
 心理を目標におてしまうと、それが行動を規制する力となり、人格統制の装置として作用してしまう危険性もある。授業は楽しい方がいい、と作った授業では、笑わない生徒は指導対象となる。「泣ける映画」をみて泣けないのは人間性や人生経験が不足している、と言われる。やる気を目標に定めた会社では、やる気の無い奴は社員失格と言われる。その人が何にコミットするかなんてその人が決めればいいじゃん。やる気がなくても仕事できる奴もいるし、やる気があっても仕事できない奴や、教育を変える!とか言いながら、訓練や勉強しない奴を山ほどみて来た。
 それから大学の二次試験が廃止されて面接で「人間力」を測るなどという報道も出たけれど、結局「女子力」が男性に都合の良い力であるように、「人間力」も面接官に都合のよい力でしかない。もしくはどんなに勉強しなくても、どんなに性格が悪くても、”ポジティブな感情を引き出させる刺激”を面接官に与えるのが上手な人間が合格して行く。高卒大卒程度の人間に、その刺激の引き出しが何十何百パターンも存在するとは思えない。同じような話をされ、同じ刺激を与え続けられると、反応である感情の起伏は小さくなって行くので、後に面接する人間の方が不利になる。企業の人事達はこれを経験してか、最近の若者は画一化している、等と口を揃えて言ってきたではないか。
 心理が充足されればうまく行くと思ってはいけない。自己啓発のように、自分のなかでこうありたい!というマイルールを宣言するのはかまわないが、それを他人に押し付けるのにみんなが違和感を持つのはこうした心理主義からくるものだ。気持ちを変えれば全てうまく行く=心理主義であり、400年前とかから批判されているらしい。心理主義を許してしまうとパンとサーカスのみで生きる社会をつくることになる。そこに実存は存在しないし、実存を追求するスポーツ選手やアイドルをみてエンターテイメントとして楽しむだけの社会が到来する。心理的欠損を自覚しようとし、それを埋めるために走り回るカーニヴァル化する社会
鈴木謙介)がやってくる。心理を目標にしてはいけない。心理を正確にはかれると思ってはいけない。

報われない社会というのは、心理でなく制度の問題。

普通に若い人でも気づいてるぽよ。
自分はどんなに努力しても、これから先給料は上がらないだろうってことに。
努力で給料は上がりますか?
上がりませんよね?
じゃあ努力を強いるのはやめてくださいよ、一応頑張りますけどね?
残業します、はい、はい。
みたいな。
若さで突っ走るみたいな、そういうのあんまりないよね。
あっても最初だけ。


もうそれで病めちゃう人、多い。
だって頑張っても給料上がらないのに、嫌な上司と毎日顔あわせなきゃいけないぽよ。
残業もしなくちゃいけないんだぽよ。
夢も希望もないぽよ。
我慢して、我慢して、我慢して、鬱になるぽよ。
それで会社辞めちゃう人、多い。
そしてニート、フリーター化する人って割と多い。
(わるちゃん周辺調べ)

http://geriharawatako.hatenablog.com/entry/2013/10/30/%E3%80%8C%E5%8A%AA%E5%8A%9B%E3%81%8C%E5%A0%B1%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%80%8C%E8%AB%A6%E3%82%81%E3%81%AE%E5%85%88%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B

 全くその通りである。これが社員のやる気を下げている原因としては最も大きい。やる気があろうと無かろうと仕事をすれば同じ給料がもらえるのであれば、みなそこまで張り切ることはないだろう。勉強しても報われない、努力しても報われない社会制度の指標としてしか、この「やる気」というものは存在しない。
 まず報われると言うのは金銭的な問題を指している。単純化してお話すため漏れも多いが、社会人の大半が働けば働くだけ成果が出るわけでもなければ、成果に応じて昇進や昇給が決まる訳ではない。もっというと成果よりもコミュニケーションがうまい人が評価され(るように見えるし)、評価のためには成果につながる正しさより評価権を持つ上司の正しさを優先することもしばしば。勉強しても報われないと言うのはそう言う意味である。(断っておくが制度として完全な成果主義にしろという意図ではない)。
 かつてはそうやって学歴と収入と昇進が相関した時代があった。80年代は教育の黄金期と言われている(広田照幸)。
日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書 (1448))
 殴られようが叱られようが罵倒されようがそれは全て激励として機能し、踏ん張りがんばれば収入が増え、家族は楽な生活が出来、町並みや風景が劇的に変化し、自分たちがそれを作り上げ豊かな社会を作っていると言う効力を感じれる時代であった。バブル崩壊後、平均年収は減り、正規雇用者数が減り、労働力はダンプ(賃金が圧縮)されてきた。今度は真面目に働き続けても20年後年金がもらえるかもわからない。若者一人で高齢者4人を支える時代が来るかもしれないと言われ、競争が激化し、よい福祉を得るためにはお金が必要な時代になってしまった。念のためと言う人が増えたからこそアレだけ保険のCMが増える訳である。
 そんななか、お前は使えない奴だ!と尻を鞭で打とうが、お前はいいところあるじゃないかやればできるだろうもっとがんばれ!!と褒めようが、そのモチベートは空振りに終わることとなる。
 「がんばったけど、給料があがらなかった、でもそれは自分のためになった辛いけどいいんだやりがいのある仕事だったし、上司喜んでくれたし、明日もがんばろう」
 そうして努力や成果に応じた適切な報酬を与えず(自己)承認だけ与えることを教育(社会学)業界では「やりがいの搾取」という。最近はそう言う意味で褒める上司や先生も増えているはずである。褒めればちゃんと仕事をしてくれる若者は短期的に大人にとって都合がよい。そう言う若者を育てたと言うのも聞こえがよい。アルバイトなども時給50円しか上がらないのに店長候補にして、後は少々の褒め言葉と責任感を与えて正社員と同じ仕事を与えられる時代である。しごきもやりがいの搾取も構造的には同一線上の問題になってしまう。
 これは構造的立体的問題であって面の問題ではない。そう言う側面もあるよね、で片付けられる問題ではない。教育やコミュニケーションをいくら批判してもこれらの問題は解決しない。学校教員はこの社会背景から教科専門性だけでなくコーチング等のメンタルケアまでまかされることになった。一部の教員は昔から行っていたことではあるけれど、それがのれんに腕押しな時代になってしまったと感じている。それこそ報われない市場にモチベーションの高い学生を送り出すと言うのは、戦争に行かせるために兵士を育てる位の残酷さである。研修は成果の出る方法を教えなければならない、教育は社会と連動して報われない社会を打破するための、新しい人材を生み出す必要がある。(そしてその人物を生み出すために犠牲になるような人物を生み出さないよう配慮する必要がある)。そうしなければ、ゼロサムな利益を奪いあう組織が出来てしまう。社員が足を引っ張るのは組織がインセンティブを共有してないと言う制度的な原因にほぼ収束される。経済を回すためには無駄を作らねばならない。経済的な人間として振る舞うには無駄を消費しなければならない。

漁師とMBA

 何度もいうが、努力すればするだけ年収が上がり昇進が見込め、自分と家族が豊かな生活が出来るならみなやる気を出すのだ。発展途上国でそういったビジネスが許された人達は目を輝かせて身を粉にして働く。職場には自由度が無いし成果ばかりを求められるしそれでも消費は十分だと思っている人達が多い国≒成熟した国で、やる気を出すのは偏にコンサルが自分の仕事を売り込むための宣伝のための餌でしかない。最後にはたらくとはなにか、経済成長について考える材料となる有名なコピペを貼って終わろう。

メキシコの田舎町。海岸に小さなボートが停泊していた。
メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。
その魚はなんとも生きがいい。それを見たアメリカ人旅行者は、
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 と尋ねた。
すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ」
と答えた。
旅行者が「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」
と言うと漁師は、
自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」と旅行者が聞くと、漁師は、
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」
すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。 それであまった魚は売る。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。
そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。
自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。
その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキシコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。
きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」
と旅行者はにんまりと笑い、
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう」

社会的責任が求められる割に年収下げられて多忙感が増えるのに志望しようとする優秀な学生はどこから来るんでしょうかね?

 おひさしぶりです。タイトルで言い尽くしたのだけれど一応本文も書いておこう。教育問題は教員不祥事問題みたいに個別に見ると格別なゴシップエンターテイメントなのだけれど、制度としてみるとやっぱりグルーヴヤバめ。教育改革はいいのだけれど、たいてい教育制度の移行期間は大して教育成果が上がらないのをそろそろだれか検証して報告してほしい。
 書いてみて思ったけれど前回のエントリと内容があまり変わらなかった。
体罰とかで騒いでる暇ないよこれから学校教育は本当に苦難の5年を迎える - 技術教師ブログ

 財政制度等審議会財務相の諮問機関)は28日、2014年度予算案の編成に向けて、小学校や中学校の義務教育に対する国庫負担金の大幅削減を求めることで一致した。委員からは、少子化に伴って「児童・生徒の減少に合わせ、教員の削減はやむを得ない」などとする意見が相次いだ。
 一般会計予算の2割近くを占める地方交付税交付金に関しては、リーマン・ショック後の景気対策として導入された「別枠加算」(約1兆円)の廃止を総務省に求めることでも合意した。ただ、地方自治体からは継続を求める声が強く、年末の予算編成に向けた調整は難航しそうだ。
 財務省は28日の会合で、子ども1人当たりの教員数を維持しながら定数を2000人減らし、高い給与水準を地方公務員並みに引き下げれば、14年度の国庫負担金が約370億円削減できるとする試算を提示した。委員から異論は出ず、「良い教育のためには教員の数を増やせばいい、という考え方は古い」などとして大筋で了承された。(2013/10/28-16:08)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013102800602

 日本の教育の迷走は文科省の優しさと財務省のケチさによって成り立っているのだけれど相変わらずの酷さである。

 下村文部科学大臣閣議のあとの記者会見で、財務省少子化による児童生徒の減少に合わせて小中学校の教職員の定数を減らすべきだと主張していることについて、「教育予算の自然減は教育環境の充実に充てるべきだ」と述べ、財務省を批判しました。
 文部科学省は、少人数教育の推進やいじめ問題への対応などを強化するため、来年度からの7年間で小中学校の教職員の定数を3万3500人新たに確保すべきだとしていますが、財務省少子化による児童生徒の減少に合わせて、逆に1万4000人減らすべきだと主張しています。
これについて下村文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「日本の教員1人当たりが受け持つ児童生徒の数は、OECD経済協力開発機構の加盟国の平均より多いというのが客観的事実だ。少子化で減少が見込まれる子どもの数と同じ比率で教員を減らすのではなく、むしろ教育予算の自然減を教育環境の充実に充てるべきだ」と述べ、財務省を批判しました。
そのうえで下村大臣は、「学校現場は複雑化、多様化しており、少人数教育の推進やいじめ問題への対応など、個別の教育課題に対する的確な対応が求められている。財務省には、国家観に立ち、これからの日本をどうするかという視点から十分な理解をしてもらう必要がある」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131029/k10015638361000.html

 これに対して僕の周囲でも、お金要らないんじゃないの?とか競争が激化すると実力のある教員が残るからいいよね、とか言い出す教育NPOの代表とか学校の中の人がいてびっくりした。この業界がいっこうに改善しないのは、周囲もそうだけれど中の人達が全く問題を理解してないことに原因があるのだなと感じた。
 書いてある通りOECD平均より教員一人当たりの受け持ち児童数は多い。教員一人当たり17人程度と言われているのだけれど、実際個人的に調べたところだと、小中学校の教員の一人当たりの受け持ち児童生徒数は、岩手で一人当たり13人、北海道で77人であった。何が問題かと言うと、北海道では曜日によって勤務校が変わるのは当たり前、教員がたらないので社会の先生がやったことも無い美術を臨時免許で教えたり、要は場所にもよるのだろうが免許外教科を教えることが制度としてほぼ前提となっている。実は水面下で全国の免許外教員問題が顕在化しつつある。教員数は保たれていてもどう考えても教育の質は保たれない状態になりつつある。

長野県松本市の私立小中一貫校・才教学園小中学校(児童・生徒数498人)は20日、必要な免許を持たない教員に授業や担任を受け持たせていたと公表した。2005年度の開校当初から続いており、延べ64人を不適正に配置していた。県に担任を届け出る際、免許を持つ別の教員名を虚偽記載していたことも判明。県は教育職員免許法違反に当たるとして、補助金の支給停止を決めた。

http://mainichi.jp/feature/news/20130821ddm041040141000c.html

 三重県立白山高校(津市)の家庭科で、免許がない講師が授業をしていた問題をめぐり、県教育委員会は5日、白山高を含む7高校の計11科目で、無免許の教諭や講師が授業をしていたと発表した。無免許授業を受けた生徒は延べ534人で、うち延べ336人は現役という。

 県教委が県立57高校と13の特別支援学校で、2011〜13年度の実態を調べた。白山のほか、水産、明野、名張西、伊勢、稲生、鳥羽の6高校でも無免許授業があった。科目は、公民科の現代社会、地理歴史科の世界史A、農業科の総合実習など。

朝日新聞デジタル:三重の7高校で無免許授業 教諭や講師、計11科目で - 教育

 そうして足りない先生は非常勤講師から補充されることになる。雇用の調整弁と教育費のダンピングとして非正規雇用教員が増加していることは以前にも指摘したが、最近はこんな記事もでてきていた。

今、教育現場が直面している新たな課題が、臨時採用、つまり非正規雇用の教員の増加です。
全国の公立の小中学校で、今年度、6万3000人余りに上り、自治体によっては6人に1人を占めていることが文部科学省のまとめで分かりました。
十分な研修を受けられないまま、担任に就くケースも出ていて、教育の質の確保が課題となっています。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_1021.html

もう4年前位から増田ユリア氏が指摘して来てたけれどね。
 教員はもっと努力しろ、授業をわかりやすくしろ、生徒の面倒を見ろ、もっと論理的に話せ、ちゃんと方法を教えろ。どの指摘ももっともなのだけれど、時間があってもお金がない教員と、お金があっても時間がない教員と、要領が良くてそれなりにこなしている教員と、なんか極端な状態になっている。時間がない教員はどうなって行くかと言うと、心の病気にかかるか、病気にかかる前に仕事をセーブするかである。

2013.10.17 12:10
 小中高校などの教員の残業時間は月平均約95時間半で、10年前の平成14年調査より約10時間増えていることが17日、全日本教職員組合(全教)の調査で分かった。学校での残業が約73時間で、自宅で仕事をする時間が約22時間半だった。
 全教は「生徒指導や保護者対応で忙しくなったほか土日の仕事が増えて残業時間を押し上げている。長時間勤務の解消に取り組むよう教育委員会などに求めたい」と話している。
 調査は、組合員を中心に全国の正規と再任用の教員を対象に24年10月の勤務状況を質問。5880人が回答した。小中高校別では、小学校の残業時間が月94時間21分、部活動が増える中学は114時間25分、全日制高校は100時間47分。月100時間以上の教員の割合は小学校34%、中学52%、高校40%だった。
 残業内容は部活動や授業準備、報告書の作成、会議など。土日の出勤や家で仕事をする時間は月25時間35分だった。14年は5〜6月の勤務実態を調査した。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/131017/edc13101712100000-n1.htm

日教組叩かれすぎてこの10数年は働いてくれないので教員の労働環境は改善しません。

 先生は忙しい。その忙しさは解消されるどころか、うつ病など心の病で休職した公立学校の教員が2008年度から4年連続で5000人を超えるなど現場の疲弊は深刻さを増すばかりだ。昨年から今年にかけて東京都のNPOが全国の小学校教員を対象に実施したアンケートからは、先生の焦燥感や不安が色濃く浮かび、手厚い支援を望む声が聞かれた。
11時間半労働
 調査はNPO「日本標準教育研究所」が実施。昨年3月〜今年1月まで、テーマ別に計3回にわたって延べ約1000人から回答を得た。
 教師の仕事で悩んでいることを尋ねたところ、上位三つは「自分の時間が持てない」「保護者との関係」「特別支援が必要な子供への対応」だった。
 調査の結果、学校にいる時間は平均「11時間半」。東京大社会科学研究所が調べた全産業の平均(10時間半)に比べ約1時間長い。その上、9割が帰宅後に自宅で仕事をすることがあると回答し、休日出勤も月平均2・2回だった。
 自由記述では「外国語活動、他校との連携、総合学習など、やらなければいけないことが多く、じっくり授業を組み立てられない」(教員歴29年、千葉県、女性)、「家族との時間が持てない」(同20年、東京都、女性)という悲痛な訴えも目立った。教員の多忙化は、国が定数増など対策を打ってはいるが、解消されていない実態が浮き彫りになった。

http://mainichi.jp/feature/news/20131028ddm013100019000c.html

打開策として、要望が最も多かったのは「時間的な余裕の確保」(75%)で、次いで「学級の定員減」(60%)。1クラスの定員は現行は40人が上限。小学1年は法改正で11年度から、小学2年は予算措置によって12年度から、それぞれ35人学級が全面導入されているが、対象学年の拡大を望む声が強かった。
 さらに注目すべき結果は、半数の教員が「教師同士の協力関係」を要望した点だ。裏を返せば、教員が互いの悩みを打ち明けたり、先輩教員からアドバイスをもらったりする機会がない現実を表している。
 今回の調査を担当した元小学校教員の増田修治・白梅学園大准教授は「今の学校教育は先生たちの自己犠牲の上に成り立っている実態が改めて分かった。だがこれは本来の教育の姿ではない。先生の環境改善が急務だ」と話している。【三木陽介】

http://mainichi.jp/feature/news/20131028ddm013100019000c.html

 とまあ改善の余地って山ほどあって、わかりやすいところを提案するなら部活指導の全面廃止。給食指導の支援員の派遣。やりたいなら学童のように選抜された地域の大人が(セクハラとかしごきとかあるかもしれないから)適切な監視の元でボランティアでやること、それと書類作成や印刷等雑務の3割減、講師の保険と研修の保障が可能となって、はじめて給与削減と教員定数削減が可能となる。
 それから実は教員定数削減に我々が対抗する方法はある。教員の給与は国が半分、自治体が半分持つことになっており、教員定数とはその給料の算出に使われる基準のこと。なので、教員が必要だと思っている自治体は教員の雇用にもっとお金を出していいことになっている。皆近所の人を巻き込んで、役所や教育委員会や市長へ教育費を捻出するよう要望書やメールを送ってその必要性を叫ぶ声が票につながると判断されれば何とかなるかもしれない。
 ところで本題なのだけれど、これからこれだけ激しい教育現場に入ろうと思う能力や情報感度が高い教員はいるのだろうか?ベテランの腕のある先生がことごとく教育現場を離れたり(だって大学の先生になれる位のポテンシャルがあって私立からも引く手あまた)、若い教員は教育困難地域から離れて他県の教員採用試験を受験したり、大阪では悪政のおかげで講師すら足りない状況だと言う話を聞く。数名だが僕の交流のある学生だった人達も、学生の頃は教育NPOや団体で活動したり教員免許を取得したのにも関わらず企業へ就職してしまった。社会人経験してから教育現場に帰ってきたいとは言っていたが、彼らは帰ってくるのだろうか。教員採用試験の受験者数は増えているが、競争倍率はこの10年で3分の2に減っている。教員にはなりやすくなっている状況だ。今までが競争が厳しかっただけなのだろうか。

 大阪府教委は25日、大学2、3年生や社会人らを対象にした「教員チャレンジテスト」(仮称)を来年度から始めることを決めた。一定水準に達すれば、翌年度以降に受ける教員採用試験で1次の筆記試験を免除する。府教委によると、教員確保のため学生らを早期に「囲い込む」のが狙い。全国初の取り組みという。

 テストでは生徒指導論など教員に必要な教養などを重点に問う。2015年度実施の採用試験から免除を適用する。免除の有効期間は2年で、1次面接や2次以降の試験は受ける必要がある。

 大阪では、1970〜80年代の人口急増期に対応して増えた教員の大量退職が進んでおり、近年は年2千人以上を採用している。最終倍率は4倍ほどだが、志願者数は減少傾向。中学理科など特に確保が難しい教科もあり、質の高い人材確保が課題になっていた。理工系学生は実験実習が本格化する4年生を前に受験でき、採用試験の負担を減らすことができるという。

http://www.asahi.com/articles/OSK201310250046.html

 ■小学教諭2人と意見交換

 県教育委員会事務局の職員を学校現場に100人規模で異動させるなど現場の教職員を充実させる県の教育改革に関連し、県東部と西部の30代の小学校の男性教諭2人が11日、知事室を訪れ、「35人学級はありがたいがそれでも人が足りていない」などと訴えた。これに対して川勝知事は、教員免許を持っていなくても地域の子育てに関心が強い住民をボランティアで各校に配置する考えを提案するなど、現場の教師と意見を交換した。

 男性教諭2人が「子供には理解度などで個人差があり、対応するために時間や人手が必要。少ない人数では授業がなかなかできない」と知事に伝えると、知事は「今年度から全校で35人学級を行っているが、学級が増えると授業が増えて先生の空き時間が減るというマイナスもある」と述べ、教育委員会事務局の270人のうち、100人を教育現場に戻す改革について説明した。

 さらに、男性教諭2人が、小学校の各学年に1人ずつ学級外の教諭を配置するために「3〜5人必要」と述べると、知事は「500校で3人必要だとすると全部で1500人必要。若くて教職免許を持っている人だけでまかなうのは無理だ。免許はなくても“助っ人”として、1千人ぐらいがボランティアで学校現場に入れば」と、地域のPTA会員を学習の補助員などに起用する考えを示した。

 教諭2人は「免許を持っていないとテストの採点もできないことになっている」と話すと、知事は「あまり形式張らなくてもいいのでは」と応じた。

 面会後、教諭2人は「人が足りないと学力向上につながる厳しい指導にも及び腰になるところもある」と話していた。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/131012/szk13101202330003-n1.htm

 いま、現場は制度が変わるまでの消耗戦を強いられている。本来持っているパフォーマンスも発揮できず、身体的な疲労、精神的な疲弊、社会からの批判、それらを耐えながら教育、労働、子育て、福祉制度のバランスが改善されるのを待っている。まだまだ教育現場の迷走はつづきそうである。

FBで犬猫の殺処分数がやべえ!って回ってきたので調べたらこの30年で約15%に減ってたんだけれども

犬猫の殺処分数に関して(なぜか犬猫だけ)環境省が統計を取っているのだけれど、昭和59年度に犬猫あわせて111.4万頭だった殺処分数は平成23年度には17.5万頭に。単純計算で約84%減ったことになる。
参考:http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h23_dog-cat3.pdf
20130818141205
元の文章にはこう書かれていた

保健所の持ち込み数が多いのです。

持ち込みが減らないのです。

安楽死なんかありません。

おしっこを垂れ、嘔吐し、苦しみながら

死んでいくのです。

死に切れなかった子は、生きたまま

焼かれるのですよ。

それでも貴方は保健所へ連れていきますか?

持ち込まなければ、こんな死に方を

しなくても済むのです。

Facebook

 そもそも僕が小学生のころから動物愛護団体がこいろんな働きかけをしていて、保健所などの動物を持ち込み預かり殺処分する場所は過剰に監視が行われているためそんな残虐なことができるわけがない。
 また環境省からも「動物の愛護及び管理に関する法律」を元に

殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。

環境省_動物の適正な取扱いに関する基準等 [動物の愛護と適切な管理]

という指針を出している。
引き取り数に対しても犬、猫ともに半分以下に激減している
参考:環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理]の一番下の表を参照
都内でも取り扱い数は統計上減っている
参考:動物取扱数の推移 東京都福祉保健局
もちろん殺処分される動物たちがまだ毎年20万程度いることは悲劇だろうし、だからといって野放しにして害獣となって石を投げられつづけたり車に引かれるのも問題だろう。少なくとも統計上は虐殺と呼ばれる類の殺処分もやむをえない事情で引き取ってもらう件数も減っている様子だし、それらは動物愛好家たちが一生懸命啓発を続けてきた結果としてちゃんと受け止めるべきだ。一方で内閣府の意識調査によると避妊手術などをしていない割合が60%を越える。世帯における人数が減っている昨今、ペットも家族として大事な役割を持っている。どう共生するかはいろんな意見があるだろう。
http://www8.cao.go.jp/survey/h22/h22-doubutu/index.html
また、本題に戻るがどうやらこのフェイスブックページ、元情報を調べることを知らないけど正義感がある層に訴えかけて、有料メルマガへ誘導するサイトの様子。この手の情報が回ってきたら注意喚起してほしいし、この手のページをどうにか取り締まれないものか悩ましい。

むしろアニマルホーダーに注意

環境省が犬猫の飼育についてパンフレットを出し、その中で指摘しているのがアニマルホーダー(劣悪多頭飼育)である。

米国では劣悪多頭飼育者のことを、アニマルホーダーと呼ぶ。「ホーダー」はごみや物を捨
てられずに集めてしまう精神的病理のある人に対して使われる専門用語であり、これが劣
悪多頭飼育者に当てはめられ、アニマルホーダー(以下ホーダー)と呼ぶようになった。

環境省_平成21年度 動物の遺棄・虐待事例等調査報告書

実際にあったことはないが、SNSで殺処分されそうな犬猫を正義感から引き取りにいき、それを繰り返し異常な密度の中動物たちを飼育している事例があるときく。動物愛好家たちのブログを見てもひそかに危険視されている様子だ。動物を飼う余裕も経済的余裕に左右される。近所で動物の虐待事例を見つけたら、ぜひ市町村の役場にでも知らせてあげてほしい。
 また、動物実験の世界でも、普通に手足を拘束したり切り落としたマウスが条件を変えて何秒で溺死するか、などの実験が行われているらしい。平然と学会や研究会などで涼しい顔で発表する姿は今でも見られるという。監視が効かず、実験室という特殊な環境下での論理に従ってしまう分、こちらのほうが取締りが難しい。

ブログ論がもりあがってたけれど

多分ブログとかブロガーって集団を語るなら統計を使わない限り一生答えでないんじゃないですかねえ?ただでさえ「傾向がある」を断定に書き換えるのがブロガーの一般的芸風なのだから。
あと、トラックバック機能がないブログはブログとは呼ばなくていいんじゃなかろうか。ニュースサイトだよあれ。

トラウマ思考と事後責任-メディア評-映画「モンスターズユニバーシティ」

 レイトショーで見てきたが非常に面白かった。よい子が見るには少々退屈かもしれないが、よい大人が見るには非常にエキサイティングで、泣ける。さすがディズニーというべきか、吹き替え版は作中の建物や張り紙などの英語も日本語に書き換えてあり、十分に楽しめる気の使いようだ。


ディズニー×ピクサーによる本作は、映画「モンスターズ・インク」の続編。エネルギー工場で働くおどろかせ屋のエリート、マイクとサリーの大学生活を描くビルドゥングロマン。才能はないが努力を惜しまず大学まで進学した頭でっかちのマイクと、巨体と恐ろしいほえ声という才能の塊サリーが喧嘩と団結を繰り返しながら成長していくまさに王道映画である。
 作品のストーリーとしては、喧嘩中のマイクとサリーがマイペースな仲間たちと一緒のチームとしてサークル対抗の怖がらせ大会に出ることになる。5人組6人組がさまざまな競技でたたかうこととなる。作中、アメリカならではのエリート思想が色濃くでたスクールカーストや自由さがキッチリと描かれており、日本で言うイベサーテニサーのように、サークルは男子はアメフト、女子はチアが一番かっこいいことになっている。サークル名がギリシア文字だったり、ハウスパーティやカルト儀式が行われたり、いろいろ分析しがいのある描写が並ぶ。例えるならアメリカ版奇面組である。
 作品を通して描かれるメッセージは、生まれながらのもので人の価値は決まらない、といったところに収束するのだけれど、よくよく考えるとこんな当たり前のことが映画のテーマになってしまうことこそが興味深い。
 ビルドゥングスロマンてきな成長とは何かと問われれば、過去からの脱却超越をどう果たすか、ということになる。親、遺伝、貧困、容姿、学力、そういったステロタイプな価値観を抜け出て、自分也に集団の中で能力を生かせる状態や戦略にたどり着くことである。
 劇中のサリーは自分の才能をひけらかし、他人に優位に立とうとする。マイクは小さい頃から才能が無いと言われて来たが、勉強に勉強を重ねこわがらせ学部に入学する。入学したはいいが、見た目的にちっとも恐ろしくないマイクは非常にバカにされる。黒人や障害者の暗喩ように、産まれ持ったものをあざ笑われるが、それでも俺には努力と個性があるんだ、と力を発揮しようとする。
 しかし彼らは自律して描かれた。すべての非成功は自分の力量不足であり、全ての成功は周りの人達のおかげとして描かれる。

事後責任社会

 これらの話が美談になるには背景の荒みようを考えなければならない。(外国は知らないが、)日本では「多くの失敗や問題は、誰かに責任があり、誰かに責任をなすり付ければそれで終わる」かのように報道される。若者問題やレイシスト問題を筆頭に、ハイリスクな人達を排除し隔離し、残った者は賢く振る舞えばそれで問題は解決する、という思考の上に立って、瞬発力で発言する人々はニュースについて検索すればいくらでも出てくる。以前奨学金についてのエントリにも書いたが、意思決定とは学習して来たことと環境とのダイナミズム(複雑性)の上で行われる。反社会的な思想を持った人間よりも、近くに「そそのかす友達」がいる人間の方が(検挙率等の統計的に)軽犯罪リスクは高く、貧困な家庭の方が犯罪リスクは高く、落書きが多い地域の方が犯罪リスクは高い。毎日のように上がってくる非常識な飲食店の店員の写メも、彼らの人格よりそういった「そそのかす人間関係」や「報酬不足」や「割れ窓理論」をまず疑うべきだ。
 情報に晒されながら人々は、犯罪者の過ちは犯罪者の人格に由来するものだと考える(この傾向を自己奉仕バイアスなんて呼んだりする)。そう過去の失敗事例をデータベース化して、アレをしないコレをしない、と言う思考/行動パターンに陥って行く。こうした思考の背景には、原因と結果がほぼ1対1で強く結びついており、ある種の問題の原因となる行動を忌避するトラウマ化が起きる。もっと激しいところまでいくと、好き=優しい、キライ=失敗する、みたいな結果は感情に起因するという思考にまで結びつく。人を喜ばせようとしても段取りを失敗しようもんなら愛が足りないだのと騒ぎ出すカップルの話もいくつか聞く。
 こうして、5分後にどんなに予想のつかない事件や事故や災害がおきても、それはリスク管理できるものであると捉えられ、事後に責任を問われることになり、最終的には社会の表舞台から排除される。家から出ない、何も買わない、恋愛もしないことが最適解となって行く事後責任社会ができあがる。
 排除された側はコミュニティに戻ることは(精神的に)難しい。よく「出て行け」みたいな張り紙がなされる漫画等の表現を見るが、あれは心象風景であり、現代で張り紙でもしようものならした者がハイリスクな集団の一員と認定され排除を食らう。毎日窮屈にルーティーンをこなしながら、テレビで逸脱した人々を見てはまたバカなことをして、とツイッター(やmixiニュース)でつぶやく。なにか自分たちのリソースを奪いかねない行動をとろうものなら、罰則を厳しくして、恐怖で他人の行動を制限しようとする。何度も言うが、うまく行かなかったことは全て他人のせいであり、自分は極力責任を取らず、見ず知らずの他人に対してばかり責任を追及し、論理的に成立しそうになければ倫理の問題だのマナーの問題を持ち出しどんどんグレーゾーンを増やし、最終的に自分たちの首を絞めながらもどんどん息苦しい社会を作る。犯罪の原因を「未熟」に求めてはいけない。
 そうして彼ら彼女らは何らかの理由でつまづいたとき、理想とかけ離れてしまった自分の問題の原因を血筋や遺伝や才能や産まれたことに原因を求め、呪い出す。高すぎる理想や排除に働く基準自体が徐々に高くなっていることもわからず見直しもせずパニックに陥るのだ。

 劇中モンスター達は、そうした血筋や環境のせいにせず、自分や友達や戦略を磨き上げることで、ダイナミズムを発生し運までも味方に付けて競技を勝ち上がる。こうした王道的体験をもっと社会は多く用意すべきだし、そんな物語が産まれるのなんていまやオリンピックとアイドルと映画の世界にしかないのである。
 善き自己啓発はあるはずだ。まずは映画を楽しむとともに、そんなトラウマ思考から自分を脱却させていくメタ認知も面白いのかもしれない。

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【第1類医薬品】リアップX5プラスネオ 60mL

【第1類医薬品】リアップX5プラスネオ 60mL

  • 発売日: 2020/04/01
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品

「絆」はあなたになにをもたらすか、あるいはなぜ転職したい人は現れるのか-書評-パーソナルネットワーク

 すらすらよめてかなり面白い。震災後に「絆」という言葉が流行し、人とのつながりはどうあるべきかという議論が盛り上がり、仲間とは何か、親友とは何かなど、誰しもが関係について悩んだことはあるはずだ。そして本書はそれが何であるかはわからないが、人と人とのつながりにはちゃんと作用副作用があることが研究の世界で数値的に実証されていることを示してくれる。ソーシャルキャピタルからSNS,マルチレベルマーケティングまで、学術と経験を交えて著者のノウハウと魂がこめられた一冊。

 本書はネットワーク研究の今とこれからをつづった初心者向けの本。(文系教科であったという意味で)社会科学でありながら数理統計なども応用せねばならず、難しい領域であるはずのネットワーク研究を初心者向けに解説している。基礎や考え方、倫理や限界や研究方法の暗黙知(の一部)、これからのネットワーク研究についての希望までしっかりと書いてある良著。多くの人間の思考や決定は個の傾向を分析するだけではわからず、周囲の人間との関係やつながり方、職場の雰囲気や流動性などさまざまなパラメータによるダイナミックなものだし、そういったネットワークをベースにした分析に本書は解像度を与えてくれる。

ネットワーク研究でなにがわかるか。

例えば本書第3章では実際にネットワーク研究を行ってわかった面白い例を5つ紹介している。そのうち2つを紹介しよう

3年でやめる若者の転職しやすさ

 若者が就職後3年以内に3割(大卒)が離職する現象がここ10数年ほど続いている。著者はネット調査を利用し22〜29歳の若者で、転職希望者と非希望者計1000人にアンケート調査をし、若者が強い紐帯を好む結束型か弱い紐帯を好む橋渡し型かどうか、上司が結束型か橋渡し型かを判別できるようにし、分類して傾向を調査した。結果は以下だ。

上司結束 上司橋渡し
本人結束 △高職場満足、人間関係悩む、転職意向低い ×低職場満足、人間関係悩む、転職意向強い
本人橋渡し ◎高職場満足、人間関係悩まず、転職意向低い ○中職場満足、人間関係悩まず、転職意向弱い

こうして実はコミットメントや結束を求めてくる上司はうっとおしいかと思いきや意外と働きやすい、という結果が出た。一方橋渡し型の(要はいろんなコミュニティを飛び回るタイプ?の)上司と結束型の若者では相性が悪く、(すべての若者が辞めたいわけではないが)転職希望率は高まる。離職する若者は個人主義で職場適応能力が高いかと思われていたが、研究の結果で見る限りは職場に帰属意識を持ちたい若者ほど転職希望率が高いことが示された。
 詳細は元のレポートを見てほしいが、研究はこれだけでは終わらず職場の雰囲気が結束型か橋渡し型かまで含めたオクタント(8つの分類)を分析する。

結婚願望とネットワーク

 「パラサイトシングル」という言葉がセンセーショナルにひろがり、親に経済的に依存し結婚しない若者が一時期話題になった。少子化問題もあわせて恥の文化が消えたから悪い、親が悪いなどとステレオタイプをぶつけてくる論者も後を絶たなかったのであるが、実際にどうかをネットワーク研究の手法を用いて分析した野沢慎司氏の研究を紹介している。
 25〜34歳の未婚男女にアンケート調査を実施、有効回答数は703。結婚意欲に対して、親との経済的、心理的関係、恋人や友人との関係がどのような影響を及ぼしているかを検討している。重回帰分析を使うのだけれどうまく説明できないので結果を鵜呑みにする前に本書を参照してほしい。
 結果5つの結論を得た。

  1. 親への経済的依存が高いほど、結婚に消極的ということはない。
  2. 友人中心のネットワークは恋人のいない女性の結婚意欲を低める
  3. 恋人を含む高い密度のネットワークは女性の結婚意欲を高める
  4. 同僚中心ネットワークは、男性の結婚意欲を低めるが、女性の結婚意欲は高める。
  5. 恋人のいない女性は、仕事に満足しているほど結婚意欲が低くなり、仕事に不満足であるほど結婚意欲が高くなる。男性はこのようなことはない。

 パラサイトシングル論で言われた親との経済的関係はあまり意味を持たず、友人関係などのほうが影響を与えやすいことが示唆された。

ネットワーク研究の限界

 本書の一番の魅力はここである、ネットワークとは存在すれば大きい小さい強い弱い一方向双方向など分析できるものの、孤立や関係なさを証明することができない、「悪魔の証明」が存在する。ソーシャルキャピタル論の誤解や、強い紐帯と弱い紐帯を巡る議論、観察しにくさから認識に依存せざるをえないことなどを、1章と数項裂いてちゃんと説明してくれている。
 ネットワークを使う上での倫理として、ネットワークビジネスなどに加担しないことや、ネットワーク分析を使って一般市民から無理やりテロリスト候補を抽出したり、インフルエンザの感染源を特定して名前を公表したりすること。また、流動性が低い土地で近隣の人をどう思っているのかなどを聞き出しその結果を研究結果などとして公表すれば、近隣関係が悪くなりかねない。ネットワーク研究自体がネットワークを変質させたり、最悪壊しかねないことを指摘している。
 ネットワークに最適化はあるか、情報を紐付けることは監視かなど刺激的な問題提起がちりばめられているところも本書の魅力である。

奨学金を自己責任の問題にすると日本が滅ぶ

 もう若者にホームレスになれと言っているとしか思えないのでまとめてみたよ。

「雇用情勢の悪化」「賃金の目減り」…長引く不況で我が子の学費を出す親の収入は少なくなる一方だ。当然、子ども(学生)はアルバイト収入や奨学金を頼りにせざるを得なくなる。
 日本学生支援機構の調べによると奨学金を受給している大学生の割合はうなぎのぼりで増える一方だ。1996年には21・2%だったのが2010年には50・7%となった。2人に1人以上が奨学金を受けていることになる。
 ところが日本の奨学金は、前途ある若者の学業を援助するためのお金ではない。前途ある若者に多大な借金を負わせる、とんでもない制度なのだ。
 景気のよい時代なら働いてなんとか返せた。ところが不況で就職難の時代にあっては、とてもじゃないが返せる金額ではない。1千万円を超える現・元奨学生もザラにいる。返せなければ金融機関のブラックリストにあがり、クレジットカードも作れなくなる。
 もう我慢できない。奨学生(現役の学生)と奨学金の返済に追われる社会人がきょう、「教育の機会均等」を訴えて文科省財務省に向けてデモ行進した。(主催:全国学奨学金問題対策委員会)

田中龍作ジャーナル | 「奨学金」という名の学生ローン 1,000万円超す借金抱える若者も

 このデモの記事もいくつか事実誤認や誇張表現がある様子で、彼らは全員が奨学金給付者であるわけではなく、あくまで「教育の機会均等」を訴えているという。
 しかし奨学金を返したくないって訴えだと読み違えた人達から自己責任論が広がっている

わかってて借りたものをなぜ返さないのか・・・

大学いかなかったらよかったんじゃないかな

奨学金未返済者がデモ行進 「これは奨学金ではなく学生ローンだ」「バイトなんてしたくない」「勉強させてくれ」 : はちま起稿

2: ターキッシュアンゴラ(チベット自治区):2013/07/15(月) 21:18:52.41 ID:cG/eW2QK0

返せないじゃなくて返したくないだろ・・・やる気見せろよ

3: ハバナブラウン(やわらか銀行):2013/07/15(月) 21:19:04.43 id:irzBqYh+P

ちゃんと返せや
俺なんて頼み込んでバーチャンに500万返してもらったぞ

4: ジャガー(東京都):2013/07/15(月) 21:19:36.64 id:crK8pgvW0

銀行の学資ローンを使わないのはバカ

6: アメリカンワイヤーヘア(埼玉県):2013/07/15(月) 21:19:55.63 id:mjbL/aUW0

教育は投資ですから

http://www.tokuteishimasuta.com/archives/7222699.html

このデモに参加する人たちに共通するのは
「知らない、調べない」という事じゃないでしょうか。
ちょっと調べれば、経済的に困難な学生に対する、
授業料免除制度がある大学を見つける事はできます。
奨学金の返済が困難であれば、猶予期間を設ける事もできます。
画面に向かってキーボードを数回叩くぐらいの手間だけれど、彼らはしない。
「面倒臭い」「後回しにしよう」
そんな考えが彼らの根底にはあり、ズルズルと大学まで来てしまった。
楽な方に、楽な方に逃げた結果が、これ。
Aさんも(25歳・女性)も、こんなデモに参加するぐらいだったら、転職先を探せばいいのに。
結局彼らは「私達、こんなに頑張ってるのに世間は厳しい」という、
可哀想な自分たちを認め合うための居心地の良い共同体を作りたいだけなんでしょうね。

http://bayaread.hatenablog.com/entry/2013/07/16/170605

偉そうに書きましたが、僕は生活保護ギリギリの貧困世帯出身です。
親の援助は受けられないため、大学における生活費と学費は全て自分でまかなっています。
そして、奨学金も頂いていますし、授業料免除も受けています。
僕みたいな貧乏人が大学に行けるのは、この2つの制度のおかげですから、
本当に感謝しています。
お金が無くても大学で勉強したいんだったら、
「借金」というそれなりのリスクを覚悟するべきじゃないのかなぁ。

自分は奨学金もらったけどがんばってるからお前らもへらへらせずにがんばれよ、というエントリ。若いながらに老害感があって素晴らしい。

被差別階級作って叩き合いさせてたら矛先が体制に向かないしマジでチョロすぎワロタwwwという日本の伝統的分断統治に忠実な馬鹿であります。

もう少し大きい枠から物事を見ようか。
今の環境は適切なのかについて、知らない・調べないのは例の大学生と君は大差ない。
奨学金制度を利用する以前に奨学金制度そのものがおかしい。
つーか大学教育がクソ過ぎですね。
(以下目次抜粋)
費やした教育費と学歴は比例する
費やせる教育費は所得に依拠し、所得は居住地域と職業に依拠する
他の国では自動車を買うよりも遥かに少ない価格で提供されている大学教育について、いかに大金を突っ込んで搾取される事を美化するマゾの国が東アジアにあるそうですね?
苦労したから質の高い大学教育を受けられて上記の国々よりも経済的に豊かになったニダ!・・・と思ったら

http://anond.hatelabo.jp/20130717154434





 もう問題はある程度出ているが、id:bayareadの「デモしてる暇があるなら勉強しろ」という意見もわからんではないのだけれど、それは第三者効果というのだけれども、そこを取り出すなら二つの問題がある。
一つは就職活動の採用基準が真面目に勉強すれば採用されると言うものではないと言うこと。もう一つは俺が苦労してんだからお前らも苦労しろやというメッセージは他者の権利を奪い既存の権力構造を強化してしまう性質のものであると言うことだ。

誰が「自分が正規雇用されない」なんて気づくんだよ

日本の就職と教育が乖離してると指摘されて久しく、いまや親が就職活動にしゃしゃり出てくる時代になったと指摘されている。
「親活」の非ススメ “親というキャリア"の危うさ (徳間ポケット)
によると、いかに示すように1984年と2012年の大学を巡る状況を比べて大学に進学する者がエリートだけではなくなったこと、その裏で高卒での求人が10分の1に減り就職が困難になったことを指摘している。

1984 2012年
18歳人口 約168万人 約120万人
大学の学校数 460校 783校
大学進学率 24.8% 53.5%
大学の学生数 約184万人 約288万人
就職率 76.7% 63.9%

 背景には求人に大卒資格が書かれるようになったことが大きい。つまり、就職するためには大学に行かないと行けない状態で大学に行くには金が必要で、学費も高騰し、しかも大学に行っても3割強の人が就職できず進学か非正規雇用を選択しなければならない。
正規雇用から正規雇用に上がることもまれであるし、正規雇用の採用基準も曖昧で学歴や心象によるところが大きく、勉強するくらいならサークル活動に力を入れてチャラチャラしながら体育会系に気に入られるようコミュニケーション能力をあげた方が採用されやすい制度になっている。
大学に行ってしっかり勉強してまで自分が非正規雇用奨学金を返すのが困難な状況になると誰が予想できるか、こそが問題であり、その不安定を前提とするのであれば国がセーフティネットをもっと用意すべきだし、そもそも努力すれば報われる(この場合は完全雇用)が確保されてない状態で努力や個人の判断ミスに帰着させるのはいずれ人に迷惑かけるし死ぬんだから産むな、くらいのばかばかしい議論であるこには気づいておきたい。このトラウマ思考からぬけださないと大変なことになる。
教育と労働を取り巻く環境を勉強すれば「貧困の中苦労して大学に入学し奨学金をもらって大学卒業させてもらったから、これから社会に貢献するために働きたい」という物語すら夢見ることができないものが4割くらいいる社会、と言うのが日本の現実だ。
なお平均仕送り額もガッツリ減っており、ココ数年で家賃込み月10万円を切ったと言う話も聞いた。奨学金を学費に充てずに生活費に充てる学生も増えている様子だ。お金がない学生は資本が少なくてすむ教育業界に流れ込んでくるので教育関連サークルがけっこうな盛況である。

教育の二つの機能

 学校教育には二つの相反する機能がある。一つはトラッキング機能、もう一つは階層逆転機能である。
ラッキングとは、最終学歴が就職、年収等に直接結びつくという考え方で、中卒、高卒、大卒ごとに求人条件が違うし生涯賃金等も大きく変わってくる。
逆転機能というのは、そもそも学力は家庭の年収と相関することが指摘されており、義務教育はその家庭の教育力の格差を埋めることに意義があった。

教育の原理は市場原理とは違い、競争からはみ出そうな者をうまく社会化していくことに意義がある。そこに気づかなければいつまでたっても失敗を繰り返すだけである。

校長の役割って何なの?経営と運営の違い - 技術教師ブログ

センター試験はその象徴のようなもので、教科書の範囲をしっかり勉強すれば(国立)大学に行ける、わからない選択肢が出て来てもマークしておけば数分の1の確率で得点し、ランクの高い大学に行き年収の高い仕事に就ける可能性がある。
これらをまとめてパイプラインシステムと呼ばれていたが、2000年代から実はパイプに穴が開いており、その穴からパイプの外に排除された者達がニートや引きこもりとして社会復帰できないままくすぶっていることが問題になった。
このニート引きこもり問題は面白くて、彼らの9割は仕事をしたいと望んでいたり、親が裕福だから引きこもれるが、海外ではそこまで裕福ではないので若年ホームレスが増えたりと、世界的に社会の歪みとして噴出している。
詳しいことは以下のエントリに書いてあるが、結局今の日本は誰かの犠牲の上に生産性を維持している、世界的にも異常な状態である。
キャリア教育で若者は就職で苦労しないようになるの?-書評-若者はなぜ「就職」できなくなったのか? - 技術教師ブログ

若者に襲いかかる無限のリスク管理

 今回の騒動でわかるように、結局大人達は若者達に賢く生きなさいというダブルバインドをひたすら投げつける。
 中卒高卒で成功できるのは高く見積もっても1割くらいだ。就職できるのも2割位。10人に1人しか成功できない道と、借金が必要だけれど10人に9人(大学が公表している内定率)が成功している道があるなら、後者を選んだ方が賢い。
 そのため若者の多くは進学を選択する。最近は進学すれば就職できる訳ではないことも共有されて来たので、大学の卒業要件の単位とともに教員免許や簿記など資格を取ることに奔走し、もはやモラトリアムが亡くなりつつある。これが世の中の歪み更にひどくしているのではないかと個人的には考えている。少なくとも自己責任で叩いてる層はこのモラトリアムの時期にちゃんと考えてこなかった層だ。ろくに最後まで記事をよむ習慣もなく条件反射のようにコメントをする。
 それでいて大学では真面目に勉強しても、内定が先に出るのはコミュニケーション能力がある若者だったりする。就職できなかったのは決して勉強をまじめにしてこなかったせいではないのだ。起業と言う選択肢もあるが、起業はさらに借金が増える。
 くじけなければどこかに内定がもらえるかもしれないが、そこは日本の7社に1社と言われるブラック企業かもしれない。くじければ非正規雇用に落ち着かなくてはいけないかもしれない。ベーシックインカムワークシェアリングやもう少し働かなくても生きていける社会とかそう言う選択肢があってもいいはずなのにそう言った議論は起こらない。
 そんな状態で奨学金を借りなければいい、無理して大学進学するな、とまで言われると、ほぼ選択肢は全滅である。別に貸与型の奨学金を返さなくてよいといっているわけではない。なお、転職を1回するごとに生涯賃金が8割になると言われている。
 若者が欲を持てないというのは、偏にこうしたもっとリスク管理をしろ、という声からだ。責任を追及されることを恐れてテンプレ化された行動しかとれなくなってゆく。さらには自己啓発や根回しなどリスク管理のためにばかり時間を使わねばならず、結局勉強や研究等<これからの生産>に必要な時間を確保できないことになる。もうすこし若者にモラトリアムかそれに代替するような経験を用意してあげたいし、若者の首を絞めることは日本全体の足を引っ張ることになることも踏まえて皆で解決策を考えていきたい。

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FC2 liveは一晩で15万稼げる

土日は一晩で30万円。非接触でマスクしてコメント読んで裸体さらすかどうか焦らすだけでそんだけ稼げるので、罵倒コメントや顔ばれを気にしないのであれば下手な風俗より参入してくる利用者は増えそうだ。きっかけは以下の記事。

インターネットの動画投稿サイト「FC2動画」に自身の下半身を露出した動画を投稿したとして、京都府警サイバー犯罪対策課などは26日、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の疑いで、名古屋市千種区幸川町の塾講師の男(28)を逮捕した。容疑を認めている。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1306/27/news049.html

女子高生との性行為を生放送した男が逮捕
2013/7/ 5 13:30
女子高生と生中継で性行為する動画を流し報酬を受け取っていた川崎市麻生区白鳥の予備校講師、小林陽介容疑者(28)が2013年7月4日までに逮捕された。
小林容疑者は動画の生中継サイト「FC2ライブ」を使い、少女の自慰行為や自ら性行為の相手をして動画を流した。性行為ができるうえ金が稼げることが目的だったという。「FC2ライブ」は視聴者数に応じて報酬が支払われるシステムで、小林容疑者はこれまで50人ほどの少女を出演させ12年1月以降約900万円を受け取っていたという。

女子高生との性行為を生放送した男が逮捕: J-CAST ニュース

ニコ生の研究も最近はおろそかになっていたし、気になったので一週間くらい無料の範囲で観察してみた。FC2 live自体はほぼニコ生の丸パクリサイトで投げ銭機能ついただけ。
自分の番組を配信できる/2人だけでライブチャットができる - FC2ライブ
右上にアダルトへのリンクがあるのでクリックは自己責任でお願いしたい。

サービスにはいくつかパターンがあって、まずライブ配信と2ショットチャットに分かれる。チャットは最初から料金制。
ライブ配信は主に4パターン。

  • そのまま見ることができるもの
  • ログインが必要なもの
  • ログインしててもポイント(1p/1円)を持ってないと見れないもの
  • 見るのに課金が必要なもの:有料チャンネル

最初に普通の配信で下着姿になりきわどいところまで出して盛り上がってきたら有料配信へ、というフリーミアムモデル配信が一般的であった。
有料チャンネルは何秒かごとに数ポイント必要というもの。裸を見せたり性的な行為に至ろうとしてリスナーをじらせばじらすほどチャリンチャリンお金が入ってくる仕組みだ。既存のライブチャットと基本的には変わらない。
内容も人物中心だと普通の若いお姉さんを中心に熟女配信や妊婦配信、絡み配信、着替え配信、面白いものだとエロ漫画家が原稿書いてる様子の配信などがある。
変り種になると昼のベッドルームに隠しカメラを仕掛けて妻が不倫してる姿を配信するものや、マンションを無料で貸す代わりに24時間監視する配信、自称71歳の爺さんが猥談する配信や女装配信、男がひたすら自慰行為をし続けるだけの配信など無駄に洗練されている。
それらが全世界に向けて配信されていて、中国や韓国などからもコメントがついたりする。すばらしい日本文化である。

えげつない点は次の2つ。

  • 明らかに著作権法を無視した動画配信で報酬を得ているものがいる

 過去の配信を録画したものや自主制作AVならまだいいが、無修正AVや昔のお色気アニメなど配信していいところで課金を迫るハイエナさんがたくさんいる。さすがgoogleで検索したら無法地帯とサジェストされえるFC2さんやでぇ。

  • 明らかに業者が入ってる

 ニコ生のようにきったない自分の部屋からの配信は少ない。明らかに違和感のある綺麗な部屋でソファに座って配信しているものがほとんどである。素人感を出すために初めてですといいながらあざといカメラアングルを仕掛けてくるので明らかに打ち合わせした痕跡が見える。いくつかの放送でプロ用の照明やマイクが映り込んだりしてるのもキャプチャ済みだ(こういうキャプチャってブログで公開していいものなのだろうか?)
 それからローションのような液体の入ったボトルやラップなどで擬似モザイクをつくったり、光の加減で下着をずらしても局部が映らないようにしたり、うまいことカメラアングルをあわせて大事な部分が映らない様にセクシーポーズを仕掛けたりするのでまことにけしからん。多分プロやマイナーなグラビアアイドル落ちかアダルト女優なんじゃないだろうか。なんにせよ新たな売春の形としてこれらアダルト配信が利用される可能性があるし、気軽なバイトといって声をかけて機材用意してマージン抜くヤクザ商売も成り立つ。これだけ無法地帯で海外のサーバを使ったサービスだからなのだと思うけれど、海外サーバからの動画配信でも日本では罪になることがわかったので気をつけなければならない。

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アキヨドで視聴しまくった結果、一番費用対効果が高かったオススメイヤホン

 もし見た目でなく音でイヤホンを選んでみたいと思ったときどれを選べばいいだろうか?先日イヤホンを選ぶのでついて来てほしいと言われたので、そこに展示してたイヤホンを聞き漁ってみた。
 アキヨド面白くて自分のipadやmp3プレーヤ等を接続して音の確認が出来るようになっている。これほどかと思う位に音が違うので別に買うつもりがなくても近所の家電製品やで聞き比べてみるのは楽しいだろう。技術的には中の構造を複雑にして音の響きを調整したり、電気回路を改良したり材質材料を改良していくのが基本で、構造や仕組みによって名前や性能が変わったりする。多くのイヤホンは音のバランスを取るために回路で低音を殺したり空間っぽさを出すために訳の分からんエコーをきかせたりで全然そこに人やオーケストラがいて歌っているような気配を感じれない。その点今回紹介するイヤホンは音の広がりと迫力のバランスがよいと思ったものを僕の好みでランキングした。あくまで好みの問題であり、コストパフォーマンスの話だ。

 1位はやはりこちら。

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 低音の再現性が全然違う、三浦大知のライブDVD音源に収録されているJamiroquaiのVirtual Insanity のカバー曲があるのだが、これが一番テンション上がる再生をしてくれる。水没させたり紛失させたりでもう3代目だが、使い続けてる。断言できるがとりあえず欲しいときに一番いいイヤホンである。売り場にはEP-650とかEP-830とか似たような型番のもあるのだけれどEP-630がやっぱり最強。2chまとめサイトにも同様の意見が沢山みられる。
 2位はこいつ。フィリップス。 たしか半年間愛用した。低音の音量がEP-630と同じかそれ以上にいい。素人でもわかる感じ。でも多分外タレのラブソングが日本人のラブソングと比べてロマンチックに聞こえるのと同じ効果だと思う。
 3位と言うか一番いいのはやはりゼンハイザー。もうどのイヤホンでもいい。 僕が行ったときにはアキヨドに売ってなかったけど視聴した中でゼンハイザーではこれが一番すき。しかし高いのでコストパフォーマンスを考えるとそんなによろしくない。

ゼンハイザー初心者向けはこれがいいらしい。

 通勤時に聞く音楽の温室が違うだけでその日がんばれたりテンションがかわったりするものだ、ぜひ試してみてほしい。

校長の役割って何なの?経営と運営の違い

大阪市の民間人校長が速攻で辞めたといって話題になっている。
1290人の中から選ばれた精鋭だったのに非常に残念。「自分の活躍できるフィールドではなかった」と、そんな準備されたフィールドが私立の進学校以外にあるのか疑問である。

続きを読む

facebookアカウントをのっとられた人に話しかけられた

 お世話になってる方からメッセージで以下のようなURLが届いた。機会がないとめったにしゃべらない方が急に「いますか?」と語りかけてきた後の話である。

「よろしければお友達の撮影作品を投票していただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたしま(^^)
@http://www.jackvottjp.tk/page/voteklint.php?pid=21

.tkの時点で怪しく思ったがアクセスしたらページの表示が重く、投票サイトが出てきた。
一応yahooとか書いてあるのでそういうphpとかが提供されてるのかと思った。またどっか別のサイトで投票受付中ってやってるかと思いgooglehttp://www.jackvottjp.tkで検索しても出てこないし投票に電話番号が必要なのでおかしいなと思っていたら、IDが不正使用されていた様子。電話番号が必要といわれたので情報管理の観点から先方にお断りしたら返信がきて発覚。
 感動したらシェアとかなんとか診断とかやってると引っかかりやすい。身内がやってたら注意。診断サイトや不正アプリで「メッセージにアクセス可能」って書いてあったら注意。メッセージ送られてくるだけでなく気づかないうちに送っている可能性もある。

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