経済格差、教育格差に続き、日本にも健康格差の波が来ている

 東大医学系の文科省科研費研究でそこそこ衝撃的なレポートが発表されていたので紹介しておく。
もんのすごくはしょって単純に説明すると、貧乏人は栄養不足とか肥満とかメンヘラになりやすいし病院に行くのを渋るという報告だ。ブルジョアジーな人たちの方がいい者を食べて太っていると言う時代は終わり、貧乏人の方が肥満が多いと言うのはすでにアメリカなどで紹介されていたが、日本も裕福層以外の収入が減っており、それに伴って同じような傾向の波が訪れているという。
 例えば平成22年に厚生労働省で発表された平成22年国民健康・栄養調査結果の概要データでは次のように紹介されている

〈たばこに関する状況〉
・現在習慣的に喫煙している者の割合は男性32.2%、女性8.4%、総数19.5%であり、前年に比べて男女とも減少(P24)。また、現在習慣的に喫煙している者で、たばこをやめたいと思う者の割合は男性35.9%、女性43.6%。前年に比べて男性は増加し、女性は変わらない(P25)。
受動喫煙の影響をほぼ毎日受けた者の割合は、平成15年と比べて全ての場(家庭、職場、飲食店、遊戯場)で減少(P26)。 

〈所得と生活習慣等に関する状況〉
・世帯の所得が600万円以上の世帯員と比べて、200万円未満、200万円以上〜600万円未満の世帯員は、女性の肥満者、朝食欠食者、運動習慣のない者、現在習慣的に喫煙している者の割合が高く、野菜の摂取量が少なかった(P31,32)。

平成22年国民健康・栄養調査結果の概要 |報道発表資料|厚生労働省

 同様にH23年のレポートではも同様に衝撃的なレポートが。内容を紹介すると

  • 低所得者で精神症状・精神疾患での受診率上昇。
  • 高所得層で精神科受診の控えあり。若年層ではいくつかの訴えで所得による受診抑制傾向。
  • 一般住民は高所得ほど生活習慣病が多いと認識。
  • 女性で肥満、高血圧、糖尿病が上昇。家計が高いほど多くの栄養素で必要量を満たす。
  • 正規雇用者では正規雇用者に比較して健康水準が低く、経済的な理由での医療受診の抑制が認められる。
社会階層と健康 | 研究成果

などが指摘されている。また労働ストレスや血圧などの研究も行われた様子である。ノマドブームもいいが非正規雇用の割合は年々増えており、収入が減る人が増えている上、健康や医療まで自己責任化されてきている。不安を煽って健康保険に加入させるタイプのCMも増えているので、それに加担したくはないが、保険制度もいつまで安定してあるかはわからないため、いざと言うときに健康だの介護だの皆で協力してセーフティネットを張っておかなければならない。医師不足も指摘されており医師は「先生と呼ばれているから天狗になって医療事故・医療過誤が起きる」とかtwitterで言ってる場合ではない。詳しくは以下のサイトで研究報告書などがリンクされている。
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