"けいおん"をこえるけいおん漫画、PLAY!が面白い!!

 コミックは雑食というより作者買い・単行本買いなので、ひさびさに花Qこと花見沢Q太郎氏の新刊に手を伸ばしてみた。その名も「PLAY!」であるが、ドーテーでヘヴィメタバンドにあこがれる主人公♂がなぜかコーラス部で女子高生のヒロインと偶然楽器屋で出会い、楽譜を取ろうとして手が触れ合いエスカレータでこけて事故でチューをしてしまうところから始まるというセンセーショナルな漫画。2話でオーディションに参加してなぜか謎のお姉さま方とガールズポップバンドを組むことになり、作者の趣味と雑学と煩悩しか書いてないのになぜか非常に笑える一冊となっている。
 もちろん少年誌らしくライブでの密着、酔っ払ってチュー、バンド控室でのポロリもあるよ☆な、思春期の男心をくすぐる内容満載であるが、一方で「浦和うなこちゃん」が出てきたり、前作「桃色さんご」のヒロイン?だった百合子さんが学校の先生になっていたり、ライブハウス型のバンドマンのチケット制度の解説をしたりと、やたらマニアックな内輪ネタがところどころに紹介されており、背景一つに対してもネタや複線が張っていないかとついついチェックしてしまう。そちらの方が花Q漫画のだいご味でもある。花Qは第二の町野変丸になるかもしれないと思っているがまぁそこまで狂った世界観でもなく非常に庶民よりなバランスでマニアックなネタを散りばめてくれるあたりに非常に好感を持っているわけだ。
 アニメ化した声優漫画「rec」でなじみのある花Qだが、『ちまちまはいすくーる』、『痛快すずらん通り』、『HoneyBlue』と初期作品から笑いとエロと恋心を扱った中二病的な作品も多く甘酸っぱいあの時期のあの気持ちみたいな気持ち悪いものをひたすら思い出させてくれる秀作ぞろいである。前作桃色さんごではカバー裏で「手塚作品風」や「藤子作品風」なパロディ漫画を書いていてそういうメタなオタク心に語りかけてくれるあたりが漫画家としての真骨頂といえよう。久々に手にとって読んでみてあの時の気持ちがよみがえってテンション高めで紹介記事を書いてみたいと思ったのでノリで書いてみたが今後悔している。が後戻りはしない。
 というわけで「カバーの裏まで楽しめる」が合言葉の花Q漫画、PLAYじゃなくても古本屋でもいいのでぜひとってみてほしい。

http://www009.upp.so-net.ne.jp/hanaQ-2nd/
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