CLUBHOUSE一週間観察記 オタクはどこで部室を探すのか

ClubhouseというチャットベースのSNSが流行っており、ここ数日で地上波メディアにまで紹介され、日本人の登録者数が倍倍に増えているという統計も出ていた。

僕もネットヲッチとして一週間ほど前に入ってみた。招待にはiOSアプリと、電話番号が必要だ。iphoneユーザーしか今のところ参加できない。登録した人は招待枠を2枠もらえるので早速で5000円で招待枠が転売されていたらしい。

 

いろいろ観察や実験をして友人から初日ブロックを食らったり。ミッション達成報酬が設定されているようで、色々やっているうちに招待枠が増えたり。簡単に機能や特徴を話していこう。

clubhouseは招待制の音声会話SNSで、元々は車などの長距離移動や育児など手の離せない場面でコミュニケーションを取る為のツールとして開発された。ルームと呼ばれるチャット部屋が作成され、そこで二人以上で会話する。誰が発言しているかはアイコンの周りのエフェクトでわかる。ミュート参加もできる。聞く専門の人としての参加もできる。誰が参加しているかもわかるし、聞く席から参加して発言したい時は手を上げるボタンを押して承認される必要が合る。

モデレータ、スピーカー、モデレータやスピーカーにフォローされてる聴衆、ただの聴衆と、ソーシャルランクに応じた表示やできることの制限がか課さているレベル分けは面白いと思った。

使い始めて1日目、アーリーアダプターあるあるである旧友が近況報告で真面目な話をしているところにいき、無理矢理あげられイジられる流れが発生。このアプリすごいよね、という話より、このアプリのこの部分どうなってるんだろう?を調べるのが好きな人たちなので、まず友人にブロックくらった。モデレータにブロックされても会話には参加できるっぽい。最近仕事でダンスに携わることが多いので、ダンサーの友人を探してみたが、まだ日本語でダンサーって書いてる人は少ない。

2日目、「VCが考えてること」「キャリアを考える」「clubhouseとソーシャルグッドをつなぐ会議」意識の高いタイトルが立ち並んでおり、絶対に出てくると思った「世界一意識低い部屋」などが登場。そうやって逆張って出してくるのもプロレス的な意識の延長だなと思い、友人とスプラトゥーンをプレイ実況解説しながら近況を語るという部屋を作った。

ガチの意識低い部屋だ。多分clubhouse初であるとともにDiscordでやれと言われる内容だった。ただただ、通話中に入ってくる友人の子供の声が可愛かった。「やっつけたねえ!」「パパ下手ー!」SNSには乗らない声だ。

 

3日目、昼から会話に参加せず聞いてるラジオユースをするリスナーが多いことに気づいた。みんなお互いに働け、と言っているが多分働きながらアプリをチェックしてるのだろう。このどこで何が起きてるか知りたい、という好奇心や取り残され不安がこのアプリの流行の根本だと思う。

そして、インフルエンサー、芸能人が入ってきた。当然視聴者数千人越えの部屋が立ち並び、こことここ繋がるの!?的な音声コラボがたくさん見れた。ファンはこれはみたかっただろうなと思いつつ、youtubeかinstaliveでやれ、とも思った。

それから先行者利益を取ろうとしてか、無言相互フォロー部屋が増えてきた。業界ごと、ジャンルごとなどでお互いを相互フォローするのだけれど、あんまり役に立つとは思えない。2月に入るとこの無言部屋は注意喚起の対象になるよ、という話があったが実効性があるかはよくわかってない。たまにミュート切り忘れて生活音とか仕事の電話の音がまる聞こえになってるハプニングもよくあった。

clubhouseは知らない人が喋っているところから見れるのがファーストインパクトなのが良い。テキストだとなかなかキャラが伝わりづらいこともある。この時点でキャスやニコ生やDiscordでいいじゃん、と思っているが、UIが参加者全員を表示するので、悪口言いづらいとか録音禁止なのでその場限りの秘密の話が聞けるとか、そういう秘密会員制クラブのような雰囲気があり、その点がアドバンテージ。

ホームのタイムラインには今友人が喋っている部屋が表示されるが、フォローしている人が入っているルームもタイムラインに表示される。誰がどんな興味があるかがわかる。そして話している人の招待者がわかるようになっていて、影響力の強さなどを知ることもできる。大学の後輩に教えてもらったが、渡辺直美が入ってきたので、招待者を遡ったら6時の隔たりで僕がいたという。

4日目、一般層が入ってきて、中には匿名のアカウントが発生してきた。僕のアカウントも登録後のフォローリコメンドに表示されるのか、全く繋がってない人達がフォローしてくるようになった。kimoi kaoみたいな匿名アカウントが入ってきて、あーそろそろ荒れ始めるな、と次のトレンドを予想し始める。と同時に「アーリーマジョリティーが入ってきた時のルールを考えよう」みたいなローカルルールを考えたい人達が散見。そういうのいいからと思いつつ自治厨なりのコミットメントなんだろうな、でもそれマナーを強要したがる老害だぞ、と傍観を決める。夜には僕が働いてる業界のアーティストたちの対話部屋が始まった。過去を語るだけなのに、めちゃくちゃ面白くて、対談イベントにしたら3500円くらいのチケットで客取れるやん!と思ってしまった。海外に強いインフルエンサーたちは、結構前から使っていたようだ。例えば音楽クリエイターは自分の部屋を作りファンや聞き手たちから正直なフィードバックをもらう機会として活用していたり、クリエイティブとフィードバックという意味では相性が良いらしい。それからマイナーなものが好きな人達が集まるようにできているが、今日本人的には有名な人の話をラジオ的に聞く、という使い方が主流のようだ。キャスでいいじゃん。

 

5日目、本格的に匿名アカウントが増えてきた。アイコンを設定しない、名前も適当。一番面白かったのは「BIGPENIS LEGEND」というアカウント名だ。界隈では有名な方なのだろうか。「おっぱいについて語る部屋」や、タイトルなしの身内のだべり部屋も増えてきた。少人数だと聞く専門での参加にちょっとたじろぐこともこのあたりから増えてきた。なんせ会話のテンポとか面白いことのツボとかって、業界やジャンルや属性ごとに違う。このSNS陽キャ向けだと言われる由縁でもあるし、この辺りでtwitterあたりからしんどいという声が聞こえ始めた。聞くのも話すのも結構エネルギーを使う。特に客席からあいつも話したいから誘おうぜ、と注目されることに陰キャと呼ばれる人達は危機感やプレッシャーを感じる。

だるい話をしたかったので「納豆と豆腐の名前逆だろと思う人の部屋」を作ったら知らない人が来てくれて盛り上がって売れた。一応AIが働いているらしく興味のありそうな話題などをサジェストしてくれるのだろう、タイムラインとは別の、カレンダーに表示されていたので来たらしい。

だんだん話題がことやものから俺たち、というコミュニティの話になってきている。この後は一定のファン層、フォロワーを持った人達が配信をしていくアプリになっていく、今は利用者層のリテラシーが高いが、他のサービスと変わらなくなってくるだろうな、という話が至る所で語られていて僕もそう思う。

 

6日目、朝から昔一緒にシェアハウスしてた友達たちと部屋を作って会話した。懐かしい人達が集まってくれて、近況報告。通話しながら2組の夫婦は公園に散歩に出掛けていた。昼ごろはFacebookに、クラブハウスはたくさんの人が一斉に話してもなんとなくごちゃごちゃにならないし、これだけ通話の音質が良いのもいい、といった意見が流れてきたが、夜になるとついにclubhouseが鯖落ちし始めた。音声通話が急にミュートと表示され、音が聞こえなくなる。一気に参加者や部屋が増え、一部のサーバーが対応できなくなったようだ。順調な部屋とそうでない部屋があったらしい。ピークタイムは21時前後だろうか。それから合わせて対応方法がわかった部屋、などが乱立。「〇〇業界の未来!」みたいな色んな業種の人たちが集まる系のサロン風の部屋はこのエラーに困っていたようだ。

 

7日目、インビテーションが12枠くらい余っていたので招待枠あるよ、といったら6年ぶりくらいに古い友人たちから招待して、ってDMが届いた。古い仲間と再会できるのがこのSNSのいいところかもしれないが、mixiやFB登録したてのころもそうだったよね。

今のところ著作権関係もガバガバで配信中に音楽を流しても特段警告などはないという。dabelなど、他のSNSAndroid勢は頑張っているという。また、クラブハウスの闇としてDaigoが紹介していたが、「相互フォローすると部屋に招待できるという機能があるが、それは承認制じゃない。ある日アダルト系の人と盛り上がり相互フォローをしたら、後日クンニ選手権に僕が登壇することになっていた。」と、売名プラスブランディングぶち壊しという合わせ技も使えることが発覚した。

 

これからどうアナーキーになっていくのか、見逃せないところではあるが、ニコニコのような機能がない分職人は根付かなそうである。