ストリートアートは最後のアメリカンドリーム-映画評-バンクシー・ダズ・ニューヨーク

友達にオススメされて映画バンクシーダズニューヨークをみてきた。超面白かった。

 正体不明のバンクシーを名乗るアーティストがニューヨークでひたすら1か月アートテロを仕掛ける話。バンクシーは世界のセレブを始め、多くの熱狂的な信者を生み出し、作品の価値を高騰させてゆく。基本はストリートアート。壁に落書きをしたらそれが解体され25万ドルで売れていく。NPOの絵画が落書きをされ、それがオークションで60万ドルで落札され、落札金額はNPOに寄付される。スラムに絵を描くと、普段スラムに近づく事もない絵を買える位のセレブ達がスラムに集まってくる。アートはストリートにおいて力を発揮する、そうした大小の作品を1か月連続で発表したのを追いかけるドキュメンタリー。
 ニューヨーク市長は言う。バンクシーは公共に損害をもたらす行為を行っているのだから取り締まる必要がある、と。
しかしバンクシーが絵を描いたデパートは即座に入居者で満室になり、公共施設を使ったアートテロは、ちゃんと水面下で許可を取っており、貧困世帯は家の前でバンクシーの作品である石を拾い、彼らは一攫千金を夢見る。みんなバンクシー知名度に乗っかったり、バンクシー作品を盗んだり、バンクシーは混乱と最後のアメリカンドリームとをアート通じて作った。アートテロの何が損害だったのか。
 映像を通じて、アートに関するリテラシーが高い人達の解説が隙間なく入っているので教養深く、映像の作りもカメラワークやSNSの魅せ方、テロップなどこだわっていて非常に良かった。仕事終わりに見にいけてよかった。7月上旬まで渋谷アップリンクで上映だそう。

映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』公式サイト

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