二階堂ふみの強烈にして官能的な濡れ場-メディア評-映画「蜜のあわれ」

 公開初日に鑑賞。軽妙、怪奇、官能。コミカル、ホラー、エキゾチック。なぜか人間になってしまった金魚と年老いた小説家の織りなすパラノイア恋愛もの、ザ、文学作品。金魚役の二階堂ふみ、日々ロックより可愛かった…。

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 本作、「蜜のあわれ」はタイトルとは裏腹に、コミカルなテンポの古典派ラブストーリー。3章構成にわかれており、人になってしまった金魚、幽霊、ミュージカル、死者との晩餐、なんでもありである。
 洋画では味わえないテンポや台詞回しの妙と、明治を舞台にしながらも(ロケ地は富山)金魚をコンセプトにした色使いのコントラストの艶やかさに重ねた二階堂ふみの濡れ場の昂揚感。お尻や足は綺麗すぎて替えの専門のモデルを使ったのではないかと思うほどである。
 主人公の小説家とだけでなく、真木よう子扮する幽霊ともキスや絡みに挑戦する場面を見るだけでも見る価値がある作品。
 見所は他のキャストそれぞれの作品の解釈と演技にも現れる。高良健吾演じる芥川龍之介の寡黙さも作品に華を添えていた。伏線回収も上手に作られてるし、テンポから外れた情動的なシーンは若干蛇足かと思ったのだけれど、これがまた大杉漣の演技が上手過ぎてヤバい。年老いて死にかけジジイが、まだ死ねないと小説を書くことでなく恋愛に対してヒステリーを起こすなど、文学としか言いようがない。観る人を選ぶけどかなり良い作品であった。