剛力彩芽じゃなくてよかった-映画評-「さよならドビュッシー」

 いやー橋本愛の演技すばらしいよ。

「このミステリーがすごい!」大賞作品の映画化。公式サイトはすでに閉じた模様。あらすじはこんな感じ

両親や祖父、帰国子女の従姉妹らに囲まれながらピアニストを目指す16歳の少女・遥(橋本愛)。ある日、祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残った遥も全身に大怪我を負う。
それでも遥は不遇にめげずに、ピアニストになる夢を実現させるべくコンクールに向けて練習を積み重ねる。そんな中、彼女の周辺で次々と不可解な出来事が起こる……。

さよならドビュッシー | 横浜の映画館・ミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」

 いやすごいのなんのって。映画開始2分で両親が死んで、開始8分で従姉妹と祖父が火事で死んで火事に巻き込まれて全身皮膚移植とかしてきれいなまま生まれ変わって、ピアノ弾きたいけど指が動かなくなって遺産が転がり込んできてそのためか階段に細工されたりして何度か死にかけて、ある日ひょんなことで出会った天才でイケメンのピアニストが助けてくれて熱心に指導してくれて精神的にもフォローしてくれる。「適度に不幸な私」と「才女の私」「支えてくれるイケメン王子様」が黄金比に近いバランスでまぶされており、したたか系不幸少女役がにあう橋本愛を非常においしく仕立て上げてくれている作品。特に探偵役とヒロインが漫才をしたり知ったかぶることはない。
 橋本愛の演技力がなかったら、ぐだぐだな脚本もただおしゃれな感じのピアノクラシックで彩った世界観も厨二的刹那主義で終わっていただろう。ピアニスト役の俳優さんもガチのピアニストらしく、途中に刑事と話すところ以外は演技も不自然さがなかった。
 ストーリーはこてこてなのでだいたい展開や犯人がすぐわかるし謎解きとかなしにあっけなく逮捕された場面には笑った。「ピアニストは手首で呼吸する」という台詞位しか思想哲学っぽい話は出てこない。映画好きが見てもそこまでガッカリはしないので、見て損はない作品。唯一結論じみたことを言うとすれば、橋本愛本当に可愛い。

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