消えたストリートの社会学-メディア評-映画「バケモノの子」

 なぜ人はバケモノにすら承認を求めようとするのか。この映画ではバケモノたちが排除された存在でなく、人間(日本人)との住み分けを進めた異文化のコミュニティの象徴として描かれる。バケモノたちには心の闇がない。バケモノたちには武器がある。
 暗殺教室の紹介の時にも書いた、リフテクティブな存在の不在、心理的欠損の充足をテーマにした王道に王道を重ねた映画。しかし映画に描かれる90年代のトラウマとしての「キレる若者」「機能不全家族」「宗教とテロ」といったモチーフを踏襲しながらも家族は多重であってもよいのではないか、親は子供の武器になるのではないか、人はトラック(進むべき道)から落ちて大きく外れてしまっても、もう一度這い上がれるのではないか、といった斬新なメッセージがちりばめられた快作であった。広瀬すずの声の未熟さは気になったものの、可愛いから許す。以下ネタバレあり。

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