校長の役割って何なの?経営と運営の違い

大阪市の民間人校長が速攻で辞めたといって話題になっている。
1290人の中から選ばれた精鋭だったのに非常に残念。「自分の活躍できるフィールドではなかった」と、そんな準備されたフィールドが私立の進学校以外にあるのか疑問である。

大阪市教委が進める民間人校長枠の拡大
 【尾崎文康】大阪市教委が来春、新たに着任させる小中高の校長69人のうち、35人を民間から公募する方針を固めた。民間人校長の採用が11人だった今春の3倍以上で、全国でも群を抜く。学校選択制など橋下徹市長が掲げる施策への賛意を確かめる異例の選考を検討中で、現場での橋下色が一層濃くなる見込みだ。

 今回は公募69人分のうち35人を民間人、34人を教頭出身者と明示する方針。民間人には高校1人分も含む。21日の市教育委員会会議で募集要項を決定し、正式に公募を始める見通し。

 外部人材の登用を進める橋下市長の意向を受け、昨年度、小・中学校長50人分を公募したところ、教頭が362人、外部から928人の応募があった。だが市教委が3次の選考を進めるうち、通過者の多くを教頭が占め、合格者63人のうち民間は11人にとどまった。「千人近い応募があったのに、あまりに少ない」との声が内部からも出ていた。

大阪市教委:市立学校の校長公募 35人を民間人に
毎日新聞 2013年05月21日 13時35分(最終更新 05月21日 14時15分)

 大阪市教委は21日、教育委員会会議を開き、来春着任する市立学校の校長公募について、採用する約70人のうち35人を民間人から選ぶことを決めた。11人だった今春の約3倍で、大規模に民間人校長を公募するのは全国でも異例だ。

 市教委は昨年、橋下徹市長の意向で小中の校長約50人を公募して63人が合格したが、民間人は11人にとどまった。市教委は「教育現場に多様な価値観を入れる」として、今年度は民間人枠を設け、小中の計34人と高校1人を募集する。

 文部科学省の調査では、2012年4月時点で全国の公立学校の民間人校長は計122人。市議会からは「教頭の日ごろの頑張りを否定することにならないか」との懸念もあるが、橋下市長は記者団に「(民間人採用の)枠を決めないと内部登用に傾く。(教頭も)公務員をやめて挑戦したらいい」と話した。【林由紀子】

橋下市長“目玉改革”に暗雲? 民間公募校長3カ月で退職 退職理由「言えない」
2013.6.25 15:09
 大阪市教委が市立小中学校で今年度から導入した校長公募に合格し、4月に民間人校長として就任した市立南港緑小学校(大阪市住之江区)の千葉貴樹(たかき)校長(38)が、25日付で退職することが分かった。校長公募は民間人登用を推進する橋下徹市長の肝いり施策で、今春に11人が就任。3カ月足らずで退職することになり、児童や保護者への不安を招くとともに、市教委の採用責任も問われそうだ。

 千葉氏は外資系証券会社出身。市教委関係者によると、すでに退職届を市教委に提出しており、25日の市教育委員会議で正式に退職が認められる予定。

 千葉氏は産経新聞の取材に対し、退職理由について「まだ児童や保護者に話していないので言えない」と明言を避けた。同日午後に臨時の全校集会を開き、児童らに説明するという。後任の校長については、市教委が内部の人材を充てる方針。

 校長公募は昨年7月に成立した市立学校活性化条例に基づき実施。全国から1290人が応募し、民間企業などから11人、教頭など市教委内部から52人が合格した。

 市教委は民間人校長をさらに増やすため、平成26年度に新たに着任させる市立小中高の校長69人のうち、約半数の35人を民間からの採用枠として設定している。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/130625/osk13062515170007-n1.htm

給料最低・小規模校…民間人校長、謝罪なき退職


記者の質問に答える千葉校長(25日、大阪市住之江区で)=長沖真未撮影
 大阪市立小中学校で今年度から導入された校長の全国公募に応募し、4月に民間人校長として就任した市立南港緑小学校(住之江区)の千葉貴樹校長(38)が25日、「私が力を発揮できる場所とは違う」と述べ、同日付で退職した。

 同市の民間人校長は今春、11人が就任したが、退職は初めて。校長公募は橋下徹市長が掲げた教育改革の目玉だっただけに、3か月足らずでの退職は波紋を広げそうだ。

 この日の市教育委員会議で退職を承認された千葉氏は、同小で記者会見。複数の外資系証券会社に10年以上の勤務経験があるという千葉氏は、「経験を生かし、英語教育に力を入れたいとアピールしたが、今の学校の課題は基礎学力の向上だった。英語教育に力を注げる環境ではなかった」と説明した。

 また、採用過程で市教委側と意見交換する機会が少なかったことに不満を述べ、「若いからといって、各学年1学級しかない小規模校に配属され、給料も経歴に関係なく最低級。年功序列だ」と批判。自らの退職による混乱については「何も不祥事は起こしていないし、謝罪することではない」と語り、児童に対する思いを問われ、「申し訳ないという気持ちではなく、残念な気持ち」と話した。

(2013年6月26日07時51分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130626-OYT1T00239.htm

できるやつをさらにできるようにするのは、たいてい誰だってできるし、できないやつを普通を越えてできるようにするのが教員の最終目標のはずなのだが、もう何を言ってるか理解できない。
これに対し民間人校長を推し進めて来た市長は。

校長退職で橋下氏「合わないとすぐ辞める民間」

 大阪市立小に今春就任した民間人校長が3か月足らずで退職した問題で、橋下徹市長は26日、「非常に残念。自分に合わないといってすぐに辞めるのは民間の特徴だ」と述べた。

 市役所で記者団の質問に答えた。

 橋下市長は、退職した校長について「子どもがいるのだから、責任を持って応募してもらわないと困る。公の世界だという自覚を持ってもらいたい」と指摘。一方で、「年功序列の給与体系や、活躍の場がないことについて良い問題提起をもらった。公募制度が失敗だとは思っていない」とも語り、今後も制度を推進していく考えを示した。

(2013年6月26日14時37分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130626-OYT1T00892.htm

 市長が自分で民間大事とか言いながら退職事例が出たら「すぐやめるのが民間」などと華麗な待ちガイルからのサマソゥを決めた。
では教育側では民間人校長はどのように見えてきたのか。
まず2009年。

「民間人校長」もう増えない!?
2009/01/08
筆者:渡辺敦司関連テーマ:[教育動向]
東京都杉並区立和田中学校の校長を務めた藤原和博さん(2003〜2007年度、現大阪府教育委員会特別顧問)でも知られるように、教員出身者でなくても学校の正式な校長になれることは、皆さんもご存じだと思います。ところが、文部科学省が先頃発表した調査によると、民間人校長はここ数年、増えているどころか、減少傾向すら見せているのです。

まず、民間人校長とは何かを押さえておきましょう。
校長はもともと、教員免許状を持ったうえで、教諭をはじめとした「教育に関する職」を5年以上勤めた人でなければならない、という制限がありました。それが1998(平成10)年9月の中央教育審議会答申を受けて、2000(同12)年度からは(1)「教育に関する職」に10年以上就いているが免許はない人、だけでなく(2)教育とまったく関係のない仕事に就いていて免許もない人……も校長に登用できるよう、制度を改正しました。
民間で培ってきた経営感覚やリーダーシップなど新しい発想を取り入れることで、マンネリ気味だった学校の運営に新風を送ろうとしたのです。民間人校長が配置された学校にとどまらず、ほかの学校にもそのノウハウを広げたい、という意図もありました。
「民間人校長」と呼ぶ場合、広い意味では(1)(2)を合わせて指す場合があるのですが、ここでは狭い意味で、教育とはまったく無縁だった(2)の純粋な民間出身者に限定しておきます。

制度が始まった最初の年、民間人校長はゼロだったのですが(「教育に関する職出身者」は1人)、2001(平成13)年度以降は6人、21人、58人、79人と急速に増えていき、ピークの2005(同17)年度には38都道府県市で92人を数えるまでになりました。
しかし、その後は89人、87人と伸び悩み、2008(平成20)年度は39都道府県市で80人にとどまっています。民間人校長が定年になったあとに、代わりの民間人校長が登用されなかったところも少なくありません。「教育に関する職出身者」を加えれば計99人となり、2005(平成17)年度(103人)と比べても大きく変わらないのですが、民間の力を生かすという点では、後退と言えるかもしれません。

なぜこうなったかについては、もちろん個別の自治体や学校によって事情は違いますが、一定のノウハウが蓄積されて所期の目的は達成された、と判断するところも少なくないようです。一方、登用される校長先生の側の立場から言えば、学校は予算や人事が民間企業ほど自由にならないだけでなく、意思決定の方法ひとつ取ってもトップダウンが通用しないなどの「学校文化」になじめず、思うようなリーダーシップが発揮できなかった、ということも、頭打ちの要因としてあることは否定できません。

なお、2006(平成18)年度からは教頭にも校長と同様の制度改正が行われたのですが、「民間人教頭」は2007(同19)年度、2008(同20)年度ともに3県で計5人にとどまっています。実務を担う教頭先生でいっこうに増えないところに、民間人を学校に登用する難しさがいっそう表れていると言えるかもしれません。

http://benesse.jp/blog/20090108/p3.html

実は校長だけでなく教頭も民間から募集されていた。2010年の記事。

増えない「民間人教頭」、頭打ちの「民間人校長」
2010/12/20
筆者:斎藤剛史関連テーマ:[教育動向][学校]
民間の柔軟な発想を公立学校の運営に取れ入れるため、政府は法律を改正して、教員免許がなくても、民間出身者を校長や教頭などの管理職になれるようにしています。「民間人校長」は2000(平成12)年4月から、「民間人教頭(副校長を含む)」は06(同18)年4月から、それぞれ制度的にスタートしました。しかし、文部科学省の調査によると、民間人校長の登用が頭打ちになっているほか、民間人教頭はいまだに全国で1桁台の人数しかいないことがわかりました。なぜなのでしょうか。

民間人教頭は、2010(平成22)年度で全国に52人います。しかし、よく見ると、養護教諭(保健室の先生)や教育委員会職員など、教育関係の仕事に就いていた公務員がほとんどです。純粋に民間から登用された民間人教頭は、制度が始まってから5年も経つのに、6人しかいません。
民間人教頭が増えない背景には、民間企業などと比べて、同じ「管理職」でも、学校の教頭が特殊な立場にあることが挙げられます。最近では「主幹教諭」という準管理職に当たる職も創設されて、学校組織も徐々に変わりつつあるのですが、多くの公立学校では、いまだに「校長と教頭以外の教員は、全員平等」という意識が、強く残っています。
校長と一般教員の間に立つ学校運営の「要」である管理職でありながら、実際には所管のはっきりしない仕事が全部回ってくるというのも、教頭の実態です。「蛍光灯の取り換えから花壇の水やり、ゴキブリ退治まで、あらゆる仕事をこなす」(ある教頭)ことさえあります。
実際、校長と一般教員に比べて、教頭の時間外勤務ははるかに長くなっています。そこに民間人が就いても、本来の能力を発揮するのは困難です。その証拠に、実際に純粋な民間人教頭が登用されているのは、比較的組織が大きい高校のみで、小・中学校は一人もいません。

一方、「民間人校長」は、実質的に01(平成13)年度の6人からスタートして、05(同17)年度の92人をピークに80人台で推移しており、10(同22)年度は86人でした。マスコミなどでも大きく取り上げられて話題になった民間人校長の登用は、既に頭打ちになっていると言ってよいでしょう。
民間人校長の中には、革新的な試みで、全国的な注目を集めた人がいたことも確かです。しかし「期待されたほどの成果はない」というのが、多くの教育関係者の一般的な見方です。

このように、一部の例外を除いて、民間人の管理職登用はあまり成功しなかったというのが実態のようです。民間人を生かせない学校組織の在り方に問題があるのか、それとも、学校そのものが民間人に向いていない存在なのか。今後しっかりと検証する必要があるでしょう。

http://benesse.jp/blog/20101220/p2.html

この辺の反省が大阪にはまったく生かされていなかったわけで、応募するほうもまったく事前情報を調べていなかった可能性がある。

変わる校長先生の役割 「管理型」から「マネジメント型」へ
2011/05/16
筆者:斎藤剛史関連テーマ:[教育動向][学校]
校長先生といえば、学校で一番偉い人です。そんな校長先生に、今、どんな力が求められているのでしょうか? 国が主催する教員研修を行う独立行政法人教員研修センター」は、今年度から、従来の校長研修の内容を大幅に見直して、「校長マネジメント研修」を始めました。これからの校長に必要なのはマネジメント能力だというわけです。校長先生の仕事も、これから大きく変わってくるようです。

では、なぜ校長に、マネジメント能力が求められるようになったのでしょうか。
これまで、校長に求められる力は、豊かな教育実践の経験、リーダーシップ、みんなから信頼されるような人柄、学校経営の力などが挙げられていました。とりわけ近年、重視されるようになってきたのが、学校経営力でした。その背景には、学校全体が組織的に対応しないと解決できないような問題が増えたことがあります。
しかし最近では、学校「経営」力だけでは十分ではないと指摘されるようになってきました。中央教育審議会の教員の資質能力向上特別部会は、今年1月にまとめた審議経過報告の中で、「マネジメント型管理職」を養成することを打ち出しています。その理由として、子どもや保護者の要望が多様化したことや、今後10年間で教員の約3分の1が入れ替わることなどが挙げられています。つまり、これまでのように組織をつつがなく運営するだけの「管理型管理職」では、もう時代の変化に対応できないということです。

では、マネジメント型管理職の能力とは、具体的にどんなものでしょうか。先の審議経過報告は、教員個人の力量に頼らず、チームとして問題を解決する力などを例示しています。特に文科省が重視しているのが、保護者や地域と一体となって子どもたちの教育に当たる「コーディネーター」(調整役)としての力量です。
これには、「新しい公共」という民主党政権の考え方が反映しているようです。学校教育分野では、学校が積極的に働き掛けていくことで地域や家庭の教育力を復活させ、学校と保護者・地域住民が一緒になって子どもたちを教育していこうというものです。鈴木寛文部科学副大臣は、教育雑誌のインタビューなどで、「上意下達でルールを守らせていく管理型管理職は、もういらない」と断言して、保護者・地域・学校を一体化できるマネジメント型管理職が必要だと訴えています。

教員研修センターの校長マネジメント研修では、民間人校長として地域住民と一体となった学校づくりで知られる藤原和博・前東京都杉並区立和田中学校長らが講師となる予定です。

http://benesse.jp/blog/20110516/p1.html

 マジックワードが並びすぎて気持ち悪いのだけれど、簡略化すると校長の仕事は昔からあった内部の調整だけでなく外部との折衝や企画力まで問われるようになっているという話。
特に民間人校長としてほぼ唯一といっていいくらいの成功者である藤原校長はこう述べている

まずお伝えしたいのが、失業中なので職を得たい・年収を上げる転職をしたいという方にはご遠慮いただきたいということ。僕が経験したから言えることなのですが、校長という仕事は企業のマネージャーよりもはるかに難しい仕事です。なぜなら校長には人事権も予算権も無いからです。部下を自由に異動させることも昇給させることもできません。また、優秀な部下に“社長賞”のような金一封を渡すこともできないのです。昇進でも給与でも部下をコントロールすることができないので、求められるのは究極のマネジメントになります。

大阪市の教育改革「小中学校の校長50人を公募」日本で最も難しいマネジメントへの挑戦者求む!――杉並区立和田中学校前校長・藤原和博氏 | 経営請負人の時代 | ダイヤモンド・オンライン

 藤原元校長あいかわらず喩えがうまい。希望論を述べて現場にはチャレンジ精神がある校長が1割しかいないと指摘した後情報マネジメントの話に論点をすりかえてるところもお話し上手。今回の事件をどう捉えてらっしゃるのかしら。
 それはともかく、校長の仕事は経営の仕事とはわけが違う。経営は何らかの方法で利益を追求するために部下や取引先とのインセンティブをすり合わせる。逆に言えばインセンティブが一致していれば部下も取引先もある程度やる気を出すわけだ。
 それに対し学校で求められるのは運営だ。予算も人員も決まっている中で、教職員が子供たちに対していかに効率的に知識と疑問を植えつけていけるか、その環境を整えることになる。事務処理や企画をはじめ教育委員会との折衝、教員同士の同僚性の向上や組織化、保護者にいかに下手な介入をさせないかなど、課題は内外に及ぶ。毎学期の頭と終わりに式辞に見せかけた説教をたれるだけではないのである。
 金銭的インセンティブを確保できない以上教員を動かすのには信頼関係が必要だし、競争原理に基づいて権威的に規範に訴えるしか能のない者からドロップアウトしていく。教育の原理は市場原理とは違い、競争からはみ出そうな者をうまく社会化していくことに意義がある。そこに気づかなければいつまでたっても失敗を繰り返すだけである。予算は増えないまま、教育に求められるものばかりが肥大していく。校長の仕事が内部の調整だけですまなくなったのもひとえにこうした圧力が教員の雑務を増やしているからという背景がある。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130626/k10015585221000.html
校長になろうとしていた方々の記事もあったので紹介しておくがこれもひどい。

転職サイト「ビズリーチ」を運営するビズリーチは、大阪市立小・中学校長50人公募(9/10募集終了)に協力。ビズリーチ経由で応募したビジネスパーソン(平均年収1,017万円)769人を対象に、アンケートを行った。アンケート期間は8月30日から9月3日。

応募者の属性を見ると、平均年齢は50歳で、約6割が21人以上の人をマネジメントした経験を持っている。男女比については男性が94%、女性が6%と男性が圧倒的多数となった。

経験業種のベスト5を挙げると、1位「メーカー(29%)」、2位「IT・インターネット(20%)」、3位「流通・小売り・サービス(14%)」、4位「金融(12%)」、5位「教育・官公庁(6%)」となっている。

同様に、経験職種ベスト5では、1位「経営(48%)」、2位「営業(16%)」、3位「管理(10%)」、4位「マーケティング(9%)」、5位「金融(4%)」となった。

アンケート調査において、「校長になったら、あなたのスキルの何が活かせると思いますか?」と尋ねたところ、1位「マネジメント力(80%)」、2位「発想力(68%)」、3位「実行力(68%)」という結果になっている。

また、「あなたが校長になったら何科をつくりたいですか?」と尋ねたところ、「働く科」、「社会貢献科」、「まず動く科」、「現実を知る科」、「SAMURAI科」、「親と子どもが向き合う科」など、さまざまなアイデアが寄せられた。

「もともと教育分野で仕事をすることに興味はありましたか?」という質問では、72%の人が「もともと興味があった」と回答している。

大阪市立小・中学校長50人公募に応募した人はどんな人?-ビズリーチ調べ | マイナビニュース

 マネジメント(笑)発想力(笑)。それでいてやりたいことは、「働く科」、「社会貢献科」、「まず動く科」、「現実を知る科」、「SAMURAI科」、「親と子どもが向き合う科」。自分たちはさも現実を知っているような口ぶりで、サッカーチームみたいな授業をやりたいそうだ。実際は校長になって若者に説教をしたいってインセンティブで応募しているだけなのでは?とも読み取れる。
 問題は親と子供が向き合う、という部分で、大阪市は約3%の世帯がひとり親で、離婚率は全国でも高い水準となっている。厚労省大阪市(リンク先に統計資料あり)も一応支援サービスを行うなど、なかなかセンシティブな状況だ。
貧困や家族とのコミュニケーション不足など、学力向上を阻害する要因は山ほどあるのに、それを親と子供が向き合ってないせいだと認識しているのは教育業界の上に立つ人間としては非常に怖い。
教育をもっと活性化させたいならまず民間から呼び込むより教育委員会の決定を覆す権限を校長に与えるべきだし、なにか組織を以ってチャレンジしたくなるようなインセンティブを整理すべきだ。現場を見れば力量があるにもかかわらず校長にならずに40年間教壇に立ち続けたがる教師もいるくらい、この仕事はもともとエキサイティングなものであるはずだし、それを阻害しているのは市場原理を教育現場に持ち込もうとする政策に他ならないのである。