今後も個人個人の活躍は変わらないのにSMAPが解散するとなぜ問題なのか

 国民的アイドルグループSMAPが突如解散を発表し、オリンピック中継中のNHKですら速報を出すレベルでニュースになった。
芸能記者たちはみんな気づいていたらしく、ほら年始の騒動の時に言ったろ、予言した通りだったろ、と言わんばかりの態度で連日記事をどんどん上げている。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/08/15/kiji/K20160815013170810.html
しかし、冠番組が減るとはいえ個人個人がメディアに出続けることには変わりはない。では解散の何が問題なのか。

ジャニーズにはグループそれぞれにファミリーと呼ばれるファンクラブへの入会の是非を問わない応援団が存在するという。その大半は女性で、彼女らはライブチケットを取ってグループで見に行くという習性を持つ。その中で、私は誰が好きだ、というのを担当と呼ぶ。例えば嵐のファンであれば、私は櫻井担、私はニノ担、といった具合にアイデンティティを持つ。そうして担当かぶりしないようにしながらグループの応援を続ける。小学校や中学校でもこの現象は変わらず、本当は松潤が好きなのに中心的な子がその担当であるから、仲間外れにされないよう自分は別の担当をやっていた、といった話もある。

ジャニーズのグループを好きでいること、はファンにとっては仲間をつなぎとめる鎖やアイデンティティとして機能する。遠方からオフ会をするノリでライブに集まって今日のライブの何が良かった、と語り合って帰る、という文化はいまやジャニーズだけにとどまらずいろんなアーティストに見られるが、SMAPが活躍をはじめた時代から、彼らは音楽市場を大きく拡大しながらファン文化の浸透に貢献したと言って良いだろう。

また、男性アイドルや韓流アイドルのファンの間では最初は担当と言いながら、徐々にメンバー同士の関係性を楽しむようになっていく「関係性消費」の傾向が見て取れる。BLを読む心理に近いのであるが、とくに恋愛要素がなくても問題はない。

例えばハワイロケでメンバーのうち二人がお出かけするだけの、何の盛り上がりもない映像がDVD化され爆発的に売れていく。ただクネクネするだけでファンたちは楽しめるのであり、この辺はモー娘。のまーどぅーのようなCP(カップリング)の方が壁ドンやアゴクイをしている分過激かもしれない。

このグループのあの二人は楽屋で仲がいい、このグループのあの二人が全く会話をしないけれど実はおなじスイーツを分け合って食べるくらい仲良し、あの二人がライブ中によくアイコンタクトをしている、などその瞬間を見るためだけにライブに行くファンもいるという。今回のSMAP解散についても、香取と草なぎが結婚するからだ、などという飛ばし記事が出たくらいである。SMAPのライブや楽曲は今後も聞けるとはいえSMAPとしてライブが行えなくなると、そうした楽しみを消費する機会が極端に減ってしまうのである。

それぞれ事務所は違うけど同じグループに所属して歌っているAKBのような事例もあるので、歌番組で今後共演が全くない、といったことはないと思われるものの、不仲や事務所NGによってメンバーのうち特定の二人が共演NGといった話は浮上してくるかもしれない。(それはそれで関係性消費の材料にはなるのであるが。)紅白で有終の美を飾って欲しいという声もあるし、ジャニーズという規制がなくなった分個人個人は活躍の幅が増える可能性も十分にある。今後も定期的に交流している写真や映像を出してファンを楽しませて欲しい。

がんばりましょう
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