学生にこそ知ってほしい戦略から考える方法

大学が学問だけを教える場所でなくなってきた

 大学時代から大きな勘違いをしていた。大学時代、アントレプレナー教育や起業教育研究をおこなっていた流れでドラッカー研究を行っていた。ドラッカー経営学のオリジネータだという。しかし、経営学は学問なのか?そう考えてドラッカーを取り扱うことをやめた。問題解決学だの経営学だのMOTだのと言った「学問」は分類は出来ても体系化できない。
これらは人材育成と呼ばれるカテゴリで扱われる。社会教育としてセミナーも行われている。
これらは<教育>ではなかった。起業教育なるもの自体が完全に語義矛盾であるか、言葉と学習内容が乖離している。<教育>とは何らかの形でテストを行い何らかの再現性のある達成目標に達したかを確認するものだ。これらの教育には収束するような正解はない。10000円欲しいとき、条件に合わせて100人から100円づつ集めるのも一人から10000円もらうのも正解だからだ。
 起業に(類似性は多々あっても)再現性はない。それだけではない、扱いようによってはそれらの教育モデル達は洗脳のようになる。起業家や成功者たちを尊敬せよ、という信仰を押し付けてくる。<教育>ではないのであればなんと言う言葉がしっくりくるか、<訓導>という言葉、すなわちその本質は戦略を考えさせることである。教育NPOや教育事業なんていいながらも戦略しか教えない団体は山ほどあるし、学習支援団体って言ってる方がよっぽど確実に<教育>している。
その上本人達はそれを戦略として自覚して教えている訳ではない。考えてみればわかるのだがずっとこの<教育>ではない<教育>について引っかかっていた。しかしそんな言葉の整理をしたい訳ではない。
 この戦略と言う言葉を知ることで分解能となり世の中がくっきりはっきり見えてくる。知識でも身体的ノウハウでもない、知的ノウハウが戦略であり、一つのカテゴリでありレイヤーでありジャンルでなのだ。
 いまあらゆるマイナー業界で高学歴化の波がきている。芸能なんかはわかりやすく、昔はアウトローがばくち的に参入するのが芸能だったのに対し、最近はある程度業界と言うゲームを分析し成功しているクラスタが存在する
一方で学校的な勉強ができなくてもバカでも戦略さえうまければ様々な分野で成功することは可能だ。ブログを炎上させるステーキ屋の社長や、あるいは選挙に出馬して自分の会社を宣伝する社長を見てうまいなーと感心したものだ。もしくは
アイドル業界ではアイドルを研究しながら自信もアイドルとして成功しようと活動しているメタアイドル達が増えており、アイドル戦国時代は一昔前のアクターズブームとは違った様相を見せている。
 では戦略として何から考えて行くべきかを示して行こう。もし仕事がうまく行かないときや、新しい何かを始めたいときのヒントにしてほしい。目次は以下だ

  1. 秀逸なビジョンとストラテジはバカをも成功させる
  2. ビジョンの検討と問題認識
  3. 理念・ミッションなんてくそくらえ、ビジネスは説得力ゲームだ
  4. ビジネス書は読むな、読むなら数百冊単位で読め
  5. 社長や上司がいけ好かないのは当たり前
  6. 勉強法はシンプル
  7. 肥大化戦略と縮小戦略
  8. 研究は新たな戦略が生まれる源泉
  9. 知識と戦略を両立するのではない、往復するのだ
  10. webサービス「synapse.am」が費用対効果から見てもオススメ

秀逸なビジョンとストラテジはバカをも成功させる

 研究の世界でも、ココ10年は、研究バカになりすぎるなといわれ、これが表面的には専門分野だけでなくいろんな他分野の教養を詰めと言う意味に受け取られて来たが正確には違う、その専門を生かす戦略を知れ、ビジョンを持たなければならないという意味に他ならない。
 またリーダーシップの涵養が叫ばれて久しいがリーダーシップとは戦略をどれだけ知っていて、ビジョンを作りどれだけストラテジに落とすことができてどれだけ実行できるかどうかという能力である。
 ビジョンとは文字通り戦略を達成した先にある世界観であり、それを達成するための段取りをストラテジ(方略)と言ったりする。方略と戦略はほぼほぼ同じものであるがここでは戦略はジャンルとして扱っているため分けておこう。
 ビジョンは世界観であるため世界の解像度が高くないと碌なビジョンが作れない。実際にいくらビジョンがあっても不況が解決するとは限らない、政治分野ではビジョンと知識の両立が不可欠である。あまりに高度すぎるためアメリカには選挙専門のコンサルタントがいるくらいだし、日本の政治家は慣習ばかり重んじて戦略性が低いため維新の会のような戦略重視のパフォーマーが注目を浴びることができる。。それでも戦略がうまく行かない要素が多すぎる世界が政治である戦略には相性がある。。
 戦略が通用する世界は限られている。戦略は、競争にしかいかせない。ワークライフバランスのように仕事とプライベートで分けるのであれば、戦略が活かされるのは主に仕事である。
 どんなにバカでも、収集な戦略と優れたパートナーや忠実に動いてくれるプレーヤーがいれば成功は不可能ではない。現に戦略家たちは教育コストを下げながら収益を上げるために、日夜優れたビジネスモデルとミスをしない組織の作り方を研究している。こうしたパッケージ化やオートメーションも優れた戦略である。

ビジョンの検討と問題認識

 具体的にどんなビジョンを描くかはいくつか流派があるのでいろんな人に聞き回って自分で分類することを勧めるが、日本語の解く緒もあって、日本人はビジョンから具体的目標に落とすことが最も苦手ではないかと感じる。例えば「幸せな社会にしたい」はいいがそれはどうなったら達成されたことになるのか。
「お金持ちになりたい」というビジョンはいいが、実際にいくら位稼いでどんな生活をすればお金持ちなのか、この辺りの発想が貧困だ。まず次の2つのアドバイスをしておく。

  • 目標設定によって問題は確定する

 例えば年収1千万円稼ぐ、という目標を設定したとき、年収が1000万円に見たないことが問題と見なされる。社会問題と言うものは多くの人々の関心を引くが、社会問題と言うものは自然に存在するものではない。人が数値を決めて初めて問題となる。
例えばNEET、定義は34歳以下の就業してない、職業訓練も通学もしていない人を指す。これは年齢を儲けることで34歳以下が労働力として重要であり全ての状態に属さないのは社会的に問題である、と定義から問題設定される。問題設定がアバウトすぎるとアバウトなビジョンにしかつながらない。

  • 目標設定はなるべく期間設定と数値を決める

そして特にへたくそなのは時期を考えた目標設定だ。短期的にはこう、中期的にはこう、長期的にはこうなっていてほしい、は基本だ。長期的に勝ち続けたり問題を根絶したい場合は中期的な目標として回り道を設定することだってある。
短期的には1年で純利益来年までに何%UP、中期的には設備投資の達成度を作り、長期的には何年で雇用何百人を目指す、など数値が具体的であるほど失敗したときの対策なども立てやすい。
数値と言うものは我々が考えるより一回り加速が遅い。そうして数値は直線上に、停滞と成長の波を繰り返し、指数関数状にあがって行く。

理念・ミッションなんてくそくらえ、ビジネスは説得力ゲームだ

ビジョン、ストラテジと一緒に語られるのがミッションと団体理念であるが、ビジョンもストラテジもミッションも理念もすべてストラテジに吸収される。PDCAのDCAがすべてPに吸収されるように。多くの本はこの4つの要素が全てのように語るがそんなことはない。より説得力の高いものができるのであればどんどん修正すればいい。
ビジョンやストラテジなんてモノは自分も含めた他人に伝えるために作るのだ。得に理念、ミッションは自己暗示・説得のためのツールにすぎない。自分を騙せ、他人を騙せ、自分ごと他人を騙せ。戦略は説得力ゲームの側面を持つ、他人をどれだけ深く多く説得して巻き込むかが重要だ。
もう一つ大事なことを話しておこう。他人に語った言葉が嘘かどうかは基本的に結果がでてから決まる。どんなに誠実に言葉を吐こうとどんなに軽薄に言葉を吐こうと従った結果が出たものが正直者であり結果がついてこなかったものが嘘つきだ。真偽というのはあとだしじゃんけんできまる。
予言の自己成就に至るまで説得力の高いビジョンやストラテジを繰り返し練り上げ、唱えるのだ。ミッションや理念は説得力を上げるためのツールでしかない。

戦略的な視点を嫌いな人こそ勉強をしておくべき、知らないと騙される

ココまで読んで戦略とか計算高い感じがいやだ、なんか吐き気がして来た、という読者もいるかもしれないが、戦略でなく善意や規範を軸に動く人ほど搾取されてしまう可能性がある。
自分が搾取されるならともかく、自分の大切な人たちが搾取されないためにも戦略と言う考え方の基本は知っておいた方が良い。規範を重んじる人の方が一人勝ちの状態を許容しがちであるし、戦略を重んじる人の方がwin-winの関係をデザインするのが得意である。

ビジネス書は読むな、読むなら数百冊単位で読め

ビジネス書や自己啓発の意義は2つ。一つは戦略を学べること。一つは自分のリミッターの解除の仕方を学べることであった。過去形である。
今でも一部のセミナーでは戦略の練り方とリミッターの外し方を教えてくれる。自己暗示をかけてテンションをハイにして頭の回転を早めたり速読の仕方を教えてくれたり、ピンチのときに人一倍働ける方法を教えてくれたりする。
なぜか。見込みのある人であれば何か事業を興してビジネスパートナーとしてお互いに美味しい話を持ちかけあうことができる可能性が高いからである。
しかしビジネス書となると、そのセミナーの宣伝材料として使われこそすれ、核心的なことは小出しにして、ひたすら単純化された戦略や過去の成功事例ばかりが述べられ、あとは勇気の問題だ、と結ばれる。
ある本には儲け度外視で責めろと書いてあり、ある本には慎重にいけとかいてあり、ひどい本には1章には楽観的であれ!踏み出せ!と書いてあり2章には悲観的であれ!突っ走るな!と書いてあることすらある。
物語を美化するために小さな失敗事例を紹介して成功ストーリーとして組み立ててくる場合もある。実際は別の事業で屍がうようよ浮いていてもそれを隠しながら最後に勝ったから俺の戦略は正しい!と叫ぶ方が受けがいい。
何が本当かわからない以上情報戦だ。業界に顔が利く友人などがいれば「あれゴーストラーターらしいよ」とか「あれ部下がやったことを自分の手柄みたいに言ってるだけだよ」などの情報は入ってくるが、それがないのであれば戦略と戦略の語られ方のパターンを知ることが重要になる。
読むなら数冊で満足せず、数十冊、数百冊眼を通すこと。目次を読むだけでも良い。読む本は古くてもいい。内容を整理しろ。どんなことを言うと人に受けるか研究しろ。なぜその本がブックオフの本棚に並んでいたのかを考えろ。だんだん本の著者たちが、賢くて戦略がうまい人、バカだけど戦略がうまい人、上司や部下が戦略がうまくて乗っかった人、のどれなのかが見えるようになってくる。

社長や上司がいけ好かないのは当たり前

 話は変わるが評判や感情の変化を戦略の中に盛り込まなければならないときがある。感情は不確定要素が多く、慣れていないと扱いがくいうまく行かない。その中で怒りや悔しさは一番演出が簡単で計算しやすいのでよく使われる。一番最初に難しい課題を課す会社があるのもこのためだ。社会学ではイニシエーションと言う言葉を使う。あるコミュニティに所属するための通過儀礼のことだ。
あの厳しい訓練を経ることで会社を簡単に離脱しないように、という意識を植え付ける、長期的に一緒に仕事を行ってもらうための研修戦略としては一番コストパフォーマンスが高い。社長や上司が無理解でいけ好かないのは当たり前なのだ。
もっと観察してみれば、そこから何が見えてくるか。例えば「最近の若者は」という言葉にはたいてい無気力で、無責任で、無関心で、と続く。「最近の若者は」は戦略をミスった上司クラスの人間が言う言葉である。
もっと言おう、たいていの戦略として語られるストーリーなんてものはあと付けだ。ビジネス書や自己啓発書の内容に最も多いのがこれで、戦略的にこうしてみたらうまく行った、などと言っているものの大半はもっと別の理由で支持されていたりたまたまテレビで取り上げられて注目されたりしてうまくいったのを綺麗な言葉に包んでいたりする。
新しいwebサービスがうまく行ったのは戦略的PRと斬新なUIが受けたから、なんていいながら実際の普及の理由はアダルトコンテンツがあるから、とかそんなものだったりする。多少差し引いたり実際を想像する訓練も必要だろう。ここらへんは情報リテラシーと重なるところではある。

勉強法はシンプル

 シンプルでなければ知識がない人でも成功するなどと言うことはあり得ない。物語の中から戦略を読み取りどんな場面に応用できるかをひたすらシミュレートするだけだ。友人などと語り合っても良い。ではどんな物語から読んでいけば良いかを紹介する。

  • 歴史から学ぶ

 王道であり、起業家達の一部は歴史物国取りものの小説が好きだったりする。逆に言えば社会で学んだ歴史や世界史の教科書を戦略を学ぶ形で読み直してみると非常に面白いはずだ。戦略と言う言葉を使わなくても時の一国一城の主達が考えて来たことを語るのは先生達も好きだ。
 注意すべき点はたいてい歴史の場合成功の秘訣は緻密な計画であり失敗の原因は怠慢である、と説明されることがあるが、ちゃんと読み込んでみると意外と属人的な問題で失敗することは少ないしむしろ戦略の失敗(根回ししないとか新しい政策のメリットを理解してもらえなかった田沼意次のような人物とか)の方が多い。
 歴史は誰かが教訓を与えるために編成したものだという前提は知っておきたい。その教訓の中には生兵法はケガの元というものもある。歴史にでてきた戦略に当てはめて考えることができるか、説明することができるかが問われる。

  • ゲームから学ぶ

スポーツも含めたゲームはルールの中でいかに巧妙に勝つか、という戦略が試される場面が多い。友人の田村社長いわく「朝までポーカーなどを良くする。ブラフなんて人生でそう何度もかける機会なんてないが、ポーカーではその機会が3分ごとにやってくる」とご飯を食べながら語っていた。
ボードゲームテーブルゲームなども意外と運以外に戦略が試されるものは多い。将棋やオセロ、カタンなどオンラインでも出来るものも多く、人狼などは楽しみながら嘘をつく、何をすれば誰が得するかという論理的戦略を練る訓練にはもってこいだ。

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  • 成功から学ぶ

 もっとも正攻法である分、書籍などははずれも多く、皆が欲しいと思うものを皆が欲しいと思うようにPRして売った、みたいなことを自分の過去の経験を交えて書かれているが、先に書いたように後付けの戦略も多く教訓も薄いものが多い。
事前に評判を調べて読むと良いのだがたいていそう言う本はバカな信者が天井効果が出るほどの好評価をしていたりするので、一つの成功事例(例えばアップルについて)をいろんな著者の書いたものを読んで多角的に分析する方を勧める。

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  • 失敗から学ぶ

小さな失敗は語られても大きな失敗をしたものは発言権を失うのであまり語られない。いろんな人の失敗を記録した本は貴重だ。
僕の専門分野である教育もIT戦略もwebサービスも、失敗事例が共有されにくいばかりに同じようなサービスが乱立しては消えてゆく。
どの業界でも同じなのかもしれないが、失敗を分析して原因を一つ一つ潰すこと、それからなにか挑戦して失敗したときにどうするかという段取りもちゃんと学んでおくことが重要だ。経済産業省がこれらの失敗をデータベース化している。失敗学のサイトも面白いかもしれない
ベンチャー企業の経営危機データベース(METI/経済産業省)
http://www.costdown.co.jp/blog/2011/09/post_2101.html

  • 道徳から学ぶ

学校の授業で道徳の授業、学校や先生ごとにやることが違うため一概に言うことは難しいが、一般的な道徳の授業は愛だの友情だの正義だの思いやりだの非暴力だのを扱いながら、よく考えてみるとそれらの葛藤をどう解決するかと言う戦略教訓を学ぶことが求められる。
試しにいろんなジレンマを調べて自分だったらどんな戦略で解決するかを考えてみると考え応えのある問題が多々あるだろう。
ジレンマ - Wikipedia

  • 統計から学ぶ

 統計的な思考は勉強しておきたい。いまや食もリスクも感情も、いろんなモノが数値化されている。数値を見ることで現状を解像度高く知ることができ、何が問題とされているかを知ることができる。
 数値化されたとき、大事なのはクラスタと呼ばれる正規分布に収まらないデータ達である。普通のことは普通の人たちはみんな考えている。普通に収まらない要素達がビジネスチャンスも失敗のリスクも握っていたりする。
 精神論的にいうならば皆が右を向いてるときに左にも気を配れるかどうか、が大事と言うことである。それから平均や中央値や偏差値など、数字は平気で嘘をつくため、騙されないよう簡単な数字の扱い方を知っておくこと。統計は数値化する際に、何を数値化してどう測っているかというヒントを得られる。例えばなにかサービスを考えているのであればなにが満足度と相関するかなどを考えてみるのも良いだろう。
オススメはŽÐ‰ïŽÀîƒf[ƒ^}˜^ Honkawa Data Tribune
ビジョンにも戦略にも応用できるデータが沢山ある。他にもいろんな統計データは検索したらでてくるので知識教養としても見ておくと良いだろう。

肥大化戦略と縮小戦略

 成功失敗の話をしたので一言書いておくが日本は肥大化や成長の戦略は得意であったが、肥大化しすぎて停滞しているときに縮小する戦略は昔から苦手であった。サービスが売れすぎたIT企業なんかは、お金を持った後は企業買収くらいしかすることがない。
 本当に成功するかどうかは引き際の戦略デザインにかかっている。例えば社会問題を解決するといってお金を集めている学生団体やら社会起業NPOが、何を達成したら解散するかや方向転換するかなどを評価方法すらアバウトに活動している事例も多々ある。
 不幸を無くす団体は最終的に目標を達成したら解散すべきなのだ。必要とされないことが最高の結果なはずなのに、必要とされたい若者達がそういった団体に集まってくる。東日本大震災の復興支援団体がどこでプロジェクトをやめて方向転換するか、質や実現可能制の高低はあれど僕が応援している団体はみなちゃんと戦略を練っている。

研究は新たな戦略が生まれる源泉

 戦略を練るとき、不可能に見えるものを可能にするにはどうしたらよいかを考える場面が多々ある。そんなとき大学や研究所での最先端の研究の仮説や成果は、可能性もマーケットも広げてくれるものだ。
iphoneだのipadだのは別に信者ではないが、不要な効果をどんどん外して最先端の技術を突っ込んだらあり得ないほどの経済効果を生み出した。世間はこれをイノベーションと呼びイノベーション研究なる戦略研究分野も至る所で立ち上がっている。
僕の尊敬する秋葉原UDXなどをプロデュースした妹尾先生なんかは長年この分野に携わり様々な実践をされている。
Simple x Japan 妹尾堅一郎氏インタビュー 前編 | Simple x Creative
NPO法人産学連携推進機構 – The Industry-Academia Collaboration Initiative Nonprofit Organization
スキマ産業はハイエナのようにいろんな戦略家が狙っている以上、一定の素養がないと扱えない最先端研究をどう活かすかを狙うのも戦略としては重要だろう。

知識と戦略を両立するのではない、往復するのだ

 知識が豊富で賢いから戦略が立てられる、という訳ではない、前エントリでも言ったが、日本には賢くても戦略が下手な人たちが多すぎるし、一方で無知であることも戦略に取り込まれてしまう、訓練すればロジカルな考え方が出来ないことですら戦略として取り込むことも可能だ。
知識と戦略のうまさは別レイヤーだ。知識でも身体的ノウハウでもない、知的ノウハウが戦略であり、一つのカテゴリでありレイヤーでありジャンルでなのだ。戦略を立てるときに知識を訪ね、知識を得るために戦略を立てる。戦略がないと何を学んでよいかわからず不安になる。
知らないことは知らないと言える戦略も時には選択する必要がある。何が一番説得力に結びつくか、戦略という視点からもう一度知識を見直してみることだ。

webサービス「synapse.am」が費用対効果から見てもオススメ

 ココまで語っておいてなんだが僕自身別に起業家でもなんでもないし説得力は弱い。しかし僕個人は多くの人が寛容になれる社会を作りたいと思っているし、マイノリティ出身の人が世の中に身を立て名を挙げるお手伝いをするのが僕のミッションだと思っている。だからこういった情報や情報の欺瞞を伝えることについては立場上言葉は選ぶが出し惜しみはしない。
 一番良いのは情報を提供しあえる間柄を作ることだろう。僕は学生時代から良くしてもらっている社長の友人が何人かいたり、空気を読まずにいろんな業界に顔を出しているのでこの手の情報を不定期で手に入れることができるが、実際にそういう人と出会えるかは運もあるためだれしもがそうもいかない。
そこでネット上でオンラインサロンでセミナー講義を受けたり相談ができるsynapse.amをお勧めしたい。先ほどもでた友人の田村社長が会社を思い切り方向転換して出来上がったサービスだ。facebookアカウントさえあれば月1000円程度でオンラインで最先端を走っている人たちの戦略を聞けるうえ、質疑応答も出来る。
一回5000円や10000円もするくせに講演者が延々と語り続けるようなセミナーにでるより全然費用対効果が高い上、facebookなので発言者の素性を簡単に知れて同志を見つけることも可能だ。師匠も兄弟子も同時に得ることができオンラインで切磋琢磨しあえる。
活用するも良し別の社交界にでてそう言う人脈を得るも良し、なにかプロジェクトをする訳でなくとも戦略と言う切り口で世の中を翻訳し直してみることも新たな発見につながるだろう。僕のこの記事も、どういう戦略で書かれたものか、ぜひ分析してみてほしい。
Synapse(シナプス) - オンラインサロン・プラットフォーム
 コストパフォーマンスで言えば最近は戦略を学ぶことができる漫画も充実して来ている。以下に紹介する本は今回この記事を書こうと思うきっかけになった漫画である。漫画から入ると非常に分かりやすい反面容易く信じてしまうことがあるので注意した方がいい。他にも取っ付きやすい書籍は山ほどあるのでぜひ開拓してみてほしい。

U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
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小飼弾の 「仕組み」進化論グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)アップル、アマゾン、グーグルの競争戦略MAKERS―21世紀の産業革命が始まるMITメディアラボ 魔法のイノベーション・パワーなぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編

amazonが学生向けに半年間書籍を10%offにするキャンペーン!

amazonさんが登録すると書籍10%offとの情報が回って来たので紹介。なんでも登録すると半年間書籍が10%無料、当日お急ぎ便使い放題、再配達時間指定何度でもok。その他学生特典も受けられると言う。ただし「ac.jp」で終わるアドレスか学生証データと、その上クレジットカードが必要と少しハードルが高いもの本10冊ぶんの値段で11冊買えるのはやはり大きい。
http://www.amazon.co.jp/b?_encoding=UTF8&camp=1207&creative=8415&linkCode=shr&tag=buildinordebu-22&node=2410972051
注意が必要なのは登録後6ヶ月すると勝手に有料会員に登録され年会費1900円が発生してしまう。単純計算で書籍をamazonで年間19000円以上購入するのであればお得であるが、それ以外の場合解除の方法はこちら

他にもキャンペーン対象の本(漫画もあるよ)ブックカバーを一緒に買うとブックカバーが無料になるキャンペーンなども行っている。9月2日まで。

それからamazonfacebookページにいいねするとお米がもらえるキャンペーンも。
http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html?ie=UTF8&camp=1207&creative=8415&linkCode=shr&tag=buildinordebu-22&docId=3077672346&ref_=amb_link_64788429_2
「知る人ぞ知る、ご飯にあう”おかず”」を紹介することが条件。ぜひSODを紹介していただきたい。

こだわらなければ40型テレビは4万円以下で手に入る

40型テレビが届いた。3年ぶりくらいにテレビのある生活をする。しかしこの映像の見やすさと安さはもっと知られるべきやでホンマ。
 7月末くらいから秋葉原の中古家電屋をほぼ毎日回り、webでの価格チェックも1週間くらいしてみたが、テレビは24型を越えると1インチあたりの値段が1000円を下るものはコストパフォーマンスがよいと判断できる。また、薄型テレビは液晶とプラズマがあるのだけれど、特にプラズマテレビは危険で、中古で安いものが出回っているものの消費電力がエアコン並みやそれを越えるとの報告もあるためあまりオススメできない。
 また、国内産メーカーのテレビのほとんどはHDDやblu-rayプレーヤなどの機能がついている分高いと言うものが多い、モノにもよるが、外付けHDDやプレーヤを別で用意して備え付けた方が安くついたりする。今回購入したのもそんなやつだった。

 テレビだけは大きなモノが欲しいと思い、思い切って購入したのはこちら。amazonだと手数料込み4万を越えるが、価格コムだと代引き手数料込み37k前後で購入できた。ただしamazonより安いサイトは会員登録が必要なので少々面倒くさい。あと面白かったのが37型の方が値段や相場が高く、この一品だけストンと値段が落ちてるのでまさに掘り出し物状態。
価格.com - オリオン DU403-B1 [40インチ] 価格比較
 アンテナケーブルは別売りだったが、それ込みでも国内産40型以上で4万円を切るコスパのテレビは今のところ他に見当たらない。microSDサイズのB-casカードもついて来た(中古で買う場合は2000円かけて申請しなければならない)。
 VGAコードでPCの映像を映してみたが、長い辺が1mの大画面はとても快適。土台がプラスチック製で少し心もとない部分と、電源ボタンを押して映像が表示されるまで3秒程度、チャンネル買えるのも1秒くらい末のは少しストレスだが、あまりテレビ番組にこだわりがないので映画を見たりニュース番組や放送大学を垂れ流しにするくらいで、今のところ快適に使えている。市場に出回っている32型と同じ値段で40型が買えることやこのコスパはもっと知られるべきだと思う。何か不具合が出たらまた報告エントリーをあげたい。
 

生活が変わる掘り出し物、2chオススメ人気座椅子まとめ

 引っ越ついでに座椅子かクッションが欲しいと思っていたところで要約してみた。
2chの座椅子スレのテンプレ+最新500レスを片っ端から整理。スレにもある通りソファと座椅子は用途が違うし、ローデスクで作業したい人やちゃんとリラックスしたい人や本を良く読む仕事の人なんかはあって損はない。最終的にどれがいいでなく予算と好みで選ぶものなので、一応参考で一覧できるようにしてみた。あとタイトル煽り過ぎワロタごめん

スレから読めること

  • 値段÷耐久年数換算で考える。年5000円くらいが目安、3000円くらいのものはコスパ高い。木製は耐久性が高いし、飽きっぽい人は安いのを1年ごととかで取り替えるといい。
  • 本気で丈夫でいいやつを揃えようと思ったらオーダーメイド、という全てをひっくり返す結論
  • 素材の体圧分散性は、エア>ゲル>ウレタンだそう*1。ゲル以外はへたる
  • 一億円座椅子ステマもしくは信者ハンパないけど2chでは不人気

以下に本スレで取り上げられている座椅子を紹介。引用はなるべく避けた

テンプレから

SUWARU STYLE : AIR PREMIO(エアー プレミオ) ブラック ソフトレザータイプ
東京シンコーレザー (SUWARU STYLE)
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amazonでは2012/08現在取り扱っていない模様。SUWARU STYLE AIR PREMIO Ⅱ (エアープレミオⅡ)BEIGEもあるがこちらは意外と評判が悪い様子

AIR MESH ベージュ
AIR MESH ベージュ
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こちらはよさげ。¥ 18,300。黒は現在中古品しかない模様。
ポケットコイル使用 リクライニング座いす プレジデント
その次に紹介されているpresidentは現在取り扱っておらず、
同じ名前のものは一応あるが同じものかは不明。¥ 16,800
http://www.cataloghouse.co.jp/html/images/1101229_00.jpg
温泉旅館座椅子
詳細はこちら。送料込み16000円位で、3年間保証。やたら評判がよく、クッションは2年間使ってもへたってはいないと言う報告も。

ミヤタケ(宮武製作所) 木肘スーパーソフトレザー座椅子 ブラック YS-1364 ミヤタケ YS-1364 はなかなかレビューが最悪なのでお勧めしない

本スレより

背面は身体が包みこまれるようような仕様であたることなく、グデッーと包みこまれる感じで座り心地良いです。

値段は15,000円前後、サイズにあわせて値段が1000円前後上下する。寝オチすることもあるとか

http://item.rakuten.co.jp/hakuturu/a72/
こちらも悪い評判はなさげ、ただ関係者によるステマの可能性も。コスパ最強との書き込みも。ただガチムチでふんわり感はないそう。硬い分へたれにくいらしい。今なら送料込み7000円位と50%以上off。

DUOREST(デュオレスト) DRシリーズ 座椅子 ブラック DR-920T(ABK)
DUOREST (デュオレスト)
売り上げランキング: 119292
2万円くらい、値段の割に意外と硬いらしい


スカイマンボーソファamazonでは見つからず、24000円くらい。アーバンマンボーソファだと¥ 16,800


カノンの座椅子、仕事ははかどるらしい。6000円位。

突如リコメンドが現れた。\3500のコスパ系。6時間使って全然いい感じらしい。楽天だともう少し安い。


そこそこ好評価。¥ 13,297。ただamazonレビューが楽天の悪口になってるのが気になる。。。

http://item.rakuten.co.jp/cyberlife/arion_bk/
値段相応だそう。映画一本見るとお尻が痛くなるとか。
後半のnissenはレビューがないので割愛。

http://item.rakuten.co.jp/kinta/hikariseisakusyo-zaisu-9/
高級座椅子。首が疲れないらしい。25000円位。

なおレビューがないものやあやしいものは割愛した。どれ買うか悩むなー。
参考:座椅子スレ part8

最近のtwitterの使い方6つ

以前書いた記事僕のtwitter STYLE - 技術教師ブログから2年経ち、かなりtwitterの使い方がかわってきたのでメモしておきます。
 よくもわるくも、twitterは人間のそのときそのときの感情や認識の最大瞬間風速を描き出すツールとして非常に優秀なわけです。また、4年前からかなり機能が増えたことでtwitterクライアントなどUIによっても大きく使い方が変わっていくものだと思います。以下、僕の最近のtwitterの使い方です

1.favで行きたい所メモ

 fav(お気に入り)の使い方は人それぞれですが、僕の場合家の外でもツイッターを見たり、使うことが多いため、行きたいと思ったイベント情報やお店情報なんかをfavって、出先で空き時間ができたら見てどこに行くかを考えます。
 わざとfavをフローでなくストック情報として残す形です。発言を賞賛したいときは公式RTでいいかなと思ってます。読み返したい発言はfavることもありますが。

2.えありぷ

 あえてリプライせずにTL上で話題になっている話に言及したりTLにへばりついてるユーザと会話したり。これはもう既に有名になった遊び方ですが、いつでも会話から抜けられるという緩さがいいですね。
 twitterはもともと独り言のぶつけ合いです。

3.ライフログ

 4sqやmixiチェックインなどのサービスは使わないのですが、どこの店に誰と行ったか、食べログのURLなどと一緒にメモしています。後日思い出したり人に勧めたりしやすいのと、見た人が今度行ってみよう、というような偶発性、セレンディピティが高まればという意図です。
 また同様に他人の発言で、異性と食事しているのを見つけたらそこがデート向け、たくさんの人で行けばパーティ向け、などがわかるためバリエーションが増えて行きたいところがポジティブリスト化します。

4.ソーシャルリコメンド

 効率性を追求するなら、こだわるところ以外は別に人に勧められたように選択してもいいんじゃないの?その方がコストが低いじゃん、ということで食事や旅行など、予定を立てる前にみんなからオススメを聞いて動いてます。
 現地の人やマニアックな人しか知らない場所がリプライで飛んで来たときは感動しますね。

5.ソーシャルフィルタリング

 最近はRSSリーダツイッターも山ほど情報が流れてくるので、URLがついた発言をひたすら非公式RTして、誰かがRTもしくはfavをつけた記事から読むという方法をとっています。
 普通はみんなに知らせたい情報をツイッターでシェアする、という発想が普通だと思うのですがその逆のシステム。誰がfavやRTしているかも大事な情報ですね。favが多い記事は丁寧に読んだり。
 仰々しく【RT願】とか書いてある記事をどんなエクスキューズが載っているのかと思って開いて、その日あった出来事と「みんなに感謝」しか書いてなかったら「えっ」ってなりますもんね。
 なのでどんどんfavってください。
http://favstar.fm/users/showgo/recent

6.リムーブコミュニケーション

 多分日本で僕が初めてやったと思われる内容。エアリプなどで会話しているとfavや返事の代わりにリムーブされてもう一度フォローされるという現象が起きました。
 タイミング悪いとDM遅れなくなるのでやめてください。笑
 フォローリムーブ連打、フォロー→DM→リムーブというバリエーションも確認されています。
 ちなみにブロックコミュニケーションは東浩樹氏がカジュアルブロックを提唱されているのでもう既にやられています。次はどんなコミュニケーションが発生するのか非常に楽しみですね。

いまさらブログで書評を書きたい人のための5つのアドバイス

 大学生のころ僕の中でのアルファブロガー東大の中原先生のブログを見て、本を読んで記録することでそれがインセンティブになること、自分の思ったことをアウトソーシングしておいて後で検索した方が効率がいいこと、などを知り、本を読んだら必ず書評をつけることにした。2〜3年間でだいたい200冊くらい読むとある程度の事についてわかったような物言いはできるようになるし、語れないものには沈黙する、その沈黙の基準が見えてくる。本ブログでも書評記事自体は書き方を失敗してあまり注目されないこともいまだによくあるが、一時期はてな書評ブログ16位にまで上り詰めた実績が一応ある。簡単に普段意識していることを書きとめておきたい。
 一番大事なことは未熟であることを意識し、背伸びをすることである。未熟だからと縮こまらずに背伸びをすることで、自分が考えていた以上の文章が書けることがある。そうして出てきた文章をもう一度読みなすことで自分自身を拡張することができる、これが書評ブログの一番の効用である。

1.想定読者を決める

 ブログを始めた時はアクセスアップやブログの見やすいレイアウトや書き方に走りがちだが、そんなものは後回しでいい。大事なのは「自分が届けたい文章が自分が届けたい人に届いているか」であり、PV数が少なかろうと、その書評に想定していた読者層から物言いがつけばそれが成功である。そう、ただのコメントでなく物言いがつくことが重要で、「記事読みました、役に立ちました」はご祝儀のようなものだと思ったほうがいい。読者に葛藤を与える書評が書けてこそ本の知識が自分の身になった証である。
 想定読者層を決めると本をお勧めするかだけでなくいかに本をお勧めしないかも語ることができる。内容が重複している本は山ほどあり、Aを読むよりBを読んだ方がAの内容も抑えられるしもっと広い知見が書いてあるからお勧め、といった情報こそブログで書評を検索してくる読者たちは求めていたりするものである。

2.速読で読まない

 速読もいろんな流派があるので一概には言えないが、典型的速読法は基本的には自分が思っていることを裏付ける情報を集めるために目や脳が動いてしまう。情報収集バイアスがかかるのだ。速読では最低限3回読むこと、出来ることなら書評をする本くらいは精読を行うことをお勧めする。
 精読はどう行えばよいか、一番シンプルのなのは1センテンス、1パラグラフごとに「本当か?」と問いかけることである。またどの本にも必ず統計的事実や質的に調査した結果と、著者の主張が書いてある。これをきちんと一行ごとにり分けて読むこと、これを行うだけでもかなり本の内容を自分の中で精緻できる。統計的事実は正しくても、著者の主張が飛躍しすぎていたり、ひとつの事例を全てにあてはめて世の中を憂いたり、悲観的な主張をして話題になることで著者の仕事が増えるというポジショントークではないかといちいち疑ってかかるだけでもかなり見えてくるものが違ってくる。読み終えた後一晩から一週間置いて本の内容についていろんな考察を行うことで頭に残った内容だけを書きだすという方法もある。

3.サブタイトルを必ず考える

 キャッチコピー力とでもいうべきタイトルの付け方は重要だ。「○○はなぜ××なのか」「丸々をさせるための●つの方法」など、定番ではあるが注目を浴びるテンプレート、それから「教育」や「情報」など、ネットをしている人の目につくキーワードをうまく織り交ぜること。
 しかしこれはタイトルが人目に付く秀逸なものだからよいわけではない。大事なのはその本の内容や主張を自分の言葉で脱構築/再構成/編み直しをすることである。よく本と対話してみる、というメタファが用いられるが、それはつまり本を自分の言葉で語ってみることと同じであり、これを行うとただ読む以上に本の内容が記憶に定着する。書評を行うことの一番の意義である。

4.あなたの認知的葛藤や問題提起を明確に書く。面白い、ためになったは最初の1行しか書かない。

 「面白い」「ためになった」は、あなたにとっては真実かもしれないが読者にとってはその本を手に取ってもらうためのキャッチコピーでしかない。大事なのはその本を手にとりあなたはなにを得て、どんな違和感を覚えたかである。
 またタイトルと内容が連動しておりかつ結論が一番頭にきていることが望ましい。主張は最後でもよいが結論は最初がよい。あなたは詩を書いているのではなく書評を書いているのだから。
 そして大事なのはその本を読むことによってあなたがどんな葛藤を得たかである。従来正しいと思っていたことの嘘や限界を知り、葛藤することで新たなスタンダードや常識を再構成する、これが認知的葛藤である。ヘーゲル弁証法を出すまでもなく、”学習・勉強のための読書”の意義とは無意識な前提の破壊にある。ブログ読者があなたの葛藤を追体験することで新たな発見・考察が生まれる。書評をするのであれば、”本を読むことは、ノウハウを得ることだけではない”ということを意識すべきである。

5.テンプレートを作る

 テンプレートとは、書き方の形式などがある程度決まったひな形の事である。僕がブログを書く場合意識しているのは大学の頃輪講で学んだ内容のまとめ方である。

  1. 要約→筆者の主張
  2. 要約→使われていたデータなど
  3. 関連語句の説明
  4. 自分の意見
  5. 参考・関連データ

 というテンプレートである。ブログに書評する場合はその前に書評記事の要約を書いたり、要約をまとめたりもするが大事なのは一度テンプレートに従ってしばらく書き続け、適当なタイミングでテンプレートの規則を破って自分流にアレンジすることである。
 要約は想定読者層が知らないであろうことを書く。逆にいえば、ここに書いてあることを知らない人が自分のブログの想定読者なのだ、とあなたは暗にメッセージを発していることになる。
 データはなるべく元データにあたってリンクをしておいた方がよい。関連語句については文章中にさりげなく補足として入れておくとよい。僕個人の経験からだと、きちんと理解してもらう文章を書くためには一文に3つ以上の専門用語を入れないことが重要である。
 また関連する書評記事や本のリンクなどを張っておくことも重要で、この本とこの記事や本を読むことで足りない視点を補完でき統合できる、という推薦がどれだけできるかを読者は求めている。

 というわけで新しいことは何も書いていないが、僕の他の関連エントリーと合せて読んでいただき、ぜひあなたの書評記事を読ませていただきたい。

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すばらしきOisixのTKG

 数週間前になるが食品通販会社「Oisix(おいしっくす)」の食品で食事会をしようということで呼ばれて行ってみた。サラダや卵かけごはん、お吸い物や豆腐やジャガイモ等、びっくりするくらいおいしかったので簡単にレポート。
 農業の世界の現状は非常に厳しいらしく、農家が野菜を作ると、規格内に当てはまる野菜は味が悪くても農協が安いが買ってくれるため細々と安定して生きていくことができる。一方で味が良くても形が悪い野菜たちというのは基本的に売れ残ってしまう。そうすると農家が新しい野菜の開発や改良に取り組むことが難しくなり、全体としてのモチベーションや発展速度が低下してしまうのではないか、そんな危機感からそういう農家と直接契約しそういう野菜でもいいという家庭に通販を始めた会社がOisixだそうだ。

参考:【Oisix公式】初めての方限定「おためしセット」はこちら

 当日は洗って並べただけのサラダや豆腐、卵かけごはんなどシンプルな食材なのに非常に自己主張の強い味と、全然に闇ではない食べやすさのバランスを感じた。サラダ用の玉ねぎドレッシングなど、玉ねぎ特有の酸っぱさがなく、甘みだけを感じ取れるという超一流品。ジャガイモなど洗ってそのまま切ってレンジでチンするだけなのに非常にしっかりとした味とほのかな甘みを感じることができた。


 中でもおいしかったのは卵かけごはん専用のしょうゆ。スーパーに売っているような市販のものは海鮮の風味やダシを効かせすぎていて味が厭味ったらしいのだが、このoisixのしょうゆはいくらかけても(もちろん塩分は増えるが)味に厭味がない。当日はお酒をサカナに卵かけご飯を2〜3杯おかわりさせていただいた。

 ネット通販で食材を買おうというムーブメントが最近は騒がしくなっている一方で、やはり配送料が気になるという話も聞くが、oisixをはじめとしたいくつかのネットスーパーにおいては量によっては配送料をディスカウントもしくは無料になるうえ、計画的に食材を買いスーパーでの衝動買いを避けるほうが経済的に得するという報告もここ最近よく聞く。もちろん肉などはブランド価値や賞味期限があるためスーパーより少し高くついてしまうが、同じ値段で健康でおいしい野菜が買えるのであればネットスーパーを使うのもありかも知れない。ひとまず醤油を買いたいと思った。ごちそうさまでした。

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僕のtwitter STYLE

 twitterをつかいはじめて1年半位経ち、テレビにも取り上げられかなり広範囲に普及した感がある。しかしまだまだ敷居の高いモノとして扱われ、自分なりに利用の基準が定まっていない人も多い。自由を強調しすぎて何をすればいいかわからない人も少なくないのではないか。なので僕なりの使い方をまとめておきたい。参考にするなり心の中でバッシングするなりしてほしい。使い方のチュートリアルが必要な人は適当にブログ検索して調べてほしい。多分その人なりの楽しみ方が書いてあるはずだ。
 思いついたことだけ乱雑に書くが、この記事だけで収束はしないだろう。
Twitter関連ニュース - さまざまなめりっと - はてなグループ::ついったー部
twitter関連のニュースはmanameさんとこのサイトが頻繁に更新してくれている
さまざまなめりっと - はてなグループ::ついったー部

ツイッターを利用する上で意識することは規模とノイズである。

まずは2カ月全力でフォロー

 これはどんな新しい技術に触れた時でも同じ心構えでいて損はないと思っている。技術を理解するためには最初の2カ月程度徹底的に使ってみるのだ。特にツイッターは情報が入ってくるサービスなので使っていくうちに新しい情報がどんどん入ってくるという良い連鎖もおこりやすい。まずはそうして技術やそれを扱う自分の限界を知ることだ。

 ツイッターの楽しさがわかるのはフォロー数が100人以上からとか500人以上からとか言われているが、ツイッターの楽しさはブログやmixiと同様、
発言濃度×フォロー人数に比例する。
濃い発言をする人ばかりをフォローすれば少人数でもエキサイティングだし、普通のつぶやきをする人を大人数集めてもたまに隕石か原石かのようなハッとさせられるポストにであう。僕も最初は100人、使い始めて半年で300人、それから今年に入って思い切って500人フォローして、今は時間が空いたらリムーブ(フォローを外すこと)を行っている。

 まず最初の2カ月、すでに利用しているユーザは今から2か月でもいい、ツイッターの使い方や自分の限界を知るためにBOT(情報を収集して自動的につぶやくツイッターアカウント)なり有名ブロガーなりをフォローしまくればいい。不要なアカウントは後からリムーブすればいい。リムーブされたことは相手にはわからないし、つぶやき非公開の人以外でフォローがうれしくない人は現時点では少ないはず。最初からリムーブするのがめんどくさいとか気まずいとか考えない方がいい。本気であなたとコミュニケーションをしたいと思っている相手なら相手はダイレクトメッセージでスカイプアドレスなりメールアドレスを教えてくれるだろう。お互いがお互いをいてもいなくてもいいけどいたら楽しいかも、位のゆるいつながりの中で発言を繰り返すサービスがツイッターだ。

お勧めついったーユーザとリムーブ条件

 以前id:maname氏にお勧めフォロワーをつぶやいたものをまとめていただいた。後輩の@sato3104あてにつぶやいたものだ。
@showgo のオススメついったったー - さまざまなめりっと - はてなグループ::ついったー部

 リムーブの基準は最近のフォローの基準でもある。
 面白いブログを書く人だからと言ってもおもしろいつぶやきをするとは限らない。ブログは面白い記事を書くのにつぶやきは日常ポストばかりというのもざら。一般的かはわからないがフォロー/リムーブ条件として

  1. あまりからまない
  2. 日常ポスト多め
  3. 共感できないポスト多め
  4. フォローしているよりフォローされているの方が多い

の4つを意識している。休日になるとtweenにたまった発言をidごとに並べ替え、4つに当てはまる人からリムーブしていくようにしている。これも主観であり厳密ではない。その時の気分にもよるし、もし一度リムーブしても他の人がこのユーザお面白いよと言われたらもう一度アクセスしてフォローしなおすこともある。
 ウェブなんかの情報技術を使うとき、大事なのは"自分なりのS/N比"(情報の中にどれだけ自分に必要ない情報:ノイズがあるかの度合い)を下げることだ。もちろんその無駄が楽しいという人はそれでいい。ムダはあなたのなかでノイズではないというだけの話だ。むしろ僕がよく利用するURLを貼りつけるだけの発言が嫌いだという人がいてもいいと思うし、ツイッターが最高の暇つぶしであることに異論はない。ただ自分の若い時期の貴重な24時間のうち数分〜数時間をその機能に使う訳だから、費用対効果として得るものもそれなりに充実していたいと僕は思う。その辺は一意見ということで。

 例えば一方的に自分の近況をつぶやく日常ポストなどは、ネタとして完成度が高ければ楽しめるが「出社なう」「帰宅なう」ばかりをつぶやかれてもあなたが有名人でもない限り楽しめない。「あいつ今出社したらしいぜー」なんて話題にできるのはホントあなたの半径5m以内の人たちだけだろう。僕は日常ポストは半径5m以内の人たちを登録しているmixiボイス(旧エコー)で行っているし、ツイッターを身内だけ登録して使うのであれば日常ポストだらけで構わないだろう。

 僕は不特定多数に発信して得るものが少ない情報はなるべくつぶやかないように意識している。これはぶっちゃけどれくらいの規模でつぶやいて楽しみたいか、スタンスの問題なので少人数でつぶやいて楽しむ人には当てはまらないだろうし、僕は中規模で*1楽しみたいのでそういう心構えをしている。

名言ツールとしてのツイッター

 SNS型つぶやき機能の本質は連想を促す装置であると考えている。僕がツイッターをしていて何が一番面白いかというと、情報の共有でなく発想の連鎖だ。人のつぶやきに触発されて連想されたポストがミルククラウンのように広がっていく。
 一時期mixi内で身内のマイミクに対して「タイトルが思いつかないなら名言サイトで心に来た名言を書こう!」といった運動をしていた。名言の多くは抽象的で、連想の着火度が高い言葉が多く、創造性を刺激してくれる。一つの真理に100の事実があり一つの真実に100の語り口があるように、視点の切り替えや考え方の基準、心の持ちよう、皮肉、風刺など様々な名言が想像性を豊かにしてくれる。
 創造性研究の世界では発想するために情報を吸収ことと適切な制限を設けることが重要で、本屋に行けばさまざまな情報整理本がそれを語っているし、学問としても前世紀から盛んに研究されてきた。特に僕の経験からツイッターでは質のいい発言に簡単にアクセスできるし140字という制限からは多くの名言や迷言が生まれやすく、多くの視点が得られる。また適切な制限として他人の目を意識することで、後日見直した時に自分でも発見がある発言を思いついたりするものだ。
 僕自身もフォローしている人たちから名言級の刺激ある発言をヒビもらい、ギブアンドテイクでツイッターでつぶやく時はなるべくその手の発想につながりやすい発言を心がけている。別に自分の言葉でなくてもいい。人の名言を借りて感じたことを書くもよし、名言BOTをフォローするもよし、ただ発想・連想と名言は相性が非常に良い気がするし、ふとつぶやいた名言が人の価値観を変え人生を変えることもあると信じたい。
 そんなわけで僕はRT推奨派だしどんどん自分が感銘を受けた斬新な切り口の情報を共有すべきだと思っている。自分がいつみなおしてもなにか発見や納得があるつぶやき、それを理想に発言しているつもりだ。

議論も楽しいツイッター

 ツイッターはつぶやきが即座に反映されるためリアルタイムで検証し合う議論なんかにも向いている。一人が疑問や問題設定を投げかけ、それに即座に反応が来る。これほど楽しいことはないだろう。
 先日も@makonabeさんと議論できたし、裁判所がいらない子の話など、ツイッター発の議論からブログ記事になることも僕の中で最近は増えてきた。これも発想を促進するツールとしての効果だと思ってる。
@hanausagi1729氏のお勧めするS級ツイッターなどはその手の議論が好きな人たちが多いのでおすすめ。わからなくても積極的にreplyを飛ばすことで情報や新しい視点を得たりすることが可能である。
http://twitpacker.com/package/@HanaUsagi1729%E3%81%8A%E5%8B%A7%E3%82%81

利用しているサービス

 放置しておいてあとで見なおすこともできるし忙しい時はタブわけして見たい人だけ見ることも可能なのでお勧め。

使い方→http://twitter.g.hatena.ne.jp/hazy_moon/20090516/1242489664

 twitterでの発言をはてなブログにアップしてくれるサービス。ただしブログがツイッター記事で埋め尽くされるため購読者が増えないという諸刃の剣。サブブログなんかを作ってそちらにあっぷしていくことをお勧めする。

ちなみにいちいちチェックするのはめんどくさいのでRSSリーダに登録してます

ツイッターを高く評価しない事が大事

 情報バブルの時から情報技術が世の中を変えるといわれてきたが、個人的にまだその時期ではないと思っている。アメリカでツイッターが成功したのはオバマツイッターを利用して寄付金を集めたからだが、日本ではインフラ整備ができても法整備が追い付かない、法整備ができてもサービスがお金のある層に普及しにキウイなどのデジタルデバイドはいまだ顕著に存在する。
 ツイッターが流行したからと言って世の中は変わらない、大きく変わるのは情報共有と娯楽のし方だけである。地震情報などの速報性と無事が確認しやすいなどの利点は非常に有意義だろう。僕も昨年の秋葉原事件の日秋葉原に行こうとしてツイッターのタイムラインで速報がどんどんアップされ事件を知り行くのを控えた記憶がある。速報性という点では他の情報ツールより敷居が低いことは確かだ。ただし140時の限界の中で論筋を通した文章を打ち続けるのは見る側としては非常にしきいが高く、それはブログのほうが最適であると思う。
 また情報の収集についてもツイッターに流れてくるURLよりRSSの方が地道な情報収集には向いていると思っている。先日RSS不要論の記事なども目にしたが、小規模の情報との偶発的な出会いを求めるか、中規模以上の情報を地道に消化して勉強するか、そういう利用規模やスタンスの違いで選べばよいし、両方を選んでも問題ない。僕は両方使っている。ツイッターに貼られるURLの多さはソーシャルブックマーク同様その記事の評価の一つの基準として見ている。

 サービスは併用するからこそそのサービスごとの強みがわかるし、役割がわかる。最初から一元化するのもよいが、役割ごとに使い分ける方が僕は好きだし、鱶が高くなりすぎてから一元化することで初めて何が必要で何が不必要かがわかる。何度もこのブログで書いてきたが、WEBは出会いのためのツールであり、ツイッターでの発言をはじめとした自分の知らない情報との出会いが価値を生んでいくサービスである。
 日常ポスト:連想発想ポストの割合は2:8位でも意外と楽しめるものである。何をしているかより、何を考えたかを言葉にするのは教育の視点からもよいことであると言える。自分なりの楽しい発言バランスを探しながらやってみるのも一興かもしれない。
わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)ツイッター 140文字が世界を変えるtwitterコミュニケーション・バイブル仕事で使える!「Twitter」超入門 (青春新書INTELLIGENCE 250)フラット化する世界 [増補改訂版] (上)

*1:大規模になると2000人フォローとかになる

二十歳までに出会っておけばよかった10冊

多分当時の僕に文字多めの専門用語多めの本を渡しても読まないと思うので誰でもそれなりに読めて面白くて気付きが多い本って基準でセレクト。


自分の小さな「箱」から脱出する方法
アービンジャー インスティチュート 金森 重樹 冨永 星
大和書房
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2 苦しかった。
5 箱から少しだけ頭を出せるようになりました
5 コミュニケーションテクニックに頼る前に一読を。
5 衝撃的
5 人に勧めまくってます
これは一番最初にあげておきたい、なんか優しくなれる本。当時のペーパーナイフのようなキレそうでキレない自分に見せてやりたい。

なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
枝廣 淳子 小田 理一郎
東洋経済新報社
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おすすめ度の平均: 4.5
4 丁寧な本です
5 「着眼大局、着手小局」のためのシステム思考の入門書としてオススメ
5 分かりやすくて、楽しめる☆
5 思考方法
5 新たな視点〜深く・広く・高く、そして時間軸とつながりで考える「システム思考」
論理的思考とか爆発すればいいと思うくらい、システム思考SUGEEEEE!ってなる。


新教養主義宣言 (河出文庫)

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4 パブリックな知への信頼
3 非常に惜しい教養啓蒙への試みの欠落
これはガチでわかりやすい。世の中についての思い込みをいい意味でぶっ飛ばしてくれるし教養がほしくなると思わせてくれる一冊。10年以上前の本なのに今見てもまったく色あせてない傑作。好き嫌いや合う合わないはあるかも。


人を動かす 文庫版

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人を動かす 新装版
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デール カーネギー Dale Carnegie 山口 博
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5 最初に読むべき必読書
5 人として生きる上で絶対に見てほしい
5 今年読んだベスト3
5 当たり前のことだけど、
5 対人行動の名書

これもまた自己啓発の原典。説明不要。ビジネス書や自己啓発のほとんどがこの本の焼き直しでしかないといわれるくらいの大著。

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち
速水健朗
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3 分けて考えた方が…
5 ケータイ小説が生み出された背景
5 サブカルチャー的少女文化論として、とても面白い。
1 批評レベルがケータイ小説的。ってことか…
3 で?

これはケータイ小説文化論としては一番面白い。若いうちに陥りがちな依存型恋愛についていろいろ示唆をくれる。

考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)
市川 伸一
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5 前件否定の錯誤、後件肯定の錯誤、・・・一つぐらい覚えよう
4 行動経済学の本を読む前に
5 入門書かくあるべし。
4 人間の推論の危うさ
5 思考のクセを知る
認知、すなわち入手した情報の整理についてまとめた本。新書で薄いながら内容はがっつり、一人だと脳が認知しきれなくなるので友人と一緒に読み進めたほうがいい。


日本のモノづくりはいつの時代も世界のお手本なんです。
赤池
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おすすめ度の平均: 5.0
5 楽しいモノづくり
5 宝の山とはこのことだ
これは幅広くモノづくりの事例とその裏の哲学まで読めるのでお勧め。中にはチョコレートが常温で解けないようにするためにコーティングしているロウは虫が作ってるんだよ、とかちょっとショッキングな話も出てくるけど。


発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

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発達障害の子どもたち (講談社現代新書)
杉山 登志郎
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おすすめ度の平均: 4.5
4発達障害”について意見を言う前にまず読む本
2 もう少し具体例が・・・
5 発達障碍の子供が、皆、幸福な人生を送られますように。
5 隣人を理解するために読んでもらいたい
5 発達障害を知りたければこの本から!
一億総発達障害社会を予感させる一冊。いやまぁ数値の扱い方とか医療分野の慣例だとこの規模のサンプルでいいの?とか思ったりもしたけどなんであいつは落ち着きがなくてあいつはキレやすくてあいつは自己中心的かがわかる本。僕もあなたも軽度の発達障害だ。


99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)
竹内 薫
光文社
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おすすめ度の平均: 3.5
4 副題どおり、頭がやわらかくなる「かもしれない」書
3 主観とは、世間とは関係なしに自分だけが白だと考える仮説にしたがうこと 〈by竹内薫
4 批判する人
2 なんだかなあ……
3 飛行機はなぜ飛ぶのか?実はよくわかっていなくとも
クリティカルシンキングの入門本としては質がいいほうだし高校生でも読める。


ひとりでは生きられないのも芸のうち
内田 樹
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おすすめ度の平均: 4.5
4 刺激的な議論
4 つっこみどころ満載です。
4 あまりに鋭い切り口に、ケラケラ笑ってしまいます
5 鋭い視点
5 連戦連敗も実力のうち
この言葉で救われるというか、タイトルから中身まで秀逸だよね、視点の切換えが。恋愛から人の生き死にまで、示唆に富んだ一冊。

ブログで鍛える小論文

 先日あるところで小論文を書く機会があり、ブログを書くことで小論文を書くトレーニングができてたことに気付いたので、ちょっとノウハウをまとめたい。
 僕の経験からではあるが、きっと多くの人がブログを不定期にでも書き続けてアウトプットすることで、書くための技術を身につけることはできる。*1これは多分twitterなどでは相当特殊な使い方をしない限り鍛えることができないのではないかと考える。

小論文の微妙な立ち位置

 小論文とは何か?と聞かれても、あまり深く考えたことがないため、言語学者とか文学者に聞いてもらった方が的確な答えが出ると思うので割愛する。
 ただ「論文」自体は論理筋の通った矛盾のない文章を指す場合が多いため、「小論文」も規模や信憑性こそ小さくなるものの筋が通った文章にすべきであるという前提で語りたい。前提が違うんじゃないかという議論はトラックバックして僕じゃなく皆に伝えてあげればいいと思います。

 論文と小論文との一番の違いといえば文章量と根拠(エビデンス*2の信憑性の高さの違いであろう。論文はなるべく"ある程度確立された検証手法で導き出された結論やデータ"を根拠として用いなければならないが、小論文は自分の経験や伝聞で語っていい(場合が多い)というのが特徴である。もちろん伝聞や経験から語る論文もあるだろうが評価は低いだろうし、緻密なデータを用いた小論文もあるだろう。

結論を最初に考える

 論文や小論文にとって「筋を通す」ことは要件である。文章の「筋を通す」ために、まず結論を最初に見据えてそこにつながるように書いた方がよい。たいていの人は書いているうちに語りたいことが増えるため結論がぶれることが多々あるのではないか。
コツは問題文の意図を理解した上で、問題文に沿ってオウム返しのように書く。それまで容姿の裏に論点整理のメモをじぶんなりにつくればよい。

Q   「子どもにネットは必要か」
一文目「私は、親がある程度かかわったうえでのネットであれば子どもに与えるべきであると考える」

 小論文の場合大抵試験で書かされる事が多いため、最初に結論を見つけ、一行目に結論を書くことが重要である。起承転結で書くのはNGであると弾言しておく。「結起承結」で書くというのは一番最初に書かれている。新聞記事などでもよく語られる逆三角形メソッドである。
 一番最初に必ず主語をつけて「私は○○は××であることから○○は▼▲と考える。」と自分の判断の帰結を書く。結論自体は主観でOK。もしくは「○○は▼▲したい」という願望でもよい。
これは論文でも用いられる手法。時間に余裕があるならブログの前置きのように「概要」を書いてもいいかもしれない。基本的には一文でシンプルに書く。時間切れで最後まで書けない事が多いためである。

論点整理する

 ブログを書くことで鍛えられる一番重要な部分がここではないかと考えている。
「論点を整理して、何が一番重要かを主張すること」が論文や小論文の存在意義となるためである。昨今の注目されるブログの多くにはそういう傾向がみられるため、ここでのブログとは「プライオリティ(優先順位)を主張するもの」を想定している。
 学校において、この論点整理の技術を教えることができていない(というより評論文と小説などの物語がごっちゃに教えられるため多くの人が混乱している)事が問題であろう。優れた教育者はこの部分を分けて語らせることから実践を始める。

 また主張の核となる言葉を再定義しておくことは進める。小論文にはわざと定義があいまいなものについてどう考えるかを問う問題が多い。最終的に自分がどういうスタンスかを示しておくとわかりやすい。

  • 「『子ども』については6歳から15歳の修学児童及び生徒を想定している。また発達障害や家庭機能不全の子たちについてはここでは述べず、また別の措置が必要であると考える。」
  • 「新聞などでは子どものネットをはじめとした道徳性の低下を示す記事が目につく。ここでいう道徳性とはルールに従う態度や傾向を指す。」
  • 「ネットとは多くの場合ネット利用を通じたコミュニケーションやコンテンツにアクセスすることを指す。特にコンテンツは充実しているものが多く、シリアスゲームなど、楽しいだけでなく勉強にもなる教材として公開されているコンテンツも増えていると聞く。」
  • 「しかしコミュニケーションという視点で見た場合ネットいじめや炎上などが指摘される。一方で、ネットにおける事故の多くは、大人のネット利用こそが危険で、子どもの多くは適切に利用しているという指摘もある。同調圧力や初めての経験に対する対応ノウハウの問題もあるだろう。」
  • 「ネットという技術が調べる労力を少なくしたとすれば、興味さえ持たせることができれば通常より多くの情報を学ぶ機会にもできる。これらのことから私は適切なリスク管理さえできればネットを利用すべきであると考える。」

試験の場合は時間が限られているため、注意書きは必要のあるものだけ書いていけばよい。
会話文などを挟む必要はない。簡潔に「誰誰は○○を主張し」、「〜は○○を指摘した。」と書くとシャープに見える。

評価しにくい言葉を使わない

あまり使わない方がいい言葉が3種類ある

  • 評価しにくい言葉
  • 定義があいまいな言葉
  • その両方

である。
事実を羅列するときに「好き」「正義」「常識」などは使うべきではない。人によって定義が違ううえ、「平ら」や「かたい」などの物理的要素より圧倒的に判断しにくい。例えば「常識について」丁寧に書こうとするならせいぜい「正しいと思っている人が多いと考えられる」や「正しいと教師から教えられた経験がある」位であろう。素人はよく「常識と照らし合わせて」などと使いがち。学生や素人ならともかく実績積んできた大企業のお偉いさんが本の中で「常識を知らない」とか使ったりするから気持ち悪い。

つじつまがあうよう話をならべる

また「正しい」や「安全」や「有害情報」などの言葉は人によって違う。主観的判断を押しつけることは教育としても適切ではないと考える。ケータイをはじめとしたフィルタリングの議論もあるが、無数に存在するサイトをブラックリスト式で判断するのはコストが高くつく。しきい値から考えて解決策としては親と子どもによる話し合いで「有害情報」への対応やネットを使用する時間などの基準を決めておくことだろう。

 ここで重要になるのがつなぎの言葉である。
「また」「〜であるため」「〜なので」「〜だが」「〜とすると」など意外とパッと浮かぶバリエーションが少なく、小説とか「豊かな表現」が大事で読書感想文も「長く書く」方が大事と習った世代は多分不安になると思う。でも実は短くてよい。というかつなぎの言葉など最低限でよい。「AであるからB、なので私はBはCより重要であると考える」とかの繰り返しでよい。一番優先すべきは論がコンパクトにまとまった文章を書くことが大事。読み手の負担も減る。そして"同じ前提を共有していない人が読んでもわかる程度に論理を飛躍させること"が重要。こればっかりは経験を積むしかないかも。
 また、文体を整えるのも大事である。読書感想文ではないのでなるべく「である」体を使い、文語文を使ってください。「〜れない」は「〜することができない」と丁寧に書き、結論以外で「思う」や主語のない「と考えられるので」という言葉は極力使わない。「思う」は客観的でない言葉であるため結論以外では使う必要がないし、「と考えられるので」は「誰が?」と読み手が混乱してしまう。特に「〜と考えられるので」はついつい使ってしまうがその多くが「私たちはその認識を共有しているので」という主観的判断として捉えられやすいため文脈が相当厳密でない限り減点やツッコミをくらう可能性がある。

最後のほうで付記してもしなくてもよい情報を書いておくといいかも。

ネットで調べるよりも本を一冊読んだ方が充実した情報を知ることができることも多い。知りたい情報について書いてある本を探すときにネットは便利である。長所と短所を理解したうえでの利用を進めることも必要である。

制限時間が決められているとき、PCで書くとこれくらいの分量になるが、鉛筆やシャーペンで書くとその半分くらいしか書けないという基準は持っておいた方がいい。実際に書いている途中で時間切れになり、あつ
人の心を動かす文章術非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門 (ディスカヴァー携書)弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28明文術 伝わる日本語の書きかたひと月15万字書く私の方法

*1:僕は論理的思考って言葉は嫌いで、どちらかというとシステム的思考を身につけるべきだと思っているのでこの文章自体も収束しないかもしれません。

*2:根拠って書こうとしてこんくよってなることないですか?

最近見たり聞いたり好きだったりなブログとかサイトいろいろメモ

最近聞いてるpodcast

通勤の時はもっぱら読書だったんだけど最近podcast聞くようになった。
疲労の度合いと本のチョイスにもよるんだけどpush型(積極的に得なければならない)情報は頭が働かないときにはつらい。
少々眠たくてもpull型(テレビのように受動的に情報を得られる)で聞けるpodcastのMP3をケータイに入れて持ち歩いている。
やはりオススメなのは文化系トークラジオ。

TBS RADIO 文化系トークラジオ Life

パーソナリティたちも研究者や批評家などそうそうたるメンツなのだが、なぜか大学生のようなノリで特に声がいいとか話がうまいわけではないものの、問題の整理力や俯瞰力、クリエイティビティはやばい。疲れて眠たくても自分の関心領域の話になれば目が覚めてしまう。

次に仕事中のBGMに聞きだした Avatar Studios Presents podcast

あとまだダウンロードしてない奴とかダウンロードしてるけど聞いてない奴とか

おすすめ検索したら英語ばっかりでびっくりだった。

あとpodcast関係ないけど前にトラバで教えてもらった
#009 留年を巡って大学と闘う。 − atsushi matsuoka project "5:13PM"
が面白かったので紹介させていただく。

なにかお勧めのpodcastを教えてください。

中学生でも理解できる記憶術の本-書評-マンガでわかる記憶力の鍛え方

サイエンス・アイ新書から児玉光男氏の記憶術入門書。
一般的な自己啓発本と内容自体一緒だけど、挿絵も多いし文字数も少ないし、学校で職場で話題として使えるかもしれない。
記憶術とか知らないって人は本屋で見つけたらぜひ立ち読みを勧める。どちらかと言うとトピック本である。
簡単に要約しようと思ったけど内容が浅く広くなのでかいつまんで要点だけ書き出してみます。ほとんど僕の意見がメインだけど。

1.そもそも記憶力なんてない

 だいたい記憶力とか言うと「一般人は脳の3%しか使われていない」とかいう嘘だかレトリックだかわからない都市伝説を思い出すが、そんなたぐいの「やらないとやべえよ」「脳鍛えないとやべえよ」系の追い込みライフハック本じゃないとこだけは評価したい。脳を鍛えるというより脳を適切に使うというニュアンスである。
 記憶と言うのも具体的にすると3つ、「記銘(覚える)」「保持(忘れない)」「想起(思い出し、連想)」であり、これらを記憶術や忘却防止術、脳の使い方などを工夫して少しでも多く覚え少しでも忘れにくくするだけなのだ。

また、記憶術は万人に聞くわけではない。覚え方ひとつでも人それぞれ得意な5感があるという。においを覚えるのが得意な人や触って覚えた方が忘れない人など、本書ではそのチェックもできるが二人以上いないとできないようなことばっかり書いてあるので、職場や学校で話題づくりついでに試してみるといいかもしれない。

2.覚えたいことにポジティブに

この手の本で必ずと言っていいほど書いてあるのがこの一文。「人は楽しいことや印象の強いことを記憶する」「覚えたいことに興味を持ちましょう」。それができたら苦労はしない。そして自己啓発本のようにイチローや羽生名人がどれだけ記憶術の達人で野球や将棋が好きかとエピソードを紹介している。

「いやいや、そんなに暇じゃないんだよ。テレビもネットもゲームも趣味もやりたい。記憶にあててる時間がないからこうして記憶術を知りたいって言ってんじゃん。」なんて至極もっともな返答が考えられる。そんな人は次の方法を試してみてほしい。
先日はてな界隈で盛り上がった「記憶の宮殿」という記憶術を知っているだろうか。頭の中に家をイメージしそれらの部屋に関連付けて記憶をしていくというものだ。たまたま見た記事で知ったがこの手の記憶術は実は2000年前からあるらしい。
そして本書にも書いてある。要は体の部位とか家具とか身近なものに関連させて覚えれば忘れにくくなるよというのだ。お使いで人参とピーマンと長ネギと牛乳を買ってこなければならなくなったときおでこに人参つけて肩にピーマンつけて脇に牛乳はさんで尻に長ネギつけてる人をイメージしたら忘れにくくなるよ、とそれだけのことだ。

3.3回リハーサル、寝る前暗記

次に、記憶のための習慣だ。基本は3回。覚えたいことが知識であればイメージして声に出すリハーサルを、それを学んだ1時間後、6〜12時間後、24時間後の3回行うと長期記憶として記憶され確実に忘れにくくなる。人の名前であれば質問するなどして実際に3回声に出してみる。顔と名前を一致させるのも大事だ。
それから覚えたいことは夜寝る前の一時間に覚えること。理由は二つ、一つは起きていると短期記憶としてどんどん上書きされて消えてしまうこと、一つは寝ていると記憶が整理されるという結構有名な理由による。
でも「勉強は朝起きてから」しろって学校で習った学生たちも多いんじゃなかろうか。ひとつ切り分けてほしいのは記憶と勉強は違う。記憶は覚えることであり、勉強は課題を解くことである。暗記であれば寝る前にパンクしない程度に、計算なら朝の疲れが少なく頭がさえている時間にと言うのは間違ってはいないと思うよ。
ってそんな習慣ができてたらこんな本、手に取ってないと思うけど。

4.連想できる知識をたくさん用意

 一つのキーワードを覚えたいとき、ただ覚えるのではなく連想できるキーワードをたくさん作っておくことが重要だ。
例えば今適当に思いついた「嫌気呼吸」というキーワードを覚えたいとき、説明として「酸素を使わない代謝」とだけ覚えてもすぐ忘れてしまう。たとえば対峙する概念である「好機呼吸」が酸素を使う我々が行う呼吸であるとか、呼吸とは代謝であるとか、「嫌気と言えば三宅がさ〜」、とかなんでもいいのだが、近似するもの、対峙するもの、類似するものを一緒に覚えておくのだ。忘れにくくなるしいろいろ連想も発展していく。本書にマンガが書いてあるのもマンガでわかるシリーズ自体、マンガを連想させることで忘却防止や想起を促進する効果を狙ってである。
 ちなみに余談だが「決断の早い人」というのは決断力などという抽象的なものがあるのではなく、どうやら常日頃からイメージトレーニングや連想・シミュレーションを繰り返し、そのタイミングが来たらシミュレーション通りに判断するから決断が早いのだ、というデータがある。
日頃から意識してイメージトレーニングやシミュレーションをしておくのは記憶力うんぬんより実際の仕事の場での判断において重要である。

5.右脳を使う?

 有名な話だがマジカルナンバーセブンをご存じだろうか。人は一度に何かを覚えるとき「7±2」の事項しか記憶できないという実験結果だ。
しかし、本書においては人間は顔や映像などの方が得意で記憶するものだという。ここら辺が非常にトンデモ脳科学本みたいで嫌なのだったが、話を読んで気が変わった。
 本書ではトランプを用いたトレーニングを紹介しているのだが、トランプの数や記号だけでなく、絵柄を覚えて暗唱する訓練を行うと、普通は9枚が限界なのだが9枚以上言えるようになるのだという。これは右脳で絵として覚えるようになったからであり絵を処理しているのが右脳かどうかはわからないが、評価できるという一点では他の本より信頼できる実践だろう。

6.休憩は何度も短時間で取る

仕事や学習は3時間作業をして1時間休憩するよりも、30分ごとに10分づつ休憩を入れた方がはかどるというのだ。
というのも集中力と言うのは二次関数状に増減し、授業やセミナーでも時間の終わりとはじめの方が高い。

7.サジェストぺディア

サジェストぺディアという記憶術があるらしい。ソファに座ってクラシックなどを聴きリラックスしだ状態で緩急のある話を聞くと頭に残るというのだ。サジェストぺディア学会では新しい教授法などと言っているらしいが50年も前からある記憶術だ。
これを学校で行えというのだが、正直無理だろう。
http://www.modern.tsukuba.ac.jp/~ushiro/MA/Report/2004/050117KikuchiP.htmlより

この教授法が効果的に行われるために不可欠なものは、1.快適な学習環境、感じの良い教室の雰囲気 2.教材の内容を実演でき、生徒によいモチベーションを与えられる活動的な教師の存在 3.生徒のリラックス である。サジェストぺディアのすべての要素を1時間たらずの普通の授業で用いることは不可能であるので、生徒と教科に応じて変える必要性がある。コンサートセッションはロザノフメソッドの場合、3つのパートにわかれているが、アメリカでは必ずしも3つには分けていない。サジェストぺディアのすべての要素を1時間たらずの普通の授業で用いることは不可能であるので、生徒と教科に応じて変える必要性がある。コンサートセッションはロザノフメソッドの場合、3つのパートにわかれているが、アメリカでは必ずしも3つには分けていない。サジェストぺディアのすべての要素を1時間たらずの普通の授業で用いることは不可能であるので、生徒と教科に応じて変える必要性がある。ロザノフメソッドをアメリカへ適合させるためには、未だに多くの課題が残されている。より多くのデーターが研究者によって提示されれば、ロザノフのメソッドを発展させることができるであろう。

だそうだ。
よくよく考えてみればリラックスした状態で何もすることがないときに聞いた話を忘れないのは当たり前だ。
教育現場においては、ソファもなければ一つのことを考えていられる時間もない。受験などの競争原理に間違えると恥ずかしいという価値観の蔓延。
学習者たちのかばんの中にはケータイが入っており、家に帰ればゲームやテレビが待っており、それだけに集中できるリラックスした環境など到底無理だ。

というわけで手に取ってみれば確実に話題にはなる一冊。他にも速読しろだの栄養食品をとれだの宣伝じみたことが書いてあったのは気に食わなかったが、中学生でも記憶の基本概念くらいは理解できるようになる。ただし何のために記憶したいのかと言うのを常日頃から考えておくことだ。

ハンニバル・レクター博士の記憶の宮殿
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おすすめ度の平均: 5.0
5 『記憶の宮殿』の解説書かと思ったのだが…
5ハンニバル」の小説版がお好きな方はぜひ。
5 レクター博士の”趣味(テイスト)”に興味ある人に