なんだかんだ少し異常な位が人に受け入れられるよね-メディア評-漫画「ニコイチ」

 ベッドで足バタバタさせながら読破。いっぱいマイノリティ出てくるし、去年終わった作品だけれどやっぱり金田一蓮十郎は面白い。

 本書は生真面目な主人公を振り回すのには定評のある金田一蓮十郎先生の快作。昼はサラリーマン、家に変えると女装母になる主人公の、どこか歪んだ人生を描いたラブコメである。全10巻で完結。主人公の息子が素朴すぎて可愛い。
 話は主人公がヒロインが痴漢に遭っている状態を助けたことから始まり、主人公の女装について、息子だの弟だの母だの同僚だのヒロインの元カレだの息子の彼女だの幼なじみだのが、少々悪いタイミングで自体をややこしくしては、少々よい形で受け入れられていく。
 まばらな伏線も秀逸で、台詞の端々で笑わせてくれるのでじわじわ笑えて来て脇腹が痛くなってくる。主人公の女装が完璧すぎて同僚に口説かれたりコンパで持ち帰りされたり息子の先生に言い寄られたりモテまくるのはもちろんのこと、シリアス展開なんのそので全部ネタに昇華されていく。
 先に行っておくがハッピーエンドだ。そこまでの道筋を楽しんでほしい。もちろん少年誌らしく巨乳のヒロインのセクシーシーンも健在。1巻とか絵柄がぜんぜん違うので萌えないかもしれない。従来のラノベラッキースケベ漫画と同じで、誠実であれば必ず報われると言うメッセージも、主人公親子揃って叶えてくれる。さらには少し異質なところがあっても、誠実であればちゃんと世界は受け入れてくれるというメッセージも、掛け合わせてくる。パラレル連載のライアー×ライアーも非常に面白いので、合わせて読みたい。