新生活で家を探す前に知っておくべき業界の裏など4つの豆知識

 1月に入り大学入学試験もそろそろ本格化してくるし、合格が決まれば新しい土地で勉強することになる新入生は、減ってはいるらしいがまだまだ沢山いるだろう。また新年度は異動など新しい生活を始める時期であり賃貸サイトもCMが活気づいて来たので意外と知られていないが業界なら誰しも知ってることをぶっちゃけておく。変な交渉に騙されないよう受験板とかに張っておいてほしい位だ。
 個人的な話で言えば引っ越しは5回くらいしてて特に2011年の夏〜11月頃は都内でシェアハウスをしようと難しい物件を探しまわっていた時は冗談抜きに1日で20件くらい不動産会社を回ったし、紆余曲折あって12月には代々木でシェアハウスを始め、2012年の夏はまた秋葉原の物件へ引っ越した。
 複数人で住むと家具家電水道光熱費は共有できるご飯も作り過ぎや食べ逃しを防ぐことも出来るし別に個室がなくてもプライベートがなくても毎日話し相手がいると言う状況はエキサイティングだったしコストが異常に割安になった。
 食事会を開いては会費で自分の食事代を浮かすことも出来たしフリーター程度の収入で貯金が出来ちゃう!状態だった。
ただ他人のいびきとかおならとか他人が入ったあとの風呂とか気になる人はやめておいた方がいい。共同生活だし生理的不快だけはどうしようもなくて、住人同士ストレスを抱える。シェアハウス界隈の情報網によると家賃踏み倒しての住人の夜逃げ失踪事件もあいついでいる様子なのでお金に関するルールといざそう言うことが起きたときの用意もしっかりしておこう。長く住み続けた方がお得になるようにしておくのは基本だ。
あと個室がないと無理ってひとほど寂しがりやが多くて、意外と初めて見るとうまく行くことが多いこともアドバイスしておこう。
 一人暮らしでもシェアでもどちらにせよ実はいい物件妥協できる物件を探すにはコツがある。いろんなサイトでコツや相場を紹介しているし、何を我慢するかは人それぞれだと思うが、少しでも値段にみあった物件を選ぶための交渉の役に立ててほしい。

1、ネットで全部検索できる

 実は不動産の物件情報は全てデータベース化しており、ネットが使えるほぼ全ての不動産会社は同じ物件情報を共有している。どの不動産業者を訪問しても同じ物件が紹介されるのだ。
 不動産とは家と土地のことで、そもそも不動産会社と呼ばれるものは便宜的に言うなら紹介不動産と管理不動産がある。物件を紹介するだけの会社と、大家さんから物件を預かって清掃したりマンションを所有して管理したりしてる会社があるのである。駅前や交通の便がいいところにある不動産会社はほとんどが紹介不動産であり、紹介する代わりに契約まで至ったら仲介手数料を家賃1ヶ月分もらう、というのがビジネスモデルだ。そのために物件の写真を撮ったり魅力的に見せるために情報をまとめたりする。
 管理不動産も空きが出ると損失になるのでほとんどを紹介不動産用のデータベースに登録している。世間体もありデータベースに登録する前に賃貸を人に紹介してしまうことはどうやらまれらしいが、本当に滅多にないがネットに乗ってない物件があることも(そしてそう言う物件の方が大きめのいい物件が多いことも)書いておこう。家族に管理不動産関係の仕事をしている人がいない場合は期待してはいけない。
 一番使い勝手のよいUIのサイトは個人的にはいまのところsuumo一択。いろんな紹介不動産が出してる情報をまとめているサイトなのでまとめサイトになっている。同じ物件の情報が重複して出てくるのはご愛嬌。
【SUUMO】不動産売買・住宅購入・賃貸情報ならリクルートの不動産ポータルサイト
 ちなみにデザインのいい部屋専門の不動産会社もあるが、そう言うところで扱っている家も他の不動産サイトに乗っているためかっこいい不動産サイトで見つけて条件のいい紹介不動産を探すというのも賢いやり方だ。要はテレビでCMしている賃貸サイトは家の情報を写真に撮ったりいい感じにまとめることで店頭に出向いてもらうように利益誘導しているだけなのだ。
 そういうビジネスモデルを立てると引っ越しの回転率が上がる方が収益率が上がることも確かであるし、実際にはなぜか法的根拠の薄い更新料みたいなシステムが用意されていることも付記しておきたい。
 

応用:仲介手数料はなくせる?

 ネットで検索して管理不動産を見つけることができれば、仲介手数料を無くすことは場合によっては可能だ。管理不動産は沢山物件を扱っている訳ではなくノルマもないので牧歌的で融通が利く人が多い。そのかわり礼金や敷金を多めに求められたりするのであるが、値引きは可能だ。実際に僕の家はそうやって探した。ネットに載ってた情報と実際の家が違うこともあり値引きするように交渉したところ値引きはこれ以上無理だが鍵を無料で取り替えてもらえることにはなった。
 しかし1〜4月は値引きが厳しいことも事実だ。もし時間に余裕があるなら夏〜秋の終わりくらいまでの時期に物件を探すことをお勧めする。4月は地方出身の頭の悪い上京礼新入生を騙すために礼金2ヶ月当たり前だそうだ。引っ越し料金も高い。管理不動産も紹介不動産を通さないと契約してくれないところもあるのでそう言う場合は仲介手数料が安いところか大家さんと値引き交渉をしてくれるところを探そう。紹介不動産の利用価値はこの値引き交渉にある。
 引っ越したいけど契約が、、、と言う人に多い勘違いが、契約したら2年間住み続けなければ行けないと言うものだ。別に2年契約だからといって2年間きっちり住む必要はないし先ほども言った通り家の回転率が上がる方が紹介不動産としては嬉しいものなので家が気に入らない場合は契約の途中で引っ越してしまえばいい。
 また友達や先輩が住んでた家に住人の紹介と言う形で大家さんに伝えて入るのも紹介不動産を使わなくていいので家賃が1ヶ月分位は安くなることがある。

応用:畳数や部屋数で探さない

 広さは一人頭20m^2(20平方メートル)を目安に、広さを家賃で割って相場いくらまで出せるかを考えよう。これが一番損しない。実は東京の1畳の大きさと大阪の1畳の大きさは違う。東京23区で7畳で広い!!って言ってても実は大阪の6畳とあまり変わらない、と言うのは学校の家庭科の授業でも扱う内容である。
 それから複数人で住む場合、部屋が別れてるよりパーティションや上からカーテンを敷いてドミトリーにした方が有効にスペースを使える。壁の厚みは意外とスペースを取るのだ。プライベートや一人の空間が欲しければ部屋に一人ひきこもるより旅行やサウナにでも行った方が精神衛生上いい。
 また築年数を気にする人もいるが、耐震基準について精査されていないものは貸し出してはいけないことになっているので気にしなくてもよい。むしろ築年数が古いリノベーション物件を探すと安くてキレイで高機能な部屋に住める確率が高いのでオススメ。料理をする人であればキッチン周りが充実しているとかなり料理が楽で楽しくなるし時間とお金が浮く。

2、他の物件も見てみましょう、は罠

 ネットでめぼしい物件を見つけたらメールをしてみよう。FAXでもいい。紹介不動産なら詳細な写真などを送ってくれる。内見したい時以外は電話はやめておいた方がいい、紹介不動産は交渉に時間をかけたくないので即決をねだるか店舗でいろんな物件を紹介する、と誘導してくる。
 この交渉が非コミュ的にはめんどくさい。誰しも脳内シミュレーションしていない会話が出るとパニックに陥るものだ。さらに「いい物件なので今契約しておかないとすぐ他の人に渡ってしまいますよ」などとテンションリダクションやアンカー効果など心理学を応用した交渉術をがんがん仕掛けてくる。中でも一番多いのが「似たような他の物件も見てみましょうか?」と言うものだ。
 これは「極端性の回避」という心理学の応用で、値段の高い1グレードアップした物件と、値段的に同じランクの少し条件の悪い物件を紹介するのが常套手段だ。だいたい松竹梅あれば竹のランクのものに人は手を出そうとするので決まりやすい。
 おとり物件にも注意だ。もう契約が決まってしまった目玉物件をわざと「消し忘れた」とウェブに放置し、アクセスして来た人を他の物件に誘導する。もうこの手を使っている時点でやめた方がいい。
 また、ハトマークがついているかどうかも見ておくといい。ないよりましだ。
全宅連の組織と沿革 | 全宅連について | 全宅連
ハトマークは協会の登録マークみたいなもので、あまりにも酷い経営をしていると協会からハブられるので横暴な手には出られない。あとは宅地建物取引業の免許番号とかをの( )の数字が大きいといいと言われるが多分意味ない。
http://myhome.nifty.com/kiso/kouza/04.jsp

応用:値引きサービス交渉はどんどんやろう

 実は不動産の相場は値引きを求めてくる客がいることも見据えてわざと高めに設定してあったりする。駅近い物件以外は値引きは結構簡単だ。「物件は申し分ないのであとは値段。あと1万円とか5000円下がれば即欠。」などと伝えれば仲介手数料を半額にしてくれたりなにかサービスをつけてくれたりする。大きい値段から言うのがポイントだ。1ヶ月1000円下がれば年間12000円、10000円だと12万円浮かすことができる(1万円以上値下げしてくれるのは10万円以上の物件だが、僕の場合は礼金を払う代わりに家賃を安くしてもらった。)また20万円以上の賃貸の場合借りるより家やマンションを買った方が安くつくらしいので開いているそうだ。値段交渉もしやすい。
 他にも賃貸契約の際に求められるセキュリティ関係の保険は不要と言えば外すことができる。わざと不安を煽ってくるが正直使ったことがない。鍵をなくしたときなどに使っても時間はかかるし追加料金を請求されるし大家さんに電話するのが一番である。紹介不動産は頼らない、管理不動産か大家さんを上手に使おう。他にも契約の際無駄なサービスを勧められるのだが鍵の取り替えだけは要らないと言ってもマンション側のセキュリティの理由で断りきれなかった。

3、気になるところは大家さんへ

 意外と使わない大家さん、家の近所に住んでることが多いし照明やエアコンが壊れたり湯沸かし器が壊れたりすると無料で直接対応してくれることが多い。また大家さん向けのお得なサービスも多くケーブルテレビやインターネットなどを無料で導入してくれることもあるため、多くの場合個人で加入するよりお得だ。住人も便利だし新しい人が入ってきやすくなる、などと言ってお願いするとよいだろうしお歳暮なんかを渡すのもいいだろう。僕も漫画に出てくるような今月家賃待ってください的な貧乏学生時代を過ごしたのでものすごいお世話になった。
 また一番知られていないのは引っ越しのときのゴミの始末について。引っ越しで出て行く際、実は管理不動産や大家さんはゴミをまとめて持っていって分別して処理してくれる業者を必ず知っていて、量が多くなければ無料で手配してくれたりする。ゴミを分別して引っ越し1週間前から一生懸命分別して手間をかけるより、泣きついて伺ってみるのも手だろう。

応用:引っ越し業者は紹介されたところへ

 引っ越し業者だけは大家か不動産からの紹介で使った方がいい。紹介の場合は信用問題でクレームがあると使ってもらえなくなるので値段も吹っかけてこないし対応も丁寧だ。段ボール無料などおまけしてくれたりする。査定には強面のお兄さんが来ることが多いがひるむことはない。値段が高いと思えばもう少しきりのいい値段にしてくださいとか言えばいい。なおネットで一括で査定してくれるサービスのなかのひとである友人もいるが、彼曰く安くて評判のいい会社はダック一択だというので参考までに。
http://888888.jp/

4、通勤通学時間20分が一番幸福

 通勤時間で一番幸せなのは20分程度だという。
幸せを感じる年収や通勤時間:統計からの回答|WIRED.jp
 日本の調査ではないため一概には言えないが、目安としては遠すぎず近すぎずちょうどいい。通勤時間は1時間で1000円損すると考える。バイトの時給換算だ。片道30分なら1日1000円+交通費損してると言う訳だ。1ヶ月で25000円+交通費程度は損失を出していることになる。なら家賃に+12500円プラスして片道15分の物件を見つけた方が賢いかもしれない。
 同じ理屈で有名な話だがビルゲイツは道ばたの1万円を広うより1秒でも早く職場に着いてメールを返した方が得するのだと言う。通勤の時間は頭を整理する時間だ。15〜20分程度、そのお金をかけて思考を整理する時間を買っていると考えるといい。
 それから引っ越しは必ず2年間にかかる費用で考える。なんなら計算してもらうのもいいだろう、仲介手数料で1ヶ月分持っていくのだ、それくらいしてもらってもおつりがくる。
 生活スタイルに合わせて家が変わるのが理想的なのだけれど、まだまだ日本で引っ越しをする際の費用は大き過ぎる(だいたい必要な費用は家賃5ヶ月分らしい)。バブルも終わりマンションや土地に投資をしようとしてもリターンがほとんどなく、賃貸などにいかに流動性を持たせるかが重要になった末、紹介不動産が幅を利かせるようになったという社会背景がある。まだまだ紹介不動産が値段に見合ったサービスを我々に提供してくれているかと言われると不満も多く、消費者がこの手の情報を共有すれば、情況も変わるだろうし、企業努力もするだろうし、紹介不動産と消費者が値段の見合ったwin-winの関係を築くことも可能だろう。うまく情報をつかってよりよい新生活を!

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