選挙で考える6つの思い違い

きっかけは以下のブログを読んで。

若い人も積極的に投票するようになれば,各政党も,若年層向けの政策を考えなくてはならなくなります.
そうすれば,自分たちだけが損するようなコトには,ならないはず.

かつて油井ゼミブログと呼ばれたブログ: そうだ,投票に行こう

と、若い人たちが選挙に行かないから若い人たち向けの政策ができないんだ、と。
僕が考えていることと全く逆のことをおっしゃっておられたので思わず笑ってしまった。

で、404の中の人曰く

その現実を変える方法は、たった一つである。

投票、しろ。

さもなきゃいつまでもおまえは肉便器だ。

404 Blog Not Found:沈黙は損金 - 書評 - 若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?

これはひどいと思ったので僕のブクマ

b:id:showgotch 非常にイラッと来るのだけど、若者は投票しようと思っても若者を代弁(大便)するよう(に見える)な政治家がいないんだよ。若者の独立を叫べば未熟の裏返し、擁護を叫べばペット扱い、可能性を叫べばそれは国の為。

はてなブックマーク - showgotchのブックマーク / 2009年8月20日

若者の利害を代表して主張する政治家も党もどこにもいない。今の政治では、若者の自己実現は大人の都合のいい範囲(つまり手のひらの上)で行いましょうって話ばかりが机上で繰り広げられるばかりだ。

で、
http://d.hatena.ne.jp/takuya/20090825/1251227230
には賛成できないけど
http://d.hatena.ne.jp/takuya/20090826/1251308604
http://matton.blog91.fc2.com/blog-entry-284.html
に非常に共感したのでエントリをおこすというか、先日mixi日記でうちの猫様が書いた日記を転載しておきます。猫様曰く、基本的には見聞きしたことを組み合わせて書いているだけ、若い人たちに読んでほしい、だそうです。偏った書き方をしているのはわざとなのかな。

※以下転載

 僕の世話係の人が最近言動がおかしいから今日は僕、猫のスイミーが更新しますにゃ。
 人間の世界じゃ政治が流行らしく、最近スピーカつけた車がじゃんじゃん走り回ってるので僕も昼寝ができなくて困るにゃ。しかしそこは通な僕です、早朝と、夕方の4時くらいからのしずかで温かくて少し涼しい風が吹く時間帯は狙い時だにゃ。
 さて、少し勘違いしてる世話係の人がいるので寝てる間に代わりに僕が知ってることをここに書いとくにゃ。世話係の人の先輩の社会の先生みたいに詳しくはないけどにゃ。今回の政治は若者VS老人の戦いなのにゃ。しかしキーボードって打ちにくいにゃ。
http://manifesto.action5.net/2009manifesto.html←まにふぇすと
http://manifesto.action5.net/←政党の政策比較

憲法は国会と内閣と司法を制限するもの

 今回の選挙の焦点の一つ、憲法について。
 よく企業に対して憲法違反だ!って主張をする人たちがいるけどおおきな勘違いです。
 憲法は国家機関に対してしかきかないんだよ。国は国民にこういうことしちゃいけませんってのが憲法。だから国が僕らに必要な自由を奪ったら憲法違反なのです。憲法改正しちゃうってことは国が僕らの自由を奪う可能性が出てくる。だから国民投票する。例えば憲法9条を改正したら若い人は徴兵制ね、みたいな圧力が強くなったりするわけです。しかも自国を守るためとかじゃなく、出兵しない老人を守るために。

政治は公平を目指すものでなく利益配分のためのモノ

 政治家は公平であるべきだみたいな教育独自の価値観的な物言いが流行ってるけど、普通に考えてみて。政治家は利害関係者の代表なわけです。高齢者の代表、地域の代表、商業界の代表、産業の代表、自衛隊の代表。いろんな人たちがいて、こんなことをしたいから集めた税金からこれだけのお金を出してくれ。って話し合うのがそもそもの政治だにゃ。教育と福祉と防衛とダム建設が全く同じだけのお金で配られるわけはないし、教育のお金が全然出ないっていうのはそれだけ教育向きの政治家がいないってこと。教育の世界はパトロン不足だし、一方で産業界を代表する政治家は多すぎる。多ければそれだけお金が回ってくるわけで、官僚さんはなるべくそこらへんの利害調整をしてお金を配りすぎないようにするのがお仕事。基本的に最近の政治はこれから老人になる人の老後を守るためにどうするか、ばっかりに焦点が当たってるのは政治ニュース見たらわかるよね。教育も福祉もみんな老人の世話をするため。老人の代表が国会には多すぎる。

成長を前提とする社会

 日本のシステムは成長を前提とする社会。それは経済的な成長であって、経済的な成長のためには技術の成長(発明や普及)が必要であって、そのために人間がさまざまなことを学びとって成長しなければならない。
 しかしモノづくりの世界は結構ひどい状況にある。昭和のようにぽっと出たアイデアが普及して国民皆が楽になる、みたいなことはないんだ。企画しても市場原理(売れないものはつくらない)が働くし、そこらへんの経費削減とか常に意識しろって圧力が働くと、湧くアイデアも湧かなくなるし、湧いたアイデアもいちいち市場調査とかして「こんなモノがあったらあなたはほしいですか?」って何百人に聞いてこなきゃならなくて、いちいち作るのにいくらかかりますって試算しなきゃいけなくて、安全策を取りすぎて逆に成長できなくなってるってのが企業では問題になってる。
 正確には企業の若手ばかりが圧力を被っている。面白い笑い話がある。「公務員は俺らの税金で食ってんだから奴隷のようにちゃんと働け」という会社員が、株主から「会社員は俺らの株式で食ってんだから奴隷のようにちゃんと働け」と言われる階層構造があるという話。日本で一番偉いのは株主なんですにゃ。だから質のいい株主が集まらなければ会社も息苦しい場所になる。その被害をいちばんこうむるのは末端です。

官僚からインセンティブを奪うな

 官僚問題も焦点が当たっている。ある政党は官僚の天下りを根絶するとか言ってるけど、これはやめた方がいい。難しいことは言わない。公務員にもランクがあって、官僚って言うのは○○庁とか○○省とか国の機関で働く一番ランクが高い国家公務員の人のこと。官僚の仕事って皆が考えている以上に若いうちは大変で、国の仕事だから出世するとすっごい責任が伴う訳で、胃とか解けるわけで、そんだけ働いた後にツテで楽な仕事についてたっくさん給料をもらうのが天下りってシステム。ネットの普及で若いうちの官僚の仕事の過酷さがだんだんわかってきて、それだけの報酬が引退後に用意されていないと、国家公務員を目指す人も減っちゃう、特に賢くて新しいことやれる優秀な人たちが減って、堅実で頑固で決まった仕事しかやらない公務員が増えたらそれこそどん詰まり。ちなみにその手の人は不況の時に増えるみたいな話もきいたことがあるような。要は天下り取っちゃうと変な人や仕事できない人ばかりが集まっちゃうから問題。じゃぁどうするか。その報酬に見合った分だけ働かせればいい。漢検が儲けすぎとか何とか話題になってたけど、儲けすぎた分は税金に戻しちゃえばいい。国の機関が儲けてはいけないみたいな決まり自体がナンセンス。一般的な天下り先の"なんとか財団"系を何百件か一度調べてみたけど、元官僚で研究調査スキルが高い人が多いだけあってちゃんとした調査をしているところは多い。一方でただ偉い人たちの話を冊子にしただけで活動終わり、とか僕らの財団のワッペンを作ってみましたー。みたいな会社もあるわけ。そんなのは夏コミでやりなさい!だから彼らがそれなりに給料をもらうんだったらそれなりに働いてそれなりに売れるモノ作ってくれればいいわけですよ。あとは「ノブレスオブリージュ」で検索。

流動的格差はシステムとして残さなければならない。

 収入を得て幸せを感じるのは一般的に1500万円までと言われている。どこまで根拠があるかわからないけど、日本人はとくに地位に関して幸福を感じる傾向があるって統計がでてる。
 いっぽうで20代の若者達はその傾向がひどく低いらしい。バブル崩壊前後に生まれたとか、日本の「平等」教育(≒非競争教育)の質が高すぎるとか、いろんな見方ができる。
 マレーシアだったかフィリピンだったか東南アジアあたりでは格差が固定されたまま流動しない政治が行われている。貧困層がお金持ちになろうとしても希望がほとんどない、一方でお金持ちはお金持ちのまま子どもや孫までお金持ちを維持できるシステム。なんか江戸時代の年貢システムみたいだね。しかし年貢のそれとは本質が違う。
 一番有名な流動的格差はアメリカンドリーム。何か発明してひと儲けした、カジノで大当たりした、くじが当たった、歌が売れた、など、貧困層でもびっくりするほどお金持ちになれるシステムがある。これがアメリカ人が働く源(モチベーション)担ってるって側面もある。
 日本はどうだろう。少なくとも頑張れば国家公務員なりになれる環境はまだ残ってる。ただそれが閉ざされつつあるのは問題なのだけれど。成長を求める社会である以上流動的格差社会を維持しなければならない。だとすれば表向きは格差是正!って言っててもやってることは利益の一律再配分、みたいな定額給付金みたいなとこに止まっちゃうよね。定額給付金も10倍位ばらまけばよかったのにって議論がある。

若者を代弁する政治家は?

 問題はここにゃ。若者を代弁する政治家が僕ら若者には見えない。若者を擁護しましょう保護しましょう自立させましょう安心させましょう、という政治家は沢山いるのに、「僕ら」若者がこうありたいから政治はこうあるべきです。って言う人はほとんどいない。いても非常に的外れなことを言うコネだけで入ったボンボンみたいな人ばかり。僕らは投票しないんじゃない、投票したくてもする相手がいない。なのに大人は「若者は政治に無関心」「投票しない奴は無責任」「こんな若者が日本をだめにする」といわれのない非難を浴びる。これこそ若者が委縮する原因であり、活動を制限される圧力になるわけで、若者は常に監視された状態で責任ある態度をとって選択しなければならない。僕らはもうこれ以上成長したくない。でも人の役には立ちたい。相手が望んでることはできないかもしれないけど、認められたい。もうこれ以上大人のサンドバッグにはなりたくない。自己責任はこりごりだ。
 例えば安売り価格競争が進んで、その割り引いた利益は、若者の労働賃金(バイトの給料)から差し引かれる。重役クラスの平均年収は2倍に上がって、若者の平均年収はかなり下がってるって話もある。
 例えば不況や不祥事で後退的リストラが必要な時、早期退職を進めるよりも工作機械を売るよりも派遣の若者の首から切られる。これが起きたのがこの間の派遣村。で、政府が求人情報を持ってって派遣社員が応募しても企業側が断って全部で1名しか採用されなかったらしい。
 例えば経費削減や効率化のために、若者の教育費・研修費が削られ「こんなこともできないの?これだからゆとりは」と罵られる。教育に割く時間がないという割に、ノウハウを教えず手探りで仕事をさせる体育会的慣習は今も企業教育の世界では普通で、問題視されている。
 例えばゆとり教育世代だからと言われ続けた若者は、一部のエリート志向以外は頭が良くても自虐的自嘲的になっていく。頭が悪い人たちは開き直って反社会的な行為を行う。すべては肯定的に認められたいから。
 例えば若者が何を買ったかは常に監視され、ネットで「こんなモノが売れている。買った奴バカじゃねえの?」と非難され(ネットユーザの一番多い層は30〜40代。20代は以外と少ない。)、若者は購買意欲を失っていく。それでいてモノが売れなくなると政治家やジャーナリストや発言力がある人たちは何で若者はモノを買わないんだ。無欲なのはおかしい!若者は金がないは理由にならない!って。
 例えば若い人がお金がなく、労働優先でデートの時間もゆっくり取れない状態にもかかわらず、結婚率出生率が下がれば性が乱れているせいだ、道徳が足りてない!これが30年前は人口爆発がやばい!とか言ってたんだから笑えるわけだけど、出生率が低かったら何がやばいかって、老人たちが老後の世話をしてくれる人がいなくなるからやばいって言ってるだけなわけで。

 世話係の人が、僕が若者を名乗れる限りこれらの事例はいくらでも言えるし訴え続ける。っていってたにゃ。
 
 結局どの政党も一長一短、しいて言えば官僚がちゃんと働いてるあとが見える(数字と根拠を示している)こと、麻生太郎になって失政が少なかったこと(20年後位に評価すべき政策もあるから一概には言えないけど)、モノづくりやコンテンツ力を経済政策の最前面に掲げていることから、自民なんだろうけど、環境関係の政策に関する企業との癒着はあまり好めない。ここに書いたことはあくまで一面的なものなので賛否あると思います。皆さんはどこの政党に入れますか?
 
 まじめに書きすぎたからいまからカリカリ食べて寝るにゃ。最近カリカリ飽きてきたにゃ。缶詰ー!!シャー!!