横浜開港150周年イベント「Y150」が気持ちいいくらいひどい!!

 3連休の最後の日を使って横浜のY150に行ってきた。
会場は横浜の馬車道駅を降りて海のほうに5分位歩くと赤レンガ倉庫の隣周辺にある。
駅を降りて、街燈にY150の旗が飾ってある道が目の前にあったためその方角に歩き、どうもおかしいと思って街燈に備え付けられてる地図を見ると実は海と反対側で、引き返して会場に着くまで20分位かるはめに。

会場は万博みたいな様子。いくつかエリアが設けてあって、チケットを渡して入場するとものすごく高い技術力の展示とか横浜の歴史にちなんだものとか休憩所とかが利用できる。
正直な感想を言うともともと赤レンガやみなとみらいみたいな良質なコンテンツがあるため、総合的に比較してみてもちょっと残念な感じは拭えなかった。というよりこの残念感をメタに楽しむために行くというのが正解かもしれない。

旅行会社勤務からのタレこみでチケットがあまり売れてないとのことで、休日だけど行ってみようということになり案の定ショッピングモール程度の人ごみ。ライトアップもあるとのことで遅めに出発し夕方4時頃到着した。
http://event.yokohama150.org/

ラ・マシンはタイヤの付いたクモガタ水鉄砲


 最初に目に入ってくるのがCMでもおなじみクモガタロボット「ラ・マシン」が展示してあるエリア「はじまりの森」。レストランや歴史展示、記念品ショップなどが並び、メインはエネゴリくんでおなじみのENEOSのブースで有機EL(だったのかな?液晶パネルかも)で等身大のイチローが話しかけてきたり精油についての技術がクリアケースに紹介してあったりと技術を感じさせないおしゃれな作りとなっていた。
 2時間ごと位で「ラ・マシン」とやらのパフォーマンスが行われるということで、楽しみにしていたら何のことはない、クモのオブジェの下にトラックが付いていてそいつが動くだけであった。別にクモの足だけで飛んだり走ったりするわけじゃないということにまずがっかり。それからパフォーマンスってことで何するのかと思ったらひたすら客にミスト状の水をクモの糸みたいに吹っ掛けるだけというまさかの展開。オチが読めた時点で会場を後にした。「環境によいエネルギーを」といいつつ作ったのはでっかいクモガタ水鉄砲、コストを考えると逆に環境に悪い。もちろんラ・マシン自体の細部の技術はものすごいということは付け加えておく。機構的にはクモの足は関節ごとにモータ(もしくはポンプ)が内臓してあるわけで大人数がクモに乗り込んで一歩間違えればレストランにぶつけかねない位近いところで足を操縦していた。また足の質感などもこだわっており、木製を模した軽い素材でできていたであろうし見た目も非常に気持ち悪かった。
 

愛・地球博並みのイベント会場と自虐的技術観にあふれた映画

 次に赤レンガ倉庫によってY150にがっかりした客や名物おじさんやカップルを横目に素通りし、小学生が書いた港の絵を見物し、となりのトゥモローパーク会場へ行ってみた。
 この会場はライブステージと映画シアターと子供向けアトラクションでできており、ライブステージはソウルミュージックのライブと大道芸とチアリーダによるダンスが行われていた。愛・地球博のサテライト会場を思い出して非常に懐かしい気分になったのだが、立派なステージがあるのにやはり大して有効に使われておらず、舞台にもろくに上がれない若手芸人とか呼んでタダでライブさせてあげてギャラはライブ後に客から帽子に入れてもらう出来高制とか、いろいろ工夫のしようがあったろうに。もちろんショーのレベルはそれなりに高いのだが、バリエーションの少なさはもったいない。

 それから未来シアターではオリジナルの映画「BATON」が上映されていた。畳200枚分(?)のスクリーンとかに5.1Chの音響、技術的にはやはりすごいのだ。監督:北村龍平、プロデュース・脚本:岩井修二。それからキャストが市原隼人上戸彩大杉漣ケインコスギミムラ藤原竜也内藤剛志など非常に豪華。なのに、わざわざ実写で撮影したものをCGアニメに加工した実験的手法を取るもったいなさ。実写+CGで香取信吾版西遊記みたいな作りにでもすればいいのに、顔がドットの細かいゴールデンエッグスのようになってしまいシリアスなシーンが台無し。
 内容といえば、ロボットが普及して戦争とかしちゃう未来のお話。「惑星アベル」で市原隼人演じるロボットが舌型メモリをつけたらウイルスOS「サイファ」がインストールされてしまう。ウイルスOS入りのロボットは解体するってルールがあるから上戸彩内藤剛志と一緒に逃げるというもの。途中「ロボットは記憶じゃなくて記録、永遠に劣化しない」とか、「248種類の偽装コードが」とか「人間とロボットの違い」とか厨二病臭いセリフのオンパレード。残念ながらどんなに技術が発達してもメモリの記録はハード的にゆっくりだが劣化するし、種類は普通256種類だろ、とか、結局「愛」が大切、みたいなことを言い出す。
 ネタばれしちゃうとBATONってのはその「サイファ」自身がいろんなロボットの体をリレーのように乗り移っていく「バトン」で、最後はどうなるか映画を見てほしいのだが、綺麗な横浜港が技術や戦争によって汚くなってみたいな描写に安っぽい自虐的技術観を感じてしまった。もちろんハイビジョン技術や映像技術、音響技術などは素晴らしいことに変わりないのだが。
3章構成で、上映期間は第1章が4/28〜5/30、第2章が5/31〜7/10、第3章が7/11〜9/27となっているが今回2章と3章を交互に上映していたため今後も同様の上映スケジュールとなると思われる。

電気自動車の偽善エコロジー

 
 映画が1本35分程度で2本観たため外に出ると7時に。「Y150ドリームフロント&スーパーハイビジョンシアター」という会場へ行ってみた。「横浜発、地球への思いやり活動を世界へ」がコンセプトのパビリオンで、4つのエリアをめぐる作りとなっている。会場の裏には海があり黒船が泊まっていたけど誰一人見学者がいなかった。それから待たされることまさかの20分。会場には段ボールや紙やトレイで作られた船が展示してあるものの5分ですべて見終わる。それでスーパーハイビジョンシアターに案内されたはいいものの、仕切りのバーの高さが中途半端で、後ろに腰掛けるのか前によりかかるのか会場全体が大混乱していた。
 声のかわいいお姉さんの案内で始まった映像は、ハワイでひたすらハングライダーやサーフィンをしているのを追っかけるというもの。昔NHKが深夜から朝まで流していた景色の映像を思い出した。スクリーンは畳50枚分とやはり大きいし画質も非常に綺麗だ。もちろんでかければでかいほど電力が必要になるんだけれども。で、アメリカンフットボールラグビーかの試合の映像。すごいすごい客席の顔が一人一人見えるよ、これ普及したら逆に観客減っちゃうよなぁとか考えながら5.1chのせいで前から観客の声、後ろから観客の子どもの声が目立って聞こえてきたたため不気味でしょうがなかった。
 映像の後半はショートショート。子どもが橋から飛び降りる勇気試しの映像とか、クレーンで撮影した明らかに不自然な「自然に親しむ子供たち」の映像とか一面のヒマワリの映像とか焼畑とか蒸気機関車とか、コンセプトは未来の子どもたちに残したいギフト=記憶らしい。講演で泥団子作るシーンで後ろに明らかにミッキーの偽物の植木とかあって吹き出しそうになった。
 20分待たせて見せる映像がこれかよ感はあくまで主観なのでほっておくとしても、次に通されたのは電気自動車を絶賛するスペース。来年発売の電気自動車についての映像を見せるんだけどこれがまたツッコミどころが多すぎた。
 無邪気な子供たち3人が「電気自動車は環境にいいの?」「南極の氷が解けるとペンギンが住めなくなるね」などの会話から始まるわけだけども、ペンギン以前に毎日25000人の子どもが死んでる事実*1をこの子たちはどう受け止めるんだろうか。そしてアフリカの黒人の子供たちが「僕らは環境を良くするために木を植えているよ。学校で習ったんだ」というコメント。それに対して日本の子供が「そうか、環境について世界でもちゃんと考えているんだね」と偽善コメント。いやいやいや、アフリカで学校に行ける層はまだ裕福な層で、多くの子供はいまだに労働に駆り出されているという事実を読みとれないのか日本人。
 それから「レストランでご飯食べてるうちに充電できるよ」とか「特定の道路を走ると充電できるよ」とか、ライフスタイルが変わるねーとほのぼのした映像が流れ、その工事費の財源はどこから出るんだよとか思ってると、「タイヤが90度回転するから縦列駐車が簡単になるから便利だよー!」とか言い出す始末。確かに電化するとそういう操作機構を組み込むのは簡単になるかもしれないけど、それで縦列駐車が増えると迷惑な人も増えるだろうに。いや、もちろん技術的にはすごいこと、すごいものを組み込んでいるわけなんだけれど。

たとえば「本当に環境にいい教育」をしてもらっては企業としては都合が悪い。「環境にいい車」を買うより「環境のために車を創らず公共機関を利用する」方がよっぽど環境にいい。消費者教育など妥当なところで終わらせてギャンブルのようにお金を借りる人を増やしたほうが金融市場はもうかるのだ。

産業界からの俗流ゆとり批判について - 技術教師ブログ

ケータイひとつつくるのにCo2が58Kgだったかな?空気としてCO2の重さを認識する機会なんてまずない。小学校で空気の重さをはかる実践があるくらい。だいたい容積で言うと体育館一個分。ケータイ一台で体育館ひとつのCO2が排出される計算。だからと言ってケータイを使うな、買うな、機種変更するなと言っても実行しないだろう。

自虐的技術観・環境観の話 - 技術教師ブログ

 
 そして最後に自分でできる環境に優しいことを葉っぱ型の紙に書いてでっかい風船の中に入れて飛ばすというイベント。
 「車をつくらない」
 と書いて飛ばした。環境配慮を考えるならこの吸い上げる風を起こすエネルギーすら無駄ではないか。
 
 そうして夜8時に解放され見上げた観覧車は非常に綺麗でした。
 旅行代理店からのタレこみによると現在チケットがさばけていないため利益度外視でさばこうと割引している会社があるそうです。もともとみなとみらいや赤レンガなど雰囲気や充実したコンテンツが素晴らしい上、けっこう地味さに笑えるので一度行っておいて損はないはずです。9月横浜開港150周年の記念に、是非行ってみてください。
つまらない? おもしろい? 横浜・開国博Y150を採点!(前半) - 日経トレンディネット
書いてたら興奮してきて一部普段の文体が壊れてしまいました。不快を与えてしまったら申し訳ございません。